水と炎
中学3年生、天音雫です。
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。
渚冬は、友が全てを知っていてその上でここへ来て渚冬のことを慰めようとしたのだとようやく気が付いた。
夕星は昔から自分の本来の目的を隠すのがうまかった。
幼い頃からこの祐月叉の近くに住んでいた稲荷一家と、同じく近くに住んでいた庵一家。
渚冬と夕星は歳も同じで、気が合う良き友達だった。
夕星との出会いはちょうどこの祐月叉で、5歳の時だった。
初めて出会った稲荷家以外の神に渚冬は最初の頃は警戒心MAXだったが夕星の人柄と性格で今ではすっかり警戒心は解けていた。
そうして出会って5年が経過し10歳になった二人は今もこうして話したり、時には権能を使って勝負をしたりしていた。
夕星の炎の権能と渚冬の水の権能。
権能的な相性で言えば最悪だったため、どちらかが優位に立てば勝敗はすぐについた。
そうして大体、その勝負は渚冬の勝利で終わっていた。
渚冬自身の努力、そして代々権能が強いことで知られる稲荷家の血筋を受け継いでいるからだ。
庵家も代々炎の権能が受け継がれているがその権能は扱いを間違えれば火事になりかねない。
渚冬の水の権能をと違って、夕星は迂闊に権能の練習をすることができなかった。
それもあり、権能のレベルは圧倒的に、渚冬が勝っていた。
勝負のときはかなり渚冬が、手加減している現状だ。