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禍の音

中学3年生、15歳の天音雫です。


何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。

「ーーーーゆっくりで、大丈夫ですよ」


桜を抱き、ふらつきながら移動する凜を支えて何とか二階の一室から階段を下り終え、稲荷家の玄関をやっとのことで通り抜けながら菜月は声を掛ける。


「ええ、ありがとう。……でも、本当は急いでいるんでしょう?」


「……いえ、そんな事は……」


言葉を濁す菜月に、凜は心配そうに眉をひそめた。


「ーーーー一体、何がーー」


その疑問を遮るように、そしてその問いに答えるようにして突如として耳鳴りのような鋭い音が辺り一帯につんざいた。


「…………っ!」


脳を蹂躙するようなその音に菜月と凜はよろめく。


凜の腕の中で眠っていた桜も目覚めて恐怖に泣き出した。


「っ、こんなに早く……っ!」


「な、何が起きているの?!」


頭を片手で抑え涙目になる凜に泣きそうな声で菜月は叫んだ。


「誰かが”星彩の魔女“の封印を解いたんですっ…!」


大地が揺れる。


時雨夜の空が暗く陰っていく。


絶句し言葉を失う凜を、菜月は使命感に任せて残りの道を引っ張りながら走る。


何とか無事に、菜月達は狼車にたどり着く。


押し込むようにして、やや乱暴に凜を狼車に乗せ、


「桜様はこちらに。ーーーー行け、走れ!!」


桜と凜が、落ち着いたのを見るなり、菜月は全身全霊で狼に出発を命じる。


突如として狼車は揺れ、進み出す。


そして、そのスピードはすぐに加速した。


「揺れますが、どうかご心配なさらずに。必ずお守りいたします」


「渚冬と、夕星くんは……」


立ったまま使命感を漲らせる菜月に凜は不安そうにそう問いかける。


「ーーーーあの二人なら、大丈夫なはずです」


返事が一拍遅れる。

しかし、強く、自分に言い聞かせるように、そう口にする。


それは、半ば祈りのようなものだった。


桜の髪にそっと手を触れ、痛ましげに目を伏せる凜に、菜月は寒さをこらえるかのように腕組みをし、暗くなりゆく窓の外、遠くを見やった。


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