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嘘つき

中学3年生15歳の天音雫です。


何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。


遅くなりましたがあけましておめでとうございます。


新年早々不穏なニュースが多いですが、皆さんが無事であることを祈っています。




起き上がり、立ち上がり、再び駆け出そうとした渚冬の眼の前に、


「ーーーー呼んだ?」


京が、立っていた。白髪の、白い着物の、京が。

ーーーー右手に、やりのように氷柱を持って。


「京、さ……」


「待ってたよ、稲荷家の長男」


その言葉と共に氷柱が渚冬へと投げつけられる。


かろうじて横に避け、氷柱は渚冬の真横の木に突き刺さる。その途端、その木は氷漬けになった。


「っ、、!」


驚愕に目を見開き呼吸が荒くなる渚冬を見て、京は楽しげに嗤った。


「やっと見つけたよ。少し手間取ったけど無事転移していて良かったよ。」


渚冬の方へと一歩、歩み寄る。


掌に新たな氷柱を作り上げながら。


「ーーーー知らなかったの?この紫乃宮が立入禁止の危険区域の場所だってこと。

何故、ここに雪があるのかってこと。」


渚冬は掌の水の球を投げることすらできずに後ろへと一歩後退する。


脳が可能性を否定し、理解が追いつかないままに、足だけは危険を察知して逃げようとしていた。


また一歩、京は近づく。


もはや見渡す限りどこまでも純白世界だった。


冷たい風が、二人の髪を揺らす。


「ーーーー知らなかったの?白髪が何を意味しているのか。雪が、何を意味しているのか。」


氷柱を持った手を弓のように引く。


渚冬は木の後ろへと回り込んで防ごうと震える己の足を叱咤し、駆け出す。


「ーーーー氷鬼のことを」


ガラスが割れるような音を立てて穿たれた氷柱は頬に風圧を感じるほど近くを飛んでいった。


渚冬は声にならない悲鳴を上げる。


「有名だろう?

白髪に白い着物。住まう森は氷の世界。」


恍惚とした表情を浮かべ、三本目の氷柱が構えられる。


急速に力が入らなくなった足が、涙が滲んだ視界が、己の五感が曖昧にぼやけた渚冬はその場にくずおれる。


「ーーーーこの世界、時雨夜を永久凍土に変えかけた、”悪神“として悪名高いと思うんだけど……」


最初から、騙されていたのだ。


ようやく渚冬は気付いた。


もう、既に、それは手遅れであることは十分に理解していた。


この森に、不治の病を治す幻の花などない。


雪があるのは京が、氷鬼がいたから。


異常な寒さも、暗い空も、渚冬が聞いた”立入禁止の森“の特徴と一致していた。


そして、氷鬼の、特徴も。


凍った地面を見つめ、渚冬はそっと自嘲した。


あれだけ夕星が念を押してくれていたのに。


「安心してよ。私は君を氷漬けにするつもりは全く無い。少し、君に呪い(まじない)をかけるだけだよ」


瞼が重くなる。渚冬を、眠気が襲う。


この異常な状況を、前にして。


それは、この氷鬼、京の仕業なのか、それとも低体温症になりかけているせいなのか。


狭まる視界の中で、氷鬼がゆったりと渚冬に近づいてくるのが、かすかに見えた。


そして、その手がつがえた3本目の氷柱が、穿たれ、肩に違和感を感じ、ーーーー渚冬の意識は奈落へ落ちた。




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