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幻の花

中学3年生の天音雫です。

何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。

「ん、何をよんでいたのかな……?

………随分と子供が読むには難しい本の題名のようだけど」


「あ、はは……」


母親の病を直す方法を見つける為、など言えるはずもなく、渚冬は笑って誤魔化そうとした。


「君、……探しもの、かな?」


「え、」


「読んでいたページを見せてくれるかな?」


本を指差し柔和な表情を浮かべる彼に、渚冬は黙ってそのページを開く。


「………成程。………不治の病、か」


顎に手をやり、目を閉じて熟考する姿は渚冬の憧れる頼りがいのある青年そのものだった。


そんな彼をを横目に、渚冬はそのまま読みかけた文の続きを読んでいた。


【ーーーー不治の病にかかりし者は、原因となるものが分からなければどんな方法を用いようと、何人たりともその者を治すことは不可能である。それ故、呪いと言われることも多くある。が、その本質に呪いが関わっている場合は、極稀なケースである。しかし、】


「ーーーー紫乃宮しのみや)


「は、はい?」


「紫乃宮。」


開いていた本を勢いよく閉じ、聞き返した渚冬に男は繰り返した。


「し、しの、みや……ですか?」


困惑しオウム返しした渚冬に男は頷いた。


「そう。紫乃宮という森だ。

そこには珍しい動植物が、たくさん生存していてね」


「は、はぁ……」


知らない土地の知らない森情報を聞かされ、キョトンとした顔の渚冬に、男は優しげな瞳の奥、宿る光を鋭くさせ、


「そこに、君の探しているものがある」


「探してる、もの…」


大きく目を見開き、思わず本を強く抱え直す。


その変化を、男は見逃さない。


「詳しくは聞かないが、君の大切な人は、病にかかっているんだろう。それも、誰にも治せない」


俯き押し黙る渚冬に言葉を重ねる。


「神には、治せない。でも、花には治せるんだ」


渚冬の目の前にしゃがみこむ。


「花には特殊な力がある。魔力が込められていたり、あるいはもともと保持していたり、言霊によって性質が変わったり……」


ゆっくりと紡がれる言の葉に一言も口を挟まず聞き入る渚冬の頭に、ポンと手を置く。


「先程も言ったが、不治の病は、神には治せない。だが、紫乃宮には、幻の花が、ある。」



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