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中学3年生15歳の天音雫です。
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。
乱暴に引っ張られ、顔をしかめた渚冬の目の前に、夕星は一冊の本を突きつけるようにして見せつけ、
「『権能の上達方法〜誰でも3日で使いこなせるようになるコツ〜』だってよ!凄くね?!」
「うん、す、すごいね……それ、読んでたら良いんじゃないかな?気になるだろう、内容……」
それ、、怪しい本じゃないかな。
そんな本心をかろうじて飲み込み、渚冬は曖昧に笑いかけた。
腕の力が緩み、安堵した渚冬に、
「なになに……『まずは指の先に全身のエネルギーを集めるイメージで………』だってよ!次に、……」
もうすでに、すっかり夢中になっている夕星をその場に残し、渚冬はそっと姿を消した。
「えーっと、この辺、かな」
天井まで届きそうなほど大きなある本棚の目の前で渚冬は一冊ずつ本の背表紙を確認していた。
それはもう途方もない作業だが、渚冬はめげずに続けている。
進捗状況はといえば、恐らくその本棚の10分の1くらいは確認し終えたくらいだろう。
現在渚冬は恐ろしいほど長い脚立の真ん中より下くらいに、片手に脚立の足を掴み、片手で本を引き抜き、戻す、という作業を繰り返している。
下ばかり向いていて頭が痛くなってきた渚冬は、ふと上の方の棚へと目をやった。
すると、
「あ!!」
渚冬の目に、探していた本のタイトルが書かれた背表紙が飛び込んできた。
【呪いと病の対処と治療】
焦げ茶の背に黒い文字で綴られたタイトルを見て、渚冬は安堵した。
脚立を数段上り、目的の本へと手を伸ばす。
その本は分厚く、古びていた。
ずしりとした重みと共に本特有の匂いが鼻をつく。
渚冬は脚立に足をかけた体制のまま、その本のページを慎重にめくりだす。
「呪い……じゃなくて、呪詛……でもなくて、魔法陣……違う、魔呪祓い屋……でもない。治療…治療…病の、治療…………………………あった!このページだ!」
黄ばみ、あちこちが破れているページに目を走らせる。
「どんな病も、治す方法は……」
と、その時、不意に渚冬はバランスを崩した。
というより、本に夢中になりすぎて己が脚立の上にいることを忘れていた。
本をもっと読みやすい姿勢で読もうと思い、思わず脚立を掴んでいた方の手を放してしまったのだ。
「う、あぁっ!」




