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渚冬 loss

中学3年生15歳の天音雫です。


何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。



周りを見渡せば天井まである本棚にびっしりと本が詰まっている。


あちらこちらに長い脚立や呼び鈴が置いてある。


壮大な空間に書物の匂いが満ち、それに異世界じみた何かを渚冬は感じた。


「ほへー!すごいな!ここ!渚冬ーお前、こんなところ知ってんだな!すげーな!!」


隣で目を輝かせる夕星に、渚冬は呆れて溜息をついた。


仏頂面のまま黙り込む。


まさかここまでついてくるとは思わなかった。


計算外の夕星のしつこさと鋭さに渚冬が敗北した結果が現在であった。


家を出てすぐ、渚冬は夕星に捕まった。


家が近いこともあるが、渚冬が家に数日引きこもりっぱなしで、祐月叉にも姿を見せなかったため、不安がった夕星はここ数日、渚冬の家の周辺をうろついていたらしい。


話を聞いたとき、夕星は罪人を見張る執行人なの?と喉元まで出かかったことばをかろうじて飲み込んだ。


だが渚冬は、何かあったのかという夕星の問いへの答えも一緒に飲み込んでしまった為、夕星の疑心をMAXにしてしまった。


家族状況を尋ねられ、渚冬自身の健康状態を尋ねられ、持ち物を尋ねられ、行き先を尋ねられ、執行人の尋問さながらの質問の数々に曖昧に答えた。



その結果、少し離れた【久遠書架】(くおんしょか)へと向かうという情報だけが誤魔化せず、夕星に的確に握られ、何処だそれ!!俺もついてく!!と、謎に張り切られ、………………今に至る。



何度も振り切ろうとしたが、夕星には叶わない。


狙った獲物は逃さない、ハンターの才能があるのではないかと、渚冬は密かにそう思っていた。

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