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星無し夜の中二病

鉈で武装した男がアイレーアに向かってくる


「死ねガキがあ!」


鉈が振り落とされるがアイレーアはそれを殴って弾き、生まれた隙で男の腹に拳を入れた

着撃の瞬間に魂の炎が爆発し、男は遥か後方まで吹っ飛ばされた


三人同時に向かってくる

アイレーアは二人を殴り、最後の一人は思い切り蹴った


銃口が向く

が、発破する前にアイレーアの素振りから放たれた炎の塊が射手の元に飛来し、遠隔で狙撃手を殴り飛ばした


「ダメだ近寄れねえ!」

「待て、あの竜の傷消えてってねえか?」

「このクソめんどくせえ状況下で自動再生持ちかよふざけんな!」


地下街の住民が続々と集まって来る

時間が経つにつれ、その場にいた野次馬だけでなく噂を聞きつけた強者も来る様になってきた


「どけよ雑魚共」


現れたのは、ロケットランチャーを抱えたガタイの良い男


「あれは俺が仕留める」


男はアイレーアと向き合う

対するアイレーアも構えるが、一瞬青炎が揺らぐ


「く…ジュピター!何をしているんですの!?早くそれを仕留め…」


次の瞬間、全快した白竜が立ち上がった

その袂にはジュピターと消え行くブハが居る


「終わったよ」


「はぁ!?」


白竜は復帰早々、光り輝くブレスを吐き浮浪者を消散させた


「何してるんですの!?」


「治した」


ジュピターはアイレーアの元まで行くと、彼女を竜の背まで導いた

竜は抵抗する素振りも見せない


「これは一体…」


「君の言う通りだったよ。アイレーア。この子はシータの友達だ」


"グワウ!"


「は…はぁ…」


訳が分からないまま、アイレーアも龍に乗り込もうとした時だった


「待てごらぁ!」


ランチャーを構えた大男はピンピンしていたが、彼が何かする前に龍は飛び立った


「あの方を放っておいて大丈夫ですの…?」


「問題ないんじゃないかな。多分」


ロケット団が後方から迫ってくるが、一行の上を飛んだり竜の下を通過したりでまともに当ったものは無かった


「アンツールにも強い人は居るけど、少なくとも彼は違うと思う」


ジュピターは竜の尾の先に立つと、両腕を広げ最後のロケット弾を一身に受けた


「ジュピター!?とうとうおかしくなったんですの!?」


ジュピターは振り返る

黒焦げになっていたが傷はついていなかった


「ね?…ケホッ」


黒い煙を咳き込みながら、ジュピターはドヤ顔する


「そのうち本当に死にますわよ…貴女…」


「上等」


雲を抜け、白龍は灰色の雲海と漆黒の空の間を往く


「ねえ、アイレーア」


「何ですの?」


「星って知ってる?」


「ほし…?何ですの?それ」


「昔はね。空にいっぱいあったらしいよ。光り輝く粒みたいなのが沢山」


「ふぅん。変なおとぎ話ですわね」


宇宙が膨張を続けた結果、星々の距離は途方も無く離れた

地球を照らす太陽も月ももう無く、この星の環境はパラゴンの管理によって辛うじて維持されていた

オーメントピアの終わりが何を意味するかは、ジュピターも良く理解していた


「…ところでジュピター」


「何?」


「この龍は何処に向かっているんですの?」


「知らないよ」


「…え?」


「まあ、何とかなるでしょ」


ジュピターはあくびをすると、そのまま竜の背で眠った




広大な劇場

遥か上部から差し込む紅薄明かりだけで照らされている

劇場では誰も演奏していない壮麗な音楽が流れる

中央には円形の舞台があり、そこに少女が一人佇んでいる


纏うのは赤いドレス

目は虚で、自らにすら聞こえぬ譫言を吐いている


舞台の360度を囲う観客席には、仮面をつけ一様な黒いスーツに身を包んだ観客達がいる

彼らは何を言うでもするでも無く、ただ少女を見つめていた

少女の背後の舞台袖からは、その光景を恍惚とした表情で一人の女性が見つめていた


ピンク色の長く美しい髪

青い瞳

纏うのは上等なドレス


「良いわ…最高だわ…!何て美しいの!彼女…彼女こそ、わたしの家族に相応しいわ!」


他の観客が続々と劇場を後にし、その場に女性と少女だけが残る


「ファミリーカンパニーは今日でおしまい。だって、わたしにはもう最高の家族が出来たんですもの!」


劇場が炎上する

天井は焼け落ち、壁は剥がれ、そこは元の廃墟に戻った


「これからはわたしのモノ…わたしだけの家族よ…シータ…」




ゼルは神妙な面持ちで、物言わぬ無線機を耳元から下ろした


「だめだ。応答が無い。そっちはどうだアザミ姐」


「どこにも痕跡が無い。あの子にこんな隠密スキルは無かった筈だが…」


「せめれジュピターと連絡が取れれば…」


不意に、二人の間に上空から一羽の神鳥が降臨する


「ッチ、こんな時にモンスターかよ!」


「待て。こいつは確かジュピターが使役していた魔物だ」


二人が自身の事を認識したのを確認すると、神鳥バユはゆっくりと飛行を始めた


「ゼル」


「ああ。着いてくぞ」

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