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ゲームが全てを支配する世界ですが、今日も元気に配信します!  作者: ぬるぽガッ
プロローグ どうにも、彼女は全てを持っていた様に見える
22/42

どっちなんだ?人間が神の失敗作なのか、それとも神が人間の失敗作なのか

開戦

コトリンはすぐさま百銃王を召喚し、現人神(あらひとがみ)白ナマコに向けて進撃させる

弾丸は全て彼の少し手前でぴたりと制止し、御身に届く事は無かった


白ナマコは大槌を持ち上げ、鋼の獅子に向けて振るう

爆御が滑り込みその攻撃を受けたが、一撃で許容量を超過しひしゃげ、爆散した


「…っ」


最強の盾が一撃で屠られ、コトリンは一瞬動揺する

だが、思考を止めている暇は無い


次に現れたのは屠猿

屠猿は生き残った銃王と共に白ナマコを挟みうつ

銃王の弾丸は全て防がれたが、屠猿の拳は彼の不可視の結界を突破した


「ふん!」


屠猿と白ナマコの拳が激突する

一瞬拮抗した様に見えたがすぐにそれも崩れ、競り負けた屠猿は後ろに大きくのけぞった


「【道拓(どうたく)】」


光の剣や槍が無数に生成され、弾幕となって屠猿に向かっていく

爆御が二機射線を塞いだが、上宙に瞬間移動した白ナマコの大槌の一振りによって二機同時に破壊された

防御を失った屠猿はそのまま弾幕を一身に受け、10秒経たずに爆発しスクラップになった


(だめ…こんなの勝てないよ…!)


白ナマコが余りにも圧倒的で、一瞬で戦力を大きく削られた上に情報が殆ど手に入らない

メインウェポンであろう大槌の火力の全容すらも分からない


(いいや…まだだ…)


少なくとも、光の武器の弾幕には爆御を落とせるだけの火力が無い事が判明した

近接攻撃なら防御を突破できると言う事も


(まだ手持ちはある。近距離戦が強い大型で行けば…)


白ナマコの姿が、蛍火となって散る


「!?」


次の瞬間にはもう、コトリンの真上から大槌が迫っている最中だった


「!!!」


身を転がし、コトリンは間一髪でその一撃を回避する

着撃地点には光の爆発が巻き起こり、大きなクレーターが出来た

余りの攻撃に大地は揺れ、コロシアム全面にひび割れが走った


「ま…だまだぁ!」


コトリンの背後に多頭崩壊乃大蛇が現れる

大蛇は顕現早々、白ナマコに向かって九本のレーザーを吐いた

レーザーは全て当たったが、シールドに守られ弾かれる

それが球形である事が判明した


白ナマコは高速で大蛇まで移動し、胴体に一撃拳を入れる

大蛇は内側から爆発していき、ばらばらと崩壊していった


「は…はぁ…はぁ…」


その隙に、コトリンは白ナマコの背後まで移動する

道すがら、大量の巡視者をばらまきながら

手持ちの贅魔王二体と贅征神君も放ち、巡視者に磁気飽和を付与する


無数の巡視者が、亜光速で白ナマコに群がる

小さな牙に噛みつかれるが、彼は一切の外傷を被らなかった


(磁気が蓄積しない…てことは、状態異常にも完全耐性か…)


白ナマコを中心に光の大爆発が起こる

コロシアム全体を飲み込むそれは、巡視者も贅魔王も贅征神君もコトリンも、全てを平等に吹き飛ばした


「きゃああああああ!」


背後に爆御を呼び出そうとしてもう居ない事を思い出し、代わりに着地地点に巌進を召喚した


"ガンッ!"

「あう…」


硬い外装に衝突する

光の武器の弾幕が迫ってきていたので、コトリンはボロボロの身体を転がして巌進から降り、離れる

巌進は無数の武器でズタズタに破壊された


「…う…」


コトリンはふらふらと立ち上がる

既に身体も衣装も焦げだらけだ


「…だ…まだ…」


その後もコトリンは戦った

戦略など意味を為さないと気付いてからは、手持ちの機械をありったけぶつけた

どれも10秒持たずに破壊された上に、白ナマコは疲労の兆候一つ見せなかった


「………」


傷一つ無い白ナマコ

対するコトリンは、機械の破片を杖代わりにしてようやく立てている状態だった


「…そうか分かった…あんたはうちを痛めつけたいから、この戦いに参加させたんだね…」


「パラゴンゲームは神聖な物だ。参加したからには、誠心誠意最後まで戦って欲しかった。それだけだよ」


「ふ…へへ…そうか…そうだよね…」


コトリンは白ナマコを睨む


「此処に立つ事を選んだのは、うち自身だ…」


最後の一機が召喚される

三本の足、三つの目、三枚の翼、屑鉄を繋ぎ合わせた様な見た目の八咫烏

この魂束鳥(こんそくちょう)に、コトリンは自分の運命を預けた


"コフ…!コワアアアアアアアアアアア!!!"


魂束鳥が鳴く

まるで誰かが泣き叫んでいるかの様な、悲痛な音色だった


散乱したスクラップから青白い光が立ち上り、魂束鳥に集まって行く


"グワアアアアアアアアアアアアアア!!!"


耳をつんざく鳴き声と共に、魂束鳥は白ナマコに突撃を開始した

鳥だと言うのに飛行能力は無い


"グエ!グエエエエエエ!"


「何だいこれ」


白ナマコは大槌を振るう

ガンッと言う澄んだ音がしただけで、魂束鳥は無傷だった


「!?」


"グエエエエエエエエ!!!"


魂束鳥は狂った痙攣の様な身のこなしで、白ナマコを翼で叩いたり(くちばし)で突いたりした


「何だこれ、動きが読めな」


魂束鳥は股下を潜って背後に回り、飛び上がって嘴を振り下ろす


「く…」


白ナマコは瞬間移動で距離をとる

鳥は不発と判った瞬間すぐに体勢を立て直し、ターゲットに猛ダッシュする


嘴が迫り、白ナマコは大槌で受けようとする

魂束鳥は頭を引っ込めて大槌の下を通過し、そのまま彼の胴体に嘴を突き刺した


「うぐっ…何だよこれ!?」


光の剣と槍が降り掛かるが、魂束鳥はびくともしない

再び瞬間移動をしようとしたが、実態が消える前に翼でうたれて中断する

そのまま白ナマコは何度も攻撃を受けた事でとうとう膝をつき、その時点で勝敗は決した


何度も何度も嘴が振り下ろされる

嘴を受けるうちに白ナマコの身体はみるみる原型が無くなって行き、ミンチになって行く


取り込んだ全ての機械獣の魂を使い切ったため、魂束鳥はばらばらと自壊しスクラップになった


白ナマコだった物から宇宙が噴き出す

銀河はコロシアムを包んだが、星の誕生と消滅がとてつもない速さで行われ、最終的には無だけが残ってその宇宙は消えた


 『第一試合

 勝者:コトリン

 両者位置につき次第第二試合を開始します』


「凄いや…神様相手でも魂束鳥ぶん投げ戦法は有効なんだね…」


「神と無敵は同義語では無いからな」


恐怖の大王アンゴルモアが、拍手しながら観戦席を降りて来る

壊れた機械獣や白ナマコが光の粒子となって立ち昇り、幻想的な風景を形作る


「…あれ?」


コトリンは手持ちを確認したが、機械獣が戻ってきている様子は無い


「パラゴンゲームと言えど、使った資源が戻って来る事は無い。もっとも、パラゴンの指す死亡ペナルティはあくまでコインとアイテムの事で、何もせず負けていても貴様の機械獣は失われていただろうがな」


再び青いマーカーが灯る

コトリンは回復ポーションで傷を癒そうとして、


 『補助アイテム使用不可』


と阻まれた


体力も無い

武器も無い

相手はこのイベントの覇者


「はは…勝機どこ…?ここ…?」


コトリンはマーカーに辿り着くと、そのままうつ伏せに倒れた

全身に刺し傷や火傷を負い、脇腹の辺りからの出血が止まらない

口からも鼻からも血を流し、唇は痙攣している

肋骨と左足も折れている

コトリンはもう、瀕死だった


アンゴルモアはマーカーの上に立つ


『第二試合開始』


アンゴルモアは剣を手に、コトリンの方に歩いて行く


「貴様の戦いは見事だった」


アンゴルモアは剣を振り上げる


「最後まで戦い抜くその姿勢にも感服だ。誇れ、貴様は成し遂げたのだ」


「………」


「よくやった。コトリンよ」


アンゴルモアが剣を振り下ろす

コトリンは身を転がしてそれを回避した


「何?」


コトリンは磁界門に手を突っ込んで、最後の一体の機械獣、巡視者を掴んでアンゴルモアに投げ付ける

アンゴルモアはそれを叩き切ろうとしたが巡視者は身を反らしてそれをかわし、手の甲の辺りで自爆した


「っつ…」


熱と衝撃で、アンゴルモアは思わず手を離す

その隙にコトリンは剣を蹴り上げ、立ち上がると同時に空中のその剣をキャッチした


「ぐぷっ…」


折れた肋骨がコトリンを傷つけ、彼女は吐血する


「どう…したの…?」


コトリンは見よう見まねで剣を構える


「やらないの…?大王サマ?諦めるなって言ったの君達でしょ…?」


「ふ…」


アンゴルモアが王冠を外すと、それは変形し両手剣に変わった


「良いだろう」

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