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ゲームが全てを支配する世界ですが、今日も元気に配信します!  作者: ぬるぽガッ
プロローグ どうにも、彼女は全てを持っていた様に見える
10/42

悲観主義者は風にうらみを言う。 楽観主義者は風が変わるのを待つ。 現実主義者は、帆を動かす。

(一目惚れした子がまさか推しの配信者だったなんて。これがタイプって奴なのかな)


キソゴンゾウは、コトリン宅の床に寝転がりながら物思いに耽っていた

ついに彼は、彼女の変身シーンを少しも直視する事ができなかった


(…流石に高嶺の花過ぎるかな)


諦めかけたその時


"少なくとも、君の気持ちはスッキリさせた方が良いよ"


ゴンゾウの脳裏にふと、いつか投げたスパチャへのコトリンの返答が反響する


(…そうだよな…)


ゴンゾウは立ち上がる


(アドバイスをくれた相手に実行するのは少し変な感じだけど…どうせなら当たって砕けろだ!)




瀕死の坂DOOONとは対照的に、二人のノーブルスは無傷だった


「髑髏と愉快な仲間達が妙な事を計画しているのは知っている。大人しく組織の情報を渡せば、命だけは見逃してやろう」


「仲間を裏切るくらいなら、死んだ方がマシです!」


「そうか。じゃあ、死ね」


次の瞬間、二人は突然の弾丸の雨でミンチになった


「は?」


坂DOOONはアパートの上を見上げる

そこには先のギルド対抗戦で猛威を振るっていた機械獅子、銃王が鎮座していた


「お待たせ~い!」


コトリンは、空中に出現させた爆御を足場に地上まで降りてくる


「騙しちゃってゴメンね~!お詫びに、何でも一つお願いを聞いてあげる!」


「な…何でも?」


「勿論!うちに二言は無いよ!」


「じゃ…じゃあ…」


アパートからもう一人出てくる


黒ローブにネックウォーマー、銀髪銀目に履くのはサンダル

キソゴンゾウだ


「コトリンさん!」


「はい!何でしょうか!」


「好きです!僕と…お…お…おおお友達になってくれませんか!」


「良いよ!」


「やったああああああああ!」


キソゴンゾウは、"お付き合いしてください"と言ったつもりであった


「それで、君はお願い事決まったかな?」


「僕は…」


無数の車が、コトリン達を取り囲む

無線で報告を受けたノーブルスの増援だった


「お願いします!どうか、この状況を何とかして欲しいです!」


「オッケー!」


重武装のノーブルスが我先にと下車してきて、コトリン達はあっという間に銃口に囲まれた

いち早く危機を察知したキソゴンゾウは、結界術により身を隠した


「公務執行妨害及びノーブルス隊員殺害の罪により、コトリン、お前を処刑する!」


「公務?随分と横暴な政府だなぁ。裁判はしてくれるの?」


「我らが統治に、審判など必要無い!」


銃が一斉に火を噴く


「【コール】!」


コトリンが声高らかに叫びと、銃弾は全て揚力を失い落下した


「うちコトリンは!パラゴンの名の元に、ノーブルスへギルド対抗戦を申し込みまーす!」


坂DOOONとキソゴンゾウは、ほぼ同時にコトリンの方を見た


「あの…正気ですか…?」


不安げな坂DOOONを他所に、コトリンは更に付け加える


「開戦は、君達がかけたネット凍結が解消さる16時間後!勿論、髑髏と愉快な仲間達もうちの陣営として戦います!」


「はああああああ!?」


「うちが買ったら君達は終わり!君達が勝ったら、うちの持ってる証拠データはぜーんぶ消失!どう?悪くないでしょ?あ、もちろん告発は、戦いが終わってからするよ!」


パラゴンの名の元に宣誓された、神聖な"コール"

ノーブルスが返答するまで、お互い一切の攻撃行為が行えない


「この件はノーブルスに持ち帰り、厳正に会議にかける。定刻までには返答すると約束しよう」


「おっけー!よろしくねー!」


コトリン討伐を諦めたノーブルスは、武器を収め続々と帰って行った


「はい!何とかしたよ!」


「何ともなって無いですよ!とんでもない厄介事を100万倍にして16時間後に先伸ばしただけじゃ無いですか!」


キソゴンゾウも再び姿を現す


「大体、うちのノーブルスが対抗戦に応じるメリットがどこにも…」


「あるよ!と言うか、向こうはどう頑張っても受けるしかない!」


「と言うと?」


「もし受けない場合、うちは逃げ続けるだけで勝ちになる。向こうからしてみれば、ネットが復旧するまでにうちを倒さなきゃ終わりだからねぇ。逆にもし対抗戦でかてさえすれば、情報漏洩は無し!その上、ネットをあと4回は止めれるくらいのコインまで手に入る!

…むしろ、この戦いにメリットが無いのはうちの方なのだよ」


「確かに。こりゃノーブルスも受けざる負えないな。待てよ、だったら逆に、何でこんな戦い挑んだんだ?」


コトリンは、飛び切りの笑顔で笑いかける


「ノーブルスVSコトリン!こんなに大バズりしそうなネタ、他にある?」


「数字ジャンキーもここまで来れば立派なもんだな…」


「ふふん!こっちも遊びでやってるわけじゃ無いのよ。半分くらいは。それに」


コトリンは、坂DOOONの方を見る


「ファンとの約束は守る!それがうちのポリシーだよ!」






一方その頃

ノーブルス本部


会議は、概ねコトリンの想定通りに進んでいた


「受けると言うのですか!?あの者の挑戦を!」


ノーブルスギルドマスター、ソルトは、多数の幹部からの叱責を受けていた


「奴の目的は、復讐でもなければ正義の名の元の断罪でも無い!我々をダシに、ただ金儲けをしようとしているだけですぞ!」

「我々にはわざわざギルド対抗戦を行うメリットが存在しない!即刻却下すべきです!」

「だから私は間引きなど反対したのだ!治安維持活動を理由にした自己強化の怠慢を、高位のプレイヤーを始末する事で無理矢理帳消しにするなど…」


野次をひとしきり聞いた後、ソルトは漸くマイクの電源を入れた


「君達の意見は最もだ。常識的に考えれば、確かにこの戦いは受けるべきでは無いと言える。だが、今この状況は、完全に平常から外れている

奴には我々を破滅させられるだけの間引きの証拠と、ノーブルスの総力を以てしても影すら掴めない潜伏能力がある。奴からしてみれば、配信外でやっている事を少し長引かせれば良いだけだからな。

もし断れば、奴はネットが復旧するまで二度と姿を現さないだろう」


「そうと決まった訳ではありません!我々にはまだ時間が…」


「貴重な残り時間を捜索に浪費すべきか、来たるべき決戦への備えに使うべきか。我々に残されたこの二択で投票をしよう」


ギルドマスター以外の幹部、総勢176名が投票に参加した

結果は87対89で、ギルド対抗戦を受ける事に決定した


「こんなの横暴だ!」

「再投票を要求する!」


その後何度か再投票が行われたが、対抗戦への票が増えて行く結果となった


「これより大至急、ギルド対抗戦用特別体制へと移行する。各地には治安維持に必要な最低限の人員を残し、ノーブルスの全戦力を本部へ結集する!」




灰の戦線

そこでは日夜、西より侵攻してくる危険な魔物や敵対勢力とノーブルスの激戦が繰り広げられている

常に降り注ぐ灰によって、そこに存在する何もかもが灰色に染まってしまう事からその名が付けられた


アウレリウスは灰の戦線の防衛部隊、通称“?灰鎧大隊(はいがいしょうたい)”の隊長で、ノーブルスでは数少ない第四次役職でもある

後ろで縛られた銀色の長髪

銀色の瞳

無精髭も銀色

装備は、軽装の上からカーボン製部分鎧

大男と言う訳では無いが、腕や足には確かにがっちりとした筋肉が付いている


「緊急招集だと…?」


そんなアウレリウスの元に赤紙が届いたのは、決議より一時間後の事だった

こうしている間も、敵の大規模攻撃によって彼の居るテントが大きく揺れる


「正気か?」


アウレリウスは書状を読み進め、本部で何があったかを理解する


「正気じゃ無いらしい」


自分が今ここを抜ければ、間違い無くこの前線は維持できなくなる

全てを丸く収めるには、敵に自身の不在を悟られないようにしならが早急に対抗戦を終わらせ、また直ぐにここに戻ってくるしか無い


「相手は髑髏と愉快な仲間達とコトリンか…これまた一筋縄じゃ行かなそうなとこと…」


アウレリウスは葉巻を一口あおる


「仕方無い」


アウレリウスは沢山の部下に見送られながら、数人の精鋭と共に、その日のうちに装甲馬車で本部に戻った






コトリンは、髑髏と愉快な仲間達の本部にやって来た

そこは酒場の様な場所で普段は賑わっているのだが、メンバーは皆、リーダーの死に喪に服していた


「どうも~!オーメントピア1番の人気者、コトリ…」


登場早々、コトリンは喉笛に切っ先を突き付けられた


相手は金髪赤目の女剣士

左目には大きな傷跡が走っている


「お前…なんてことしてくれたんだ!ノーブルスとの喧嘩にあたしらまで巻き込みやがって!」


「ご…ごめん…」


そこに、坂DOOONが仲裁に入る


「や…やめてくれよカリーナ!彼女は僕の命の恩人なんだよ!」


「お前もお前だ"暫定リーダー"。何でこいつのコールに同意しやがった!?」


「それは…もとからそのつもりだっただろう!」


「相手はノーブルスだぞ!?こっちにも色々準備ってもんがあるんだよ!挑むのは最低でも二か月後って話だったろ!」


今度は坂DOOONとカリーナの喧嘩になり、更に仲裁が入る

眼鏡をかけ、艶やかな黒髪をかっちりとセットした長身の男性、ブルドッキングだ


「私から言わしてみれば、コトリン氏の判断に誤りは無かったと言える。そもそも、この厳重なマーク下で2か月も過ごせる訳が無いのだよ

むしろ、これ程までに奇襲性の高い宣戦布告もそう無い。準備が出来てないのは向こうも同じだろう」


「んなのは!…解ってるが…」


カリーナは刃を降ろす


「最も、私の仮説はコトリン氏がただの目立ちたがり屋の間抜けでない事が前提で成り立つものですが」


ブルドッキングも、少なからずコトリンへの敵対感情はあった

勝手に巻き込まれたと言う思いはあったからだ


「あはは…なんかごめんねーみんなー」


「気にしないで。みんなリーダーが死んじゃって怒ってるだけだから」


斜め下からの静かな声がコトリンをなぐさめる

そこには、コトリンの膝上程度しか背丈の無い、長い白髪に青目で、純白のワンピースを纏った少女がいた


(か…かわ…かかわ…)

「君も、このギルドのメンバーなの?」


「うん。リーダーがいなくなっちゃったから、今ではリラだけがだいよじやくそく?なんだよ」


(かかかわかわかかわわかわ)

「そっかぁ。凄いんだねぇ」


コトリンは思考停止していたが、長年の配信者生活で培われた脊髄反射だけで会話を成立させた


「申し訳ございません。少し感情的になりました。二階にお部屋をご用意しましたので、こちらへどうぞ」


ブルドッキングは謝罪と共に、コトリンを簡易ゲストルームに案内した

道中、リラも付いてきた


「開戦まで、このギルドの物は自由に使っていただいて構いません。それでは私はこれにて。何かありましたら内線電話をお使いください。必ずギルド内の誰かが出ますので」


ブルドッキングはそう言い残し、部屋を後にした

コトリンはベッドに座り、リラはイスの上で体育座りしている


「うちに何か御用ですか?リラ…さん?」


コトリンがそう呼ぶと、リラの態度や挙動は急変した


「あらごめんなさい。流石に不愉快だったかしら?」


「いえいえそんな滅相もございません」


リラは微笑むと、机の引き出しからベイプを取り出しふかし始める


「それで、いつ気付いたのかしら?」


「もし本物の子供だったら、第四次役職なんてなれないと思ったので」


「たまたまスキルブックを手に入れただけかも知れないわよ?」


「それとあとは…その"仮面"ですかね?今は剥がれていますけど」


「………」


リラは少し考え、直ぐにコトリンが自分と同類である事を察した


「うふふ。どうやら貴女は、ブルドッキングが言ってる様な目立ちたがり屋の間抜けでは無いようね。そう、貴女の御察しの通り、(わらわ)は転生者よ」


ゲームを辞める意志を持ったまま死ぬと、このゲームを降りられる

ではクリアするにはどうすればいいか?

何度復活しても良い。ただ、老衰まで生存し続ければ良いだけだ


通常、クリアした場合も復活はしなくなる

しかし、天文学的な確率でごくごく稀に手に入る"輪廻の宝珠"と言うアイテムを所有したままクリアを迎えると、役職やステータスの一部を引き継いだまま、レベル1から再誕することができる

そうして二周目以降を迎えたプレイヤーは転生者と呼ばれ、常に畏敬の対象となっていた

輪廻の宝珠を手に入れ、クリアまで保持し続けられる程の実力者だと言う事だからだ


「この事は秘密でお願いね。ギルドでは、たまたまスキルブックを拾ったラッキーガールって事で通してるから」


ベイプの煙が、チョコレートの香りと共に部屋に充満していく


「あら、気分が良くなって少し吸い過ぎたわ」


「リラさんはどうやって転生できたんですか?うちも一個持ってるんですけど、ちゃんと使えるか不安で…」


「それはもう最後の方は大変だったわ。みんな妾の宝珠を狙って襲い掛かってきたわ。それでも優秀なギルドメンバーに守ってもらって、最後の数日はひとけのない樹海の中で過ごしたわ。やっぱり入滅は自然の中に限るわね」


不意にリラは、コトリンの隣に移動する


「コトリン、妾と手を組まないか?」


「?」


「妾とお主が協力すれば、ノーブルスだけじゃのうて髑髏もとれるぞ?」

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