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エッセイ集

フィクション作品でのこだわり

作者: 令月和邦

自作品に対する姿勢についてです。

 随筆を書く時は、自分の主義主張を書くだけであるので、これといったこだわりは無いが、フィクション作品を書く時には、やはりこだわりを持って執筆するようにしている。

 理由としては、フィクションは所詮実際には無かった事を書く訳なので、どうしても嘘くさい話になってしまうからである。そうした実際には無かった話を如何に本当にあった事のように描くかが、作家には問われていると私は考えている。

 私はフィクション作品に必要なのは、ドラマ性だと考える。そこで重要なのは、ドラマを作り上げるのは「リアリティ(現実性)」ではなく「説得力」であると考えている。よくドラマ等で「この作品はリアリティが云々」と言われるが、それは実際には正しくない。何故ならばリアリティを追及し過ぎると、作品の行動範囲を狭めてしまうからだ。

 試しに貴方は、推理小説を書くとする。その小説の主人公は探偵で殺人事件の現場に鉢合わせた。しかし、警察が来ると現場から締め出されて捜査に参加出来なかった___。

現実には、こうなるのが正しいだろう。しかし、読者が求めているのは探偵が警察と協力して犯人を追い詰める____、といった展開のはずだ。そこにはリアリティは無い。だがしかし、そこには強い説得力がある。つまり、読者が「こうであってほしい」と思う展開だ。ここで大事なのは、「リアリティはなくてもよいが、説得力がない展開はダメ」という点だ。SFやファンタジーではよくある展開だが、主人公たちが危機に陥るが、なんの理由もなく危機を回するようなモノだ。これでは一気に嘘くさくドラマ性が無くなって作品の世界観をやせ細ったものにしてしまう。所謂「ご都合主義」が批判されるのはこの為である。

 こうした事態を避ける為に必要なのが、「伏線」という作業である。作者は予め読者に裏設定を説明しておく。そしていざ、展開が動く時にその裏設定を利用する事で読者を納得させるのだ。例としては推理小説のトリックを遺留品等で明かす展開だろう。名作と呼ばれている作品はここが優れている。


 話は変わって、私なりの作品づくりについて語っておきたい。私は作品の流れは自然の成り行きにまかせている。予め人物像を設定しておいて、その人物に合わせて展開を決めている。今鋭意執筆中のヨーロッパ風の架空歴史モノもこの枠組みに拠っている。

 従って、私はハッピーエンドがいいかバッドエンドがいいかというのは、特にこだわっていない。あくまで自然の成り行きと説得力による展開を重視している。とはいえ、やはり私が好きなメロドラマや歴史物の影響からバッドエンドにならざるを得ない面もあるのが実情である。ハッピーエンドは調整が難しく、ご都合主義になりがちで説得力に欠ける。こうした事は念頭におきながら創作をしていきたい、

 あと、私個人のこだわりだが、よくある「異世界転生」は絶対に書かないと決めている。理由は人生は一度きりだとこころがけているからだ。たとえフィクションであっても現世を軽々しく扱う事があってはならない。ファンタジーであっても、あくまでそこの世界で力強く生きる姿を描くべきだと考えている。


  長くなったが、これらの事をその他の作者の方の参考になれば私としては幸いである。


最後までお読みいただきありがとうございます。

あくまで私個人の姿勢ですので、ご参考までに。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 同じく転生ものは書きません。理由は流行に流されているようで嫌なのでしょうか。それとも、単純に自分が古い人間だからなのでしょうか? 明確ではありませんが、力の限り生き抜く登場人物たち、の、件…
2021/12/14 20:32 退会済み
管理
[一言] 必要なのはリアリティではなく説得力。 面白い視点だと思いました。
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