幼馴染彼女がケーキを持って来てくれた。俺のために。
「はい!これ。タルト生地から頑張って作ったのよ。ちょっと大変だったけど、市販のビスケットを砕かずに全部手作りにしたの!!シンジを喜ばせようと思ってさ!」
マヒロが俺に。
きれいな白い箱に入ったチーズケーキを手渡そうとした時だった。
ピコン...!
メールの着信音が響いた。
俺は今、携帯を持ってない。
マヒロがズボンのポケットから
iPhoneを取り出した。
俺はすぐ様。
「ちょ、それ、貸して...!!」
とマヒロからiPhoneを奪い取り、
リビングへと消えた。
「ちょ、シンジ...!!
返してよ、私の携帯...!貸してって
どーいうことなの...!?」
危なかった。
マヒロは俺を追いかけてこない。
玄関のたたきに突っ立ったまんま。
俺は深呼吸してから
iPhoneを慎重に操作した。
やはり。
恐れていたメール内容がマヒロの元へと届いていた。先に書いた内容はもとより、
さっきのメールの着信音は、
ミヒロによる、更なる追い討ちをかけた
内容だった。
さっきのメールで伝え忘れてたぜ。
俺ミヒロと寝た(イチャイチャした)
二回戦までした。
おまえより気持ち良くてびっくりした。
ミヒロの奴、
完全に火に油を注ごうとしていた...!
震える手で、
2通の受信メールを選択して、
俺は削除ボタンをタップした。
フッと何事もなかったように、
危険な匂いのするメールが一気に消えて。
俺は安堵した。
まだ、俺に挽回の余地はあった。
マヒロにとっとと帰ってもらう。
そして、
ミヒロを説得する。
「おまえとは今日の一度きり。
(正確には二度だけど)
俺のことはもう忘れてくれ。
俺はマヒロにぞっこんだから」と。