31 第2回水族館デート その2
2022.7.11 砂臥環さまからいただいたイラストを貼りました。
午後からは、予定どおり水族館へ。
ここは、ペンギンとイルカがメインらしい。どっちも新潟市内の水族館にもいるんだけど、ここは水槽を横からも見られるのがウリなのよ。
「雄樹くん、見て見て、ほら! 水の中を飛んでるみたい!」
陸上ではヨチヨチ歩きのペンギンも、水の中では素早い。弾丸のように、というか、小さな羽を翼のように広げ飛ぶように泳ぐ姿は、ペンギンのイメージを変える。
そりゃ、テレビとかで見たことはあるけど、目の前でっていうのはやっぱり違う。むしろ、そうやって実物を見るために水族館はあるんだろうし。
ショーじゃなく常設展示扱いだから、いつまでも見ていられるんだけど、まもなくイルカショーの時間だ。
ショー自体は、特に変わったことするわけじゃないんだけど、ここってシロイルカがいるんだよね。一般的なハンドウイルカとはだいぶ姿が違う。
「イルカショーって、わりとどこでも同じ感じなんだな」
雄樹くんは、あまりお気に召さないみたい。まぁ、ゴールデンにも水族館行ったもんね。
でもね、気付いてないでしょ。このショーのプールって、下の階にあった水槽なんだよ。
「ちょっと面白いこと考えちゃった。
次のイルカショーまでいようね」
「面白いことってなにさ?」
「内緒♪」
ほかの展示や土産物を見ながら時間を潰す。
なに、この細長い虫みたいなぬいぐるみ? え、チンアナゴ? チンアナゴのぬいぐるみなんてあるんだ。
なんてことをやってるうちに、次のショーの時間になった。あたしは、雄樹くんと一緒にイルカプールの下の水槽にやってきた。
当然というか、ほとんどの人はイルカショーに行ってるみたいで、ここはガランとしている。
「美弥子さん、ここ何? なんで魚入ってねえの?」
「この水槽はね、イルカショーでイルカが泳いでるプールなんだよ」
「イルカショーのプール?」
「そ。もうすぐ始まるからね。見てて」
要領を得ない雄樹くんに水槽を見てるように言うと、遠くで小さく、ショーのお姉さんの声が聞こえた。
同時に、目の前の水槽にイルカが入ってくる。
「あ、イルカ!」
「ね? この水面の上は、ショーの舞台なんだよ。で、ここは舞台裏。めったに見られないショーの裏側よ!」
ショーで高くジャンプした後、水面に飛び込んだイルカが深く潜ってからまた浮上する姿。
水面に体を立てて立ち泳ぎしているイルカが、水面下でヒレを動かしてる姿。
どれも普通は見られないものだ。
こういう水槽をわざわざ作っておいて、特に宣伝もしないのって不思議だなぁ。
「うわ、すげえ。ショーの下ってこんなんなってたんだ。
美弥子さん、なんでわかったんだ?」
雄樹くんも喜んでくれたみたいでなによりだね。
「さっきここ通った時、ちらっとイルカが通るの見えたから、きっとイルカの水槽と繋がってるんだろうなぁって。
位置的にイルカショーの下だったし」
「位置? なんでそんなのわかんだ?」
「パンフに案内図あるでしょ? あれの位置関係だよ」
「美弥子さん、すげえな」
イルカショーが終わった後、2人で帰った。
帰りは、途中で高速を降りて、オムライスが美味しいってお店に行った。




