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1000文字で完結する英雄物語

作者: 鳳仙花
掲載日:2020/06/08

「いくぜ!魔王討伐!」


俺が生まれた瞬間に発した言葉らしい。

この世界では不思議な事が多く起こるが、さすがに魔王討伐と言い出す赤ん坊は前代未聞。

だから皆、この子こそが勇者だ英雄だと祭り上げ出して、すぐに戦闘技術やら心構えを叩き込まれた。


しかも当然のように精神面のケアと生活支援まであって、至れり尽くせりの人生だ。

ただ、みんなが俺を丁重に持て成すから苦難という経験だけは得られなかったわけだが……先に結論を言ってしまえば問題無かった。

なにせ長年培った太々しい神経に加え、俺だから可能だという謎の自信があったためだ。


()くぜ!魔王討伐!」


そう俺は自分のシンボル的な言葉を口にして旅へ出た。

肝心の実力はちょっと腕が立つ程度だったが、致命的な負傷することは無かった。

何でも王国が俺のために安全なルートを確保してくれているらしくて、魔王との一騎打ちを託す算段だと。

しかし計算通りに行かないのが世の常だ。

負傷はせずとも俺は病を患ってしまい、目が眩むほどの倦怠感で動けなくなった。


「逝くぜ……魔王討伐…!」


本当に死ぬかと思った。

そんな時、懇親に看病してくれたのが途中で加わった仲間達だ。

自分達が感染するだとか気にかけず、常に近くに居てくれたのは感謝の想いしか無い。

おかげで俺は元気ハツラツ状態に復活を果たし、寝込んでいる間に確保されたルートを通って魔王城へ一直線だ。


「待たせたな、魔王!討伐しに来たぜ!」


「……だ、誰じゃ?我は…今…」


「む、もしかして病気か?これは大変だ!いくぜ魔王看病!」


出会ったとき魔王は病を患っていて、今度は俺が他人のために尽くそうと思って看病してやった。

これが運命の分かれ目ってやつだ。

まず日数をかけての看病だから魔王と話す時間が多かった。

しかも噂でしか知らない相手だったし、前々から抱いていた印象と違った性格だ。

要は『温厚で良い奴』だったわけだ。

更に魔王は生まれた瞬間に「やるぞ!人間との共存!」って言っていたそうだ。

もっと驚いた事に、この魔王は最近魔王として選出されたんだと。


なんてことだ!

俺が生まれてから二十年近くの間に相手の情勢が変わっちまった!

どうりで王国が順調にルート確保できたわけだ!


いや、しかし冷静に考えたら…二十年も昔の使命を成し遂げようとした俺の頭が堅かっただけかもしれない。

そして周りの人達も魔物の内情を知らなかったし、看病したからなのか俺は魔王に特別な絆を感じている。

だから今、新しい使命を掲げるぜ。


「いくぜ!人類と魔物の繁栄!」


それから俺は魔王と子どもを作り、第三の種族である魔人として世界征服……もとい、安寧の世を目指して統一した。

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