表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/13

ダンジョン攻略は面子が大事

「ま、まってくださ……ごぼっ、そろそろ後衛と替わった方が……げふっぐへぁっ」


 三人がかりでペチカを押さえ込み無理やりポーションを飲ませていた。

 ダンジョン攻略において、一番大変なのが魔力管理である。わらわらと湧いてくる敵を一掃できる魔法は必須だが魔力を消耗する。


 なので魔力を回復するポーションは必須であるのだが。


「うげぇっごほっごふぁっ!」


 ポーションを飲み干したペチカは思い切りむせた。

 レベル9000越えの魔力を一気に回復させるような効き目のいいポーションは基本酷く不味い。味がまともなのは高いので冒険者が自腹で購入することなどないのだ。


「ぐえぇ……ポーションの効きも弱くなってきてますし、そろそろ交代しましょうよ……」


「我慢してペチカちゃん! 魔法が得意でかつ魔力切れても前衛として動けるペチカちゃんに雑魚の殲滅せんめつを担当してもらうのが一番効率がいいんだから!」


「この効率厨どもめぇ……」


 物理魔法共に高水準でレベルも最大。冒険者最強の肩書きは伊達ではないが、時にそれが仇となる日もある。



 問題はそれくらいである。

 S級相当の実力者が八人。敵に合わせたエンチャントも済ませている。

 レベルと足並みが揃ったパーティが成立した時点でダンジョン攻略の八割は済んでいると言っていい。


 敵をすぐに処理できれば一度に相手する敵の数も消耗も減っていく。

 ダンジョン攻略はレベルを乗算する形で楽になるのだ。


 混乱に乗じて王国の戦士二人を暗殺しようとしている冒険者たちにとっては残念なことに、何事もなくダンジョン最新部までたどり着いてしまった。



「ボスかい?」


「ボスですね」


 これ見よがしに広い部屋の中央にこれ見よがしに大きな鎧騎士型モンスターが陣取っていて、奥の方には厳重そうな扉がある。どう見てもダンジョンのボス部屋だ。


「ここまでわかりやすいのはめずらしいね! 他のダンジョンもこうならいいのに!」


 パフェの言葉に冒険者は一同にうなずいた。ここで邪魔者は始末すればいいとわかるからだ。


「陣形はこのまま。敵の能力がわからないから様子見をしつつ臨機応変に。異論はないよね?」


 この状況では作戦はなくていい。個々の能力の高さを活かした正面突破だ。


「てやあーっ!」


 まずはパフェが一人飛び出して突っ込んだ。

 鎧騎士は刃渡り三メートルはあろうかという剣を軽々と振り回し、パフェへと振り下ろした。

 パフェは刃の先端を斧で受ける。


「剣はエンチャント付きの斧なら盾にして受けられるよ!」


 パフェが叫んだ。

 斧が砕かれたとしても体には届かない位置で攻撃を受け、その威力を測ったのである。


 その言葉を受け、ペチカ、ハルト、デスの前衛三人は前に出る。防御手段があるのなら、貪欲どんよくに攻撃を狙っていく。


 一人が鎧騎士の剣を受けている間に懐に潜り込み、斧を全力で振り下ろす。前衛にできるのはそれだけだ。


 人間はもろい。レベルがいくらあろうと素肌に斧を振り下ろされれば死ぬし、高レベルのモンスターの攻撃を何度も受けられる鎧なんかも存在しない。

 だから攻める。装備を使い捨てにして、防御手段を失う前に殺しきる。それが前衛の役目だ。


 鎧騎士が前衛の対処に追われている間に残り四人は魔法や銃でダメージを稼いでいく。

 通常ならばその方針が基本である。だがこの場は真っ当なボス戦ではない。


「ふぁぼぁーっ!」


 斧を振りながらペチカが奇声をあげる。それは攻撃の合図だ。


「ふぁぼーっ!」


 中衛、後衛の冒険者、エドとスノウが斧を抜いた。王国の戦士、ジャムとバターにそれぞれ切りかかる。


 金属音が響く。


「お前たち冒険者がそう動くことは読んでいたよ――」


 不意討ちは、失敗した。


「ここまでのマッピングは済んだ。後はお前たちを始末すれば王国軍だけでダンジョンを攻略できる。悪く思うな、先に仕掛けてきたのはお前たちだろう?」


 ジャムたち王国の戦士は冒険者たちの暗殺を予期していた。そしてあえて泳がせた。暗殺計画は彼らにとってチャンスでもあったのだ。

 冒険者たちが裏切れば、報酬を支払う必要もなく手柄は彼ら二人のものだ。


「みんなは早く向こうに行ってください! 今ならまだ間に合います!」


 ペチカが叫んだ。

 こうなればあの二人を始末した上でダンジョンの宝を持ち帰るしかない。

 そしてそれには鎧騎士も倒す必要がある。


「あの二人は強い、二対二では無理です! 五人がかりでさっさと倒してきてください!」


 鎧騎士を倒すには最低五人は必要とペチカは判断した。そして、ジャムとバターを相手にして犠牲を抑えるには五人でかかる必要があるとも。


「しかしペチカ! それでは君一人でボスを相手することに――」


「やってみせますよ。私を誰だと思ってるんですか」


「……死ぬなよ!」


 前衛三人が王国の戦士たちとの戦いに加勢した。おそらく数の差でそう時間はかからず押しきれるだろう。


「向こうの戦いが終わるまでの間、あなたには私の相手をしてもらいます」


 ペチカと鎧騎士は一対一で睨み合う。

 そして、二人の動きだしは全くの同時であった。

 鎧騎士はこいつら何やってんだろう? と思ってそう。

 ブクマが欲しいと思ってます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ