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Easy revenge&Easy life

「いいですよペン太郎! そのまま皆殺しにしてください!」


 ペン太郎と名付けられたドラゴンっぽいモンスターが街を破壊する。

 踏み潰された人間は缶に入ったトマトのように潰れ、炎に包まれた建物は石造りであってもバターのように崩れ去る。


 ある者は持てるだけのものを持って逃げ出そうとしてもろとも炎に包まれ、ある者は全てを失って呆然と立ちすくんでいたら踏み潰された。親とはぐれた子供は泣き叫びながら逃げ惑い。ペン太郎にうるさいとばかりに爪で切り刻まれた。

 まさに地獄絵図である。


 そしてそんな光景を眺めながら、ペチカは優雅にティータイムを楽しんでいた。


 人の不幸は蜜の味。普段は砂糖とミルクをたっぷりと入れる紅茶を今日はストレートで一口飲み、やっぱり口に合わずミルクと砂糖をたっぷりと入れた。


「最高です! これこそ私が見たかった光景! この世の地獄! 私たちを追い出したこの国に正義の鉄槌を! さあやりなさいペン太郎!」


 ペン太郎はうるさいとばかりにペチカを踏み潰した。ペチカは死んだ。



「――はっ!?」


 聖ジッカー教会。この世界では寿命以外で死んだ人間はここで復活する。正確には復活するポイントに教会を建てた。


 そんなわけでこの世界の人々の死生観は非常に緩い。命よりお金の方が価値がずっと高い。人間=ゴミと言われる所以ゆえんである。


「油断しました……ペン太郎め、誰が魔石をたらふく食べさせてあのレベルまで育てたと思ってるんですか。言わば私はママですよ。家庭内暴力反対です!」


 ペチカは憂さ晴らしにさっき見かけた人間ゴミの首をはねてから教会を後にした。

 どうせすぐ復活するから憂さ晴らしにしかならない意味のない行為である。


「早く戻らないと……ペン太郎が愚民ゴミをちゃんと掃除してくれてるといいんですけど……」


 ペチカはスタッカート王国に急いで向かう。自らの復讐がどう果たされるか、それを見届ける義務が彼女にはある。

 ――だが、それを阻む者がいた。


「ペチカ、ここまで……です。帰ってきてください」


「だ……団長!?」



「私がやったという証拠でもあるんですか?」


 スタッカート王国に出現したドラゴン型モンスター討伐の報告が届いた瞬間、それまで黙秘を貫いていたペチカは一転して強気の姿勢になった。


 ペチカに掛けられた容疑はモンスターの育成及び市街地へ誘導した罪。団長と呼ばれる髪の長い丸眼鏡の女と、猫獣人……というよりただの猫が取り調べに当たっていた。


「ぬ。ペチカがここ数日大荷物を持ってドラゴンの巣に何度も向かっていたとの証言が取れているんぬ」


「ドラゴン相手に戦うなら私も相応の準備が必要ですし、修行にも丁度いい。何もおかしな点はないと思いますよ、副団長」


「ぬうぅん」


 猫改め副団長とペチカは互いに情報を探ろうと火花を散らして牽制しあっている。


 だがペチカには余裕がある。モンスター誘導の証拠をつかまれるとしたら、ペン太郎が懐いてくるくらいだとわかっているからだ。

 そしてペン太郎が討伐された今、その心配はなくなった。元より懐かれていないからその心配はなかったわけだが。


 とはいえ状況証拠は揃っているので副団長も立場上このまま無罪放免とするわけにはいかないから困ったものである。

 一方団長は一人で黙々とカツ丼を食べていた。


「ただいまー! 今戻ったよ!」


 そんな空気の中に黒メッシュピンク髪の魔法少女が乗り込んできた。


「パフェ、今大事な話してるんぬ」


「ペチカちゃんがドラゴンを街に放ったことについてだよね! さっき倒してきたよー!」


「私は、ペチカはよくやったと思う。ナイス復讐。グッジョブ」


 パフェの後ろから青い髪のロリエルフが顔を出した。


「ですよね! 私もあれはなかなかスマートなやり方だと思ったんですよ!」


「ルーイは焚き付けるようなこと言うんじゃないぬ。つーかペチカそれ自白してるようなもんだろうじゃねーかぬ! 警察につき出されたいんぬ!? いや、いっそここで仕留めるんぬ!」


 副団長が斧を取り出すのに答えるようにペチカは斧を構えた。


「悪は滅びるんぬー!」


「死ぬのはあなたですよ!」


 二つの斧が交差する。


「ぐふっ」


 ペチカが血を吐き膝を付いた。


「ふっ、成長したんぬ……」


 一拍遅れて、副団長の首が落ちる。ペチカの斧はちゃんと届いていた。


 それはそれとしてペチカも出血多量で死んだ。こっちも致命傷。



 教会からダッシュで死に戻りして、ペチカと副団長は旅団に戻ってきた。


 ここは旅団【ポテトティー】。

 旅団とは、冒険者ゴミ同士が互いに支援しあう、難しく言えば労働組合、簡単に言えばルームシェアである。


 長く共に暮らす以上、自然とその団体に所属する者たち特有のルールのようなものが生まれる。男子禁制とか、レベルいくつ以上とか。

 明確に決めてるわけではなくとも、馴染めない者が自然と出ていった結果そうなるのだ。


 そして、この旅団【ポテトティー】がどのような連中の集まりかといえば。


「肝練りじゃ肝練りじゃ! 死んだやつは運が悪い!」


 夕飯の時間、団員の一人が豚汁のお椀のうち一つに毒薬を入れ、全力でシャッフルしている。毒入りを飲んだやつが死ぬというわけだ。

 ついでに翌日の食事当番も決まる。


 そう、この旅団は死ぬことを恐れないどころか率先して死ににいく狂人の集まりである。

 入団当時はピュアガールだったペチカも、このノリに感化され見事狂人の仲間入りを果たした。


「乾杯!」


 皆一斉に豚汁をすする。


「ぐえーっ!」


 ペチカは死んだ。

 ついでに他の団員は口の中をやけどした。

 見ての通りギャグ作品です。一話は詐欺。

 復讐は後々ちゃんとする予定です。

 ブクマが欲しいです。

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[一言] グェー死んだンゴ
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