エイサー王伝説が完成したんで、大学生は取材旅行、俺達は慰安旅行に行くことにしたぜ
前から制作を続けていたエイサー王伝説がようやく、テストプレイをしてデバッグやゲームの面白さを確認し、細かい所をちょこちょこ修正しての完成にこぎつけた。
仮短時間でできたのは既に作った経験があるうえに比較的プログラミングが楽なアドベンチャーゲームだからできたことだな。
「よし、エイサー王伝説もようやく完成できたな」
そして会長が聞いてきた。
「こちらはまたフェニックスへ持ち込む形でよろしいですか?」
「うん、フェニックスならアドベンチャーゲームの発売実績もあるしね」
「では私がアポを取っておきますわね。
日時が決まったらお知らせしますわ」
「うん、お願いな」
そういう話をしていたら島津さんが俺たちのところに来た。
「ちょっといいかな?」
「あ、はい大丈夫です」
「俺たちが大学の夏休みの間に全国の有名な観光地を取材に回って、どこにどのようなものがあるか確認して、ゲームに反映させたいんだがその許可とある程度経費をもらえるかな?」
「ああ、たしかにそのほうがいいですよね。
会長、これはやってもらっていいよな?」
「ええ、取材でしたら経費で落ちますので構いませんわ」
「それに、ちゃんと取材して作るのも大事だろうしな」
ハデダゾンが桃電を作るときにはそれ以前に全国をゲームキャラバンで回っていたことも役に立っていただろうからな。
「カメラとかテレコもあったほうがいいかな。
それらは予め買いに行ってもらって先に領収証を出しておいてもらえます?」
「ああ、わかった。
じゃあ準備ができ次第全国各地の観光地を回ってくるよ。
ああ、明智兄を助手として連れていきたいんだけどいいかな」
「一人だと大変ですしいいと思いますよ」
「そうですわね」
そうしたら毛利さんも続けて言った。
「ああ、じゃあ俺も九州に九州三国志のための取材に行ってきてもいいかな?」
毛利さんも取材旅行に行くつもりらしい。
「城とか武将とか細かいことを調べるなら現地に行ったほうが良さそうですもんね」
「ああ、やはり紙の資料だけだとなかなかわからないことも多くてね」
この時代はネットとか無いから資料集めはとても大変なんだよな。
しかも言い方は悪いけど九州の大名はやはりちょっとマイナーだしな。
毛利さんがそう言うと会長は少し考えた後で言った。
「まあ、いいでしょう。
ちゃんと領収証やきっぷは持って帰ってきてください」
「ああ、わかってるよ。
さすがに全部自腹はちょっときついし、気をつけるよ」
そして翌日。
「じゃあ、取材旅行に行ってくるな」
「はい、よろしくおねがいします」
というわけで大学生の三人は取材に出かけていった。
一方会長からもアポが取れたとの連絡があって、フェニックスにエイサー王伝説を持ち込んでみた。
結果としては、桃の子太郎討鬼伝説の時と同じで俺たちの取り分のうちホムコンは一割、パソコンは二割で9月には発売してもらうことが決まった。
「これでアドベンチャーゲームの制作はしばらく無いかな。
そうすれば桃の子太郎討鬼伝説のパソコンRPG制作に専念できそうだ。
できれば音楽を直接的に扱うゲームも作りたいけどSAGAかタイトの協力がこれには必要だろうし」
俺がそう言うと朝倉さんが聞いてきた。
「音楽を直接的に扱うゲームっていったいどんなのです?」
「ある意味落ち物パズルの変形かな。
こんな感じで……」
といわゆる音ゲーの多くで用いられている「リズムアクションゲーム」の説明をする。
「なるほどボタンがたくさんついている麻雀などの筐体もありますし、作れたら面白そうです」
「だろ、朝倉さんは食いついてくると思ったよ」
「むむ、でも否定はできないです」
「筐体の作り方次第では床においたボタンを押すためにダンスをするようにステップを踏むようにしたり、ギター、ドラム、キーボードなんかの楽器を模したコントローラで操作したりもできると思うぜ」
「あんまり専門的になりすぎると間口が狭まると思うですが?」
「まあたしかに、最初は簡単な方がいいよな、多分」
「難易度を上げるのはそれからです」
「ではそういった企画をSAGAに持ち込んでみますか?」
「ある程度パソコンゲームとして完成させたらやってみようか。
MIDIがあれば音源はなんとかなると思うし。
ああ、でもその前に保養所代わりに使う旅館を探すためにみんなで伊豆と福島に旅行に行こう」
斉藤さんが俺の言葉にうなずいた。
「ああ、それはいいわね。
いろいろ働き詰めだったし、少し休んでおいたほうがいいと思うわ」
会長もうなずく。
「そうですわね。
保養所を用意するなら早いほうが良いでしょうし」
「じゃあ、気分転換のためにも慰安旅行に行くとしようか」
「さんせーい」
「異議なしです」
「海と山に行けるなんて嬉しいっすね」
最上さん、朝倉さん、明智さんが賛成して、最後にオズオズと浅井さんが聞いてくる。
「わ、わたしも行っていいのですか?」
「ああ、もう一緒に働いてる仲間なんだから当然だよ」
「わ、わたし旅行なんて初めてです」
「え?中学の修学旅行とかは?」
「あ、あの、学校の旅行はお金を出してもらえなかったので、いけませんでした」
明智さんがそれを聞いて言った。
「それはまたひどい話っすね。
じゃあその分今回たのしまないとっすよ」
「は、はい、本当にありがとうございます」
どうやら浅井さんは今までは施設から遠く離れる場所へ旅行へ行くことはできなくて、そういう旅行は初めてっぽいし、いい思い出になるといいな。




