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熊野神社の分社勧誘のために宗教法人も設立したら大変なことになったよ

 さて、いよいよ8月1日から谷津遊園は開園になる。


 で、開園に先立って園内の安全祈願を行うために、神主さんに来てもらい、全従業員が参加しての安全祈願を行なってもらう。


「こういうのは結構大事だからな。

 実際に事故が起きたことが致命的になって客足が減少して潰れた遊園地も少なくないし」


 俺がそう言うと少し苦笑して会長が言う。


「最後は神頼みということですわね」


「ああ、でもこういうのは結構馬鹿にならないんだぜ。

 少なくとも働く人間にはそういうことをやってると伝わるのと伝わらないのでは大違いだし」


 また、谷津遊園の中に熊野神社と金山神社の分社を分霊・勧請して分社を設立するために2億ほど使って宗教法人を買い取って正式に神社本庁へ加盟を行なうことにする。


「さすがにここまでする必要はありますので?」


 会長がそう言うが俺は力強く言い切った。


「ああ、いやこれは絶対必要だよ」


 朝倉さんも聞いてくる。


「そうなのです?」


「俺が今みたいなことができるのは伊邪那美様のおかげだからな」


「そうなんですか。

 まあなんとなくわかる気もします。

 部長は神がかってるというか、はっきり言えばおかしいです」


「いやそうはっきりおかしいとか言われるとちょっと傷つくけど」


 そこを明智さんが笑いながらフォローする。


「いや部長はどう考えてもおかしいっすよ。

 別に悪い意味じゃないっすけど」


 あれこれってフォロー?


 それはさておき、伊邪那美様などの力をこれからもずっと借りるためには、やっぱりちゃんとした神社をもって、そこへ参拝する人を増やしたほうがいいと思うんだよな。


 幸いというか悪いことにと言うべきか、現在は物質的な繁栄ばかりが追い求められる時代であることで、宮司や神主不在の神社は、結構存在する。


 よほど有名ならともかく経営不振と後継者不在で、実質的に放置されている熊野神社系の宗教法人格や神社も結構ある。


 無人状態の神社は多く日本には約8万社の神社庁に登録されている神社があるが、神職が居る神社は約1万ちょいらしい。


 人口の少ない地域では、一人の神社の宮司さんが数十社を兼務していたり、その神社の地域の氏子が管理していたりして、西船橋の熊野大神も祀られている葛飾神社などはまさに氏子管理の神社だから普段は誰もいない。


 そして放置されている神社に関しては神社本庁に電話して調べ、法務局で登記簿を確認すればわかる。


 そういった神社の建物や施設をお祓いなどをしてから一旦分解して運んでもらい、礼拝の施設である、本殿・幣殿・拝殿、鳥居・賽銭箱・手水舎、社務所、舞殿、祈祷殿、神楽殿、神饌殿、参集殿、絵馬殿、神輿殿などの建物も持ってきてもらい修繕が必要なものは宮大工さんに修繕してもらう。


 そして実際に分霊・勧請を行い、谷津遊園のお祓いもしてもらい、新しい場所の神社で神様を祀るために神様の神霊を分けていただき、迎え入れ、この先ずっと人々を救っていただくように真摯にお願いをする。


「伊邪那美様、どうか今後も俺たちをお守りください」


 会長は必死に金運アップをいのってる。


「どうか私たちのお金をもっともっともっとを増やしてくださいませ、是非是非是非!」


 斉藤さん、最上さん、朝倉さん、明智さん達は口に出しては願い事を言っていないのでわからないが会長の様子に結構引いてるようだ。


 まあ、その気持ちはわかるけど。


 ・・・


 その頃冥界の伊邪那美はやたらと強い思念というか祈念を感じたためその方角の地上の様子を見た。


 そして前田健二とゲーム制作部の部員たちの姿を見つけた。


「相変わらず周りに女がいながら何もせぬ男だな。

 もしかして不能なのか? 決して嫌そうではないはずだが、よくわからんやつだ。

 他者に子を作らせようとするならばまず自分からやるべきであろうに。

 しかし、隣の女はそれほどに黄金(こがね)がほしいのか?

 あんな物は食べられるわけでもなかろうに」


 伊邪那美は基本的に豊穣神であるので本来は金運とは関係ないとは言える。


 そこへ声をかけてきた者がいた。


「母上、人間には黄金はとても価値のあるものなのですよ」


「多くの命がそれを奪い合うために命を落としてきたことはご存知でいらっしゃいましょう?」


「ふむ金山彦(かなやまひこ)金山姫(かなやまひめ)か。

 確かに人間は時代を降ったあとは黄金や銀を巡って争っておったな」


 金山彦と、金山姫は伊邪那美が火の神である軻遇突智を産んで陰部に火傷をして、病み苦しんでいるときに、その嘔吐物から化生した神であり、嘔吐物が熱によって溶かされて変形した溶岩や金属を連想することから生まれたが、その名前の通り金属、鉱業、鍛冶の神であり安産・子孫繁栄・夫婦和合・下半身の傷病治癒の神としても信仰を集めている。


「母上の目に止まったものに黄金が必要とあらば、私たちがその者のもとに渡るようにいたしましょうか」


「私たちからすればそのようなことは容易いことでございます」


 地下資源を管理する二人には、それは朝飯前にたやすいことである。


 二人の言うことに伊邪那美は頷いた。


「ふむ、それも良いかもしれぬな。

 必要であれば醜女共を使っても良いぞ」


「わかりました」


 ・・・・


 そして翌日に驚くべきことが起こった。


「なんじゃこりゃ?」


 俺が放課後に部室に入ってこれからやることを整理しようとそたんだが明らかにおかしな光景に呆然としていたら会長が見たままのことを言った。


「部室というかオフィスが金で埋まってますわね」


 この頃の金の価格はおよそ一グラムあたり4500円程度なんでめちゃくちゃ価値があるはずなんだが。


「あ?!」


 そしてなんか見たことのない、ツリメでちょっと怖い印象の正直に言えば綺麗とは言えない女性が金を部屋に置こうとしてるところを見てしまった。


 しかし会長はつかつかとその女性に歩み寄っていった。


「あなたはいったいここで何をしているのですか」


「あ、あの私のご主人さまより神社を建ててくれた礼を寄進してこいと言われまして」


 それを聞いて会長はめちゃ喜んだ。


「それは本当ですの?!

 これを全部?」


「あ、はい、本当です」


「それは素晴らしいことですわ。

 宗教法人への寄付であれば税金もかかりませんし」


「さすが金の亡者ね」


「きっと最後には地獄に落ちるです」


 その言葉に斉藤さんや朝倉さんたちはドン引きしてるけど、まあ確かに税金がかからないのは素晴らしい。


 なんせ個人の所得税だと8割以上、法人でも5割近くは税金で持っていかれたりする。


 だが宗教法人本来の活動には、基本的に課税されない。


 賽銭やお祓いの初穂料、葬儀、法事、建物などの修復などの際に受け取る寄付金、おみくじ・お札・破魔矢・御守りの販売など宗教法人として本来の活動の範囲なので税金は掛からない。


 さらに不動産取得税、事業税、印紙税、固定資産税、都市計画税、登録免許税、所得税、法人税なども優遇されてる。


 神社の相続にも相続税はかからない。


 ただしこの場合は後継者一人が全て相続することしかできないが。


 神社の境内のなかにあり、参拝者に無料で貸し出す駐車場ならその固定資産税は非課税。


 幼稚園の経営をする場合は保育料・入園料・入園検定料・施設設備費等は非課税だが制服、制帽等の販売や、ノート、筆記具等文房具の販売をすれば課税対象になる。


 老人ホームの経営も基本的には非課税。


 あくまでも公共において重要なことに関しては非課税なだけで何も税金を払わなくてもいいわけではないけどな。


 とは言え学校法人同様に税金でかなりの優遇を受けているのは間違いはない。


「これで合計いくらぐらいの重さがあるんだろう?」


 俺がそう言うと彼女は事もなさげに言った。


「10トンです」


「いやそれ床抜けるから!」


「大丈夫です。床は補強しました」


「え、いつの間に?」


 というか現金に換算したら大体450億円相当だよそれ。


「とは言えこれそもそも保有して現金にできるかどうか怪しいけどな」


「大丈夫です。

 正式に作った書類もあります」


「あるんだ、じゃあとりあえず契約書で寄付として預かったことを書いておくか」


「はい」


「ところで」


「ん、なんだろう?」


「私のことは怖くないのでしょうか?」


「え、なんで、別に敵意とか害意がある感じはしないし。

 あ、でもどうやって中にはいったんだろ」


「鍵をこう細い棒でちょいちょいと」


「ああ、ピッキングなのね」


 この時代に鍵なんて簡単にピッキングできるんだよな。


「ご主人様が言っていたように不思議な人ですね。

 でもご主人様があなたを気に入った理由もわかった気がします。

 私のような醜女でも驚かないなんて」


「え、人間は顔より心でしょ」


「そうですか、ありがとうございます」


 どうでもいいけど現時点日本の金の保有量は500トンくらいじゃないかな?


 いきなり10トンも金が増えて大丈夫かな?


 まあアメリカは10000トンくらい金を持ってるから些細なもんか。


 まあ、宗教法人も持ったし幼稚園とか老人ホームの経営とかも将来やるかな。


「これより毎月一度は祈りを捧げてください。

 それに応じてまた持ってまいります」


「え、また持ってくんの?

 一月一回?」


「はい」


「すばらしいですわ!」


 会長は単純に喜んでるけどこれって俺がやってることが手ぬるいって言う伊邪那美様の脅しか?


「そちらからちょっと金は出してやるから、お前はもうちょっと頑張れってことかな」


「ええと、多分そうだと思います。

 では私は失礼しますね」


 そう言って立ち去っていく彼女の名前をきくのを忘れたけど多分あの女性は黄泉醜女かな?


 すごい馬鹿力と脚力があるらしいから一人で運んでこられたのかもしれないけど。


「っていうかこれ証券会社か銀行に持ち込んだほうが良さそうだな」


「そうですわね」


 というわけで金は証券会社で管理することにしたんだが、この頃の証券会社の手数料はバカ高いしたちの悪いやつもいっぱいいるんで、いつものように死に体の証券会社を買収して従業員は厳選して継続雇用するものは残した。


 で、金を預けたが、その光景を見た人は目を丸くして驚いていたよ。


「まさかこれだけの量の金塊をぽんと神社へ寄付する人がこの世にいるとは。

 大事にお預かりさせていただきましょう」


 ああ多分ソレを持ってきた人はこの世の人じゃないです。


 それはともかく、金塊を買収した証券会社に預けてその運用利回りを現金化することで、間接的に金に変えることにしたんだ。


 まあ運用利回りで10%から20%くらいにはなるといいんだけど。

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