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「輪っかなくしたんで、下界探してきますわ」
俺の友人はすぐに、頭の輪っかをなくす。どうやら下界を散歩していて落とすらしい。
「またかよ。仕方ねえな、俺も捜すの手伝うよ」
「バカ、いらねえよ」
「いや、輪っかナシだと下界人に姿見えちゃうし。大騒ぎになったら不祥事だから」
文句を垂れるそいつを適当に丸め込んで、俺も下界についていった。
友人の翼は、下界で遊び過ぎて薄汚れていた。全く。純白の翼が聞いて飽きれる。
「あれ? 点かない」
下界の一軒家で、主婦らしい女が部屋の電気のスイッチをぱちぱち、繰り返し押していた。
「嫌だわ、替えたばかりなのに」
「いやあ。人間のこういう顔が好きでやめらんねえな」
友人はニヤニヤしながら、主婦を眺めていた。
頭に明るすぎる輪っかを光らせて。
「落としたんじゃ、なかったんだな」
「信じてたの? あんた正直者だな、天使かよ」
「天使だよ」
友人の天使の輪は、蛍光灯の寿命と同じくらいの時間だけ光って、時期が切れると消える。
「お前……悪魔の方が向いてるよ」
「はいはい、自覚してるしてる」
下界にLEDが普及して以来、光っている時間がちょっとのびた。