表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/36

アナロジー

 夢中になれるものがあると頭が晴れる、と、そいつは言った。国語力に欠ける彼にしては、まずまずの隠喩だ。

 私の頭はいつも曇りのち雨、または雨のち曇りだったのに、そいつがそう言って以来雨は減った気がする。そのうち雲の隙間から光が差し込み、暖かな春が訪れ、また雨が続き、やがては真夏日のようなあつさに焦がれた。


「どうしてくれるのよ。気温の変化に体がついていけないじゃない」

「暑いのは俺のせいじゃない」

 やはり国語力の足りないこいつには、私の言った意味が分からないようだった。外気の話じゃないのよ、バカ。

 かなり遠回りな言い方だから仕方ないかもしれないけれど、これ、あんたが使った表現と同じなのよ。

 髪が汗でべったりと顔にはりつく。暑い、熱い。

 それでもそいつは気温なんて感じないかのような涼しい顔をしていた。

「秋になるの待てばいいだろ」

 ため息まじりにそいつは言った。

「ずいぶん気長な意見ね」

 なるほど、涼風が吹くようになったら、きっと少しは落ち着ける。

 その前に多分くるであろう猛暑日を覚悟した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ