I am 産廃屋
「おはようございます! 産業廃棄物回収・処理の、○○資源です」
『すみません、御社のホームページを見て、初めて電話しました。△△商事の××と申します』
「はい、お世話になります」
『ちょっとお聞きしたいんですけど、御社では産業廃棄物を取り扱ってらっしゃるんですよね。弊社にコンテナボックスを設置していただきたいのですが、費用としてはおいくらくらいになるんでしょうか』
「そうですねえ。内容物や状態によって金額が変わるものですからね、一概にはお答えいたしかねます。どういったものを廃棄なさるご予定ですか? 廃プラとか、金属類でしょうか」
『ああ、いえ。豚の死骸です』
「豚の……そうしますと、産業廃棄物では家畜の死骸という項目に分類されます。生憎、弊社では処分の許可がありませんので、処分いたしかねます」
『ええ!? 別の許可になるんですか? 死骸って、事業の中で出たものなんですけど……同じ産業廃棄物扱いじゃないんですか?』
「産廃なんですけど、わたくし共の方では許可のない項目でして。申し訳ございません。どこか別の業者さんをご紹介しますので」
『豚っていっても、正確には豚じゃないんです。豚に似た上司なんです。それでも、家畜の死骸扱いになるんですか?』
「あ、上司の方でしたか。そうしますと人間のご遺体なんですね。それでもちょっとわたくし共では処分しかねるのですが」
『そうなんですか……。コンテナなら、ゴミの棺桶としてちょうどいいと思ったんですけど』
「市役所とか、警察にはお問い合わせはしていただいてます?」
『いえ。あんまり事を大きくしたくないものですから。うーん、御社にはスチロールの溶融機や六十トンプレス機があるじゃないですかあ。それを使ってインゴットにしちゃったりできません?』
「あはは、申し訳ございません、受け入れそのものが不可能でして。そうだ、そういった人体の処理に特化した業者をご紹介しますよ。営業からご説明いたしますので、一旦お電話切らせていただいて、後ほど折り返しお電話いたします。ご連絡先だけいただいてもよろしいですか?」
『よかった。お願いします。番号は携帯で、……』
がちゃん。
はあ、びっくりした。よし警察に電話しよう。
△△商事ってお父さんの勤めてる会社だし。
そういえばお父さん、昨日帰ってきていない。




