3 少年と放課後と友達
放課後になると、特に部活などにも入ってない僕はそそくさとカバンを手に取り、教室を後にする。
まだ放課後にはなったばかりで、人の少ない廊下。
もう今日は教師に縛られることがないと思うと、少し心が軽くなる気がした。
教室を出ると、ちょうど同じタイミングで隣の教室からも人が出てきて、僕に話しかけてくる。
「お疲れ!帰るか!!」
友達の雄一だ。
僕が唯一話せる。いや、違うか。話せなくなっても変な顔せずに待ってくれる唯一の友達。それが雄一だった。
雄一とは中学校からの仲だ。
仲良くなった理由はなんだっただろうか。たまたまお互いに帰宅部で、たまたま帰り道が同じで。
そんな些細なことだったと思う。もっともそんな偶然でも僕から話しかけるなんてできるわけもなく、雄一から話しかけてくれたのが友達になれた理由の大半を占める。
そんな雄一とも高校では、クラスが別になってしまった。同じ高校に来れたことを感謝するべきなのだろうか。
「今日はどっか寄ってく?」
「本屋さんとか寄りたい…」
そんなことを考えていると、雄一に話しかけられる。
放課後はいつも2人で帰っていた。
雄一は明るくて、話しやすく、他に友達なんかすぐできそな人柄をしている。
前に、他の友達はいいのかとか、そんなことを聞いたことがある。その時の彼の、
「おまえといると楽なんだ。」
この一言は、なんだか涙が出そうなくらいに嬉しかった。
そんなこんなで、僕は雄一が大好きだ。
下駄箱までくると、さすがに放課後の喧騒が伝わってくる。部活に出るもの、家に帰るもの様々だ。
僕は自分の靴箱を開ける。
いつも通り、何も考えず。
そこにはいつもとは違う、可愛らしい手紙が入っていた。