練習室
やばい。天井からひびが入って粉がぱらぱら落ちている。氷の術式直後火の術式で大量の水を蒸発させるがやりすぎた。自分には耐性強化の術式がかかっているのでなんともないが、天井は弱いらしい。困った。
とりあえず天井に復活の術式を……。
あれ、なんだこれ。誰かが外から術をかけている?
誰?やだ、こわい。何者かが天井を修復した!しかも壊れてすぐのこのタイミングで!やーっ、こわい。
急いで外へ出る。一階に上がり庭へ出て右側奥の方へ走り出そうとするが、誰もいないと思われたのに20名ほどの人がわらわらと出てくる。なんで今日に限ってこんなに!しかも全員がわたしを見つめている。やばい、さっきの音で建物を壊したのがわたしだとわかったのだろうか。誰かがわたしを攻撃してくるのだろうか。
とっさに20名を見返すと、全員が視線をそらす。
おかしいでしょ!?
一番現場に近い所には司書のお姉さんがいた。さっき本を貸してくれた人だ。とりあえずきいてみようと彼女に近づいていく。
「ユ、ユンタさん? きゃあーっ!」
え、何?悲鳴を上げて倒れてくる。何なの?!
様子がおかしい。ふるえてるし立てないらしい。
「大丈夫ですか?医務室へ運びますよ。しっかりして」
体力強化の術式を自分にかけて、彼女には軽い治癒の術式をかける。
「は、はい……」
何が起こったのだろう?少し落ちついたようだ。
彼女を抱えて中央塔へ向かう。一階医務室だ。おかしなことになっちゃったな。これもまたジーク様のネタになっちゃうのだろうか、あー。
医務室へノックもせずに入ると、医師がびっくりした顔でわたしと司書のお姉さんを見ている。固まって動かない。奥の治療用ベッドへ彼女をおろして医師の方を見る。
「すみません!具合が悪いようなので連れて来ました。お願いします。原因が何かはさっぱりわかりません」
コクコクと医師の首が縦に動く。わかったらしい。
「それでは失礼します」
さっさと立ち去るほうがいいと思う。外からかけられたナゾの術式を調べなければならないし。




