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白の塔の魔術師   作者: ちゃい
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ファラディ妃

ファラディ妃視点です

 N国のユーシスが来るときは教えていただきたい、と多くの令嬢から言われていたので早めに連絡しておいた。


 残念ながらユーシスの助手はケイン殿下ではないが、誰が来るのかは楽しみ。ソフィはつまらないのか部屋へ帰ってしまった。


 ケイン殿下とは政略結婚の約束があるが、それ以上にソフィの思い入れは強い。少女の夢にぴったり合うような凛々しい王子様なのだろう。

 魔力もあり、しっかりした強い性格のようだ。ソフィのようなおとなしい女の子には丁度いいのかもしれない。


 N国は王も貴族もなくなっていくだろうが、彼はなんだか人として大丈夫だと思わせてくれるものがある。

 ソフィが幸せになってくれれば、ケイン殿下は無理のない、それでいて楽しみな丁度いい相手だろう。


 大国①から来た王妃と大国②から来た側室に気付かれなくてよかった。

 N国のケイン殿下は今はまだ下に見られがちだが、どの国の誰とくらべてもあの魔力量と発言力で下に見ていい相手ではない。


 大国がN国をいつまでも見くびっていてほしいものだ。大国が私をいつまでも見くびってくれているように。


 こんな北国に来てまで大国同志の権力争いなど、まわりが見えていないとしか思えない。N国の大国を上に置く政策のため、本当のN国の実力が見えた時にはすべてがひっくり返っているかもしれないのに。

 大国はあなどれないがN国とのつながりを持つ事の方が重要だ。


 元々大国から妃が来る話などなかった。

 私は王の子供の頃からの婚約者で、正妃として来ることが決まっていた。隣の家へ嫁ぐのだと思っていた。


 実家の公爵家は私のために館と庭を用意して、いつでも両方の家を行き来して不自由のない生活を送れるようにしてくれていた。

 今になってみれば本当にありがたい。後宮に居たらとても不自由だっただろう。


 大国①と②が同時に妃を送り込んで来たのは、私が正妃として嫁いだ後だ。

 王と二人で幸せに暮らし始めた頃だった。


 どちらも大国を背負った、美しく勝ち気で少し自己中心的な娘。私のことなどいないものと同じようだった。 


 これにかかわってはいけない。皆が大国と一線を引いて、自分たちだけの幸せを目指さなければ面倒ばかりが起こる。

 第一王子となるはずだった男の子は、実家の公爵家の長男として引き取ってもらった。第二王女は小国と見られているN国という自由のある国へ行くことになっている。


 私は王とこの館で二人の両親として、家族と国民を大切にしながら暮している。

 二人の妃殿下が大国の争いを宮殿でねちねちと始めていても、すべてはこの館の中で国内の用が済むようになっている。


 王をめぐっての争いが起きぬよう週末だけ館に帰り、平日は公務と二人の妃殿下の扱いに当てるようお願いした。

 単身赴任のようなものだ。


 もう少し王を気づかってもいいだろうが、二人は子供の頃からのライバルらしく、王は居ても居なくても同じらしい。彼女たちにとって夫や家族とは何なのだろう?


 初めはひどく疲れて週末に帰って来ていたが、もう慣れたのだろう。

 子供たちの世話を焼いているうちに週末になるらしい。子供たちはそれぞれ世話係や家庭教師がついていて、それなりにきちんとした教育を受けられるようだ。

 彼らは大国の子ではないのだ。どんな母親だとしても、北国の人間としてしっかりしてもらわなければならない。


 私もN国と同じように、大国を上に置くよう心掛けている。見くびって相手にもされない現状に大満足だ。

 王や子供たちに愛情を注ぎ、N国との関係も良好でユーシスのような力のある者が来てくれて、私に頼ってくれている。


 実家は近いし好き放題できる。地位もお金にも不自由しない。

 私はかなり幸せな状況だと言える。

  

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