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白の塔の魔術師   作者: ちゃい
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宰相

宰相様視点です。

 ジークのところから2人の魔術師を借りて魔石を作ってもらっている。ジークのところから来るというだけで並みの神経の持ち主ではないし並みの魔力量でもないので、高価な魔石を毎日これでもかというほど作らせている。


 奴らはやっぱりおかしい。あれでいて間抜けなのもおかしい。自信なさそうにおどおどしている二人組ははっきりいってかなり変わっている。


 魔石は生活用品にできるほど安価で雑なものは一つもない。小さい石一つで魔剣として高価で取り引きされるものとなる。わかっててやってるのか?おそろしく魔力量が多い。適当な感じでへらへらしながらうなるとその石が一つ出来上がるのだ。なんだこいつは?


 これだけで経済が安定する。主要輸出品になる。

 終わるといつの間にかものすごい回復薬が10杯残されている。大切にビンに詰めて薄めて飲んでいるが、疲れが一気にふきとぶと評判だ。今はここだけで厳重に管理して飲んでいるが、売れるのではないだろうか?城外に持ち出すつもりは全くないが、仕事疲れで休暇をとる者がいなくなったのは事実だ。


 うちの若手もアホではない。王立学院の各部門のトップを毎年三名ずつ入れてここで働かせている。頭だけはとても良い。あとは実地訓練だけだから三年ほどいると他の部署に出している。早い者は一、二年で国の中央へ出ていく者ばかりだ。


 それと同じ仕事を与えてみるが、ジークの教えくらいでこんなにできるものなのか?というほど仕事ができる。うっかりするとできすぎるので、三時間だけの勤務になった。

 魔石もあり過ぎてはいけない。さすがに給料は一日分出しているが、もっと出してもいいくらいだ。


 比較的おだやかな性格なので安心していたが、今日は冷や汗が出た。そのあり余る魔力を二人同時に私の術式に向けてきたのだ。30秒も!


 思わず最初の5秒で戦略級の術式を展開しそうになったが、思いとどまった自分をほめたい。

 さらに5秒。全く防御せずにいられる自信がなくなったので簡易結界を張る。5秒待つ。何もない。だがあふれるほどの魔力が私に向けられている。ジークを呼ぶ。

 (何なんだ!あれは!)

 そして5秒。奴は大笑いするだけで話しにならない。これだから!さらに10秒。戦場なら今頃焼け野原が広がっているだろうが、もう我慢の限界だ。


 「ジークんとこの二人!出ていけ!うっかり攻撃するぞ!」

 ああ大事な金づるを怒鳴ってしまった。私はこれまで城内で声を荒げた事などない。温厚なイメージが台なしだ。まわりの者がびっくりしている。


 でも本当に攻撃しそうだったし、しょうがないな。明日も元気に出勤してくれることを祈ろう。そしてジークを後で怒鳴りつけよう。ふぅ。目の前で固まっているパーシルを呼んでなんとか優しい声でもかけてみるか。

 

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