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白の塔の魔術師   作者: ちゃい
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異世界クラブ

 エマを毎日守っていたことと、毎日楽しくエマをみていたことはちょっと違う。


 エマは高等部に入る前くらいから急に女の子らしくなって、もう地味でガリガリにやせた不気味な予言少女ではない。少しふっくらして顔色がよくなり、すべてのパーツが小さくできたお人形のようで、最近は圧倒されるくらいかわいく笑う。

 今はエマがかわいいのを誰かに見つけられたらどうしようかとあせっている。自分はショーンより背が低いし、あんまり変わっていないから。でもこれはイーリに相談できないし、エリオットなんかにいいたくない。


 そろそろ予言についての活動を始めようと思っている。

 自分で調べた結果、予言や神について一番知っているのはイーリと父のようだ。身近すぎてうっかりしたけど、神殿の神官以上の知識があるというイーリに相談するのがいいと思う。

 予言については、やはりエマのように手軽に他人にみせられる能力がある人はいなかった。エマは自分でよくわかっていないけどかなり特殊だ。


 だけどエマをイーリに会わせるわけにはいかないし、父にエマを紹介したくない、ずっとみていたなんて知られたらどうしよう。


 翌日待ち合わせて、エマに会った。


 「ケントさんの将来のことをいろいろ考えてみたんですけど、大事になる前に白の塔の魔術師に協力してもらいましょうよ」


 「あー、そうだね」


 「ですからカーク先生にでも紹介してもらって、白の塔に行きませんか?」


 「そうだねー」


 「どうしてそんなにやる気がないんですか!」


 「あー、わたしの父がね、多分一番適任だと思うよ、白の塔の魔術師だし父親だから」


 「それはよかった、じゃあさっそく連絡をとりましょう」


 「連絡しなくても家に帰ればいつもいるよ、ただね」


 「なんですか?」


 「エマのこと父親に会わせるのはちょっと。わざわざ今自分が好きな女の子を会わせたくないっていうか、ずっとみてたし」


 「なんでそんな乙女みたいなこと言ってるんですか、それとこれとは別でしょう?わけて考えましょうよ」


 「なんていえばいいのかな、予言のできる女の子って?」


 「当たり前です、それ以上でも以下でもない」

 そんなにわりきって考えられるものなの?いつもそんな感じなのも嫌なんだけど。


 怒られたので仕方なく父に会う約束をしてしまった。

 それどころじゃないでしょう!といわれれば自分のことだけにそうだと思うけど、自分のことだから今一番嫌な目にあうくらいなら、未来の自分にちょっとがまんしてもらってもいいんじゃないかと思えてくる、エマにはいえないけど。


 数日後、N国の宿舎の居間に集まった。母さんは見たこともないワンピースのドレスを着ている。

 「父さん、予言ができる友人のエマだよ」


 「息子がお世話になります、エマさん、これからもどうか見捨てず長くお付き合いしてくださいね」


 「ケントをよろしくお願いしますね、エマさんはかわいらしくて、ケントにはもったいないお嬢様だわ」


 予言のできる友人に対しての挨拶ではない、両親のおかしな言動におろおろしてしまう。

 エマはきょとんとしている、なんでバレてるんですか?という目をしているから、言ってないよ、と首を横に振る。


 「あの、ケントさんの将来に関わる予言なので、まずみてもらえますか」


 事前にエマの予言についての説明はしてあるので、三人でエマの手をとった。

 何度もみてきた銀色の塔に向かって、銀色の動く道に乗っている。


 「これはケントなの?」


 「ケントさんの未来としてこれを何度かみています。でも予言はいくつかある未来の一つですから、確実ではありません」


 「ああ、これは私が元いた異世界の国の首都なの。ここからケントが行くのは不可能だわ」


 「今の私たちの能力では不可能だね」


 「もし私が元の国で結婚して、ケントがそこで生まれたなら、この場所で生活していたかもしれないわね。もう行けないけどみせてくれてありがとう、なつかしいわ」


 「そうなんだ、よかった、不可能なんだね」


 両親はそこで島へ帰って行ったが、エマとわたしはしばらく話し合った。


 「どういうことか説明してもらえるかしら?異世界ですって、ケントさん、あなたに関しての基本的な知識が欠けているようだわ」


 そうでした。


 「エマはわたしの何を知っているのかな」


 「元生徒会長で薬学科」

 あんまり興味がないようですね、その後この集会を密かに異世界クラブとよぶようになった。


 

 


 

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