1.君を僕に捕まえさせて
主人公サイドがほとんどないです。
まだ主要キャラが登場しない(汗
クラリスが降り立った世界は所謂乙女ゲームの世界だった。「君を僕に捕まえさせて」という、いかにも怪しくセンスのないタイトルのゲームだ。
王道も王道で、ヒロインことマリアーゼ・スコットンはスコットン男爵家の令嬢。亜麻色のふわふわな長い髪と、まるで宝石のようなエメラルドの瞳。可憐でいかにも庇護欲をそそられる美少女。
そんな彼女が魔力を持つ者だけが入学できる王立の魔術学園に通うことから物語が始まる。
天真爛漫で時には癒し、時には寄り添って支えてくれるマリアーゼに攻略対象達は惹かれていくのだ。
一人目の攻略対象はアルテマリス王国の第一王子にして王太子、ディートフリート。襟足の長い金色の髪と空の色を映したような瞳をもつ美形だ。高身長でいかにも王子という体だが、中身は食えない男でキレるとヤバいタイプである。
二人目はアルテマリス王国の公爵家が嫡男、オリオン・ヴィオラント。艶やかな銀色の髪はくくられており、サファイアのように鮮やかな瞳を持つ美形だ。紳士的で穏やかだが侮れない人物である。
三人目はオリオンの弟、アルタイル・ヴィオラント。緩やかな銀髪とアメジストのような印象的な美青年だ。ヒロインとは同い年に当たり、軽いように見られがちだが実は優しくて人の感情に敏感な人物だ。
四人目はアルテマリス王国の騎士家系である伯爵家跡取り、カイザー・ヴァレット。鳶色の短髪に鷹のような切れ長で鋭い紅い瞳が印象的な美形だ。アークタルスの側近兼護衛としていつもそばにいる。正義感がつよく優しい一面を持っているが不器用で勘違いをよくされる人物である。
五人目はラスボスのバルトロメウス。濡れ羽のような漆黒の襟足の長い髪と、金色の瞳を持つゲーム一の美形といってもいい。影があるのがいい! と女子に人気を博ており、誠実で包容力がある。しかし、底知れない恐ろしさも感じられる人物である。
そして悪役令嬢にして王太子ディートフリートの最有力婚約者候補、ベラトリックス・ビッテンフェルト。プラチナブロンドの豊かな髪にヘーゼルの瞳をもつ美少女だ。目がつり目で泣きぼくろがある所為かいかにも悪女に見える。
それがゲームのキャラの基盤だ。しかしクラリスがのぞいた攻略者とのハッピーエンドを何度もループする世界は少しずつ狂っていった。
いや、もともと狂っていたものが顕著に現れただけなのだろう。
ヒロインが逆ハー狙っているのも傲慢なのも、悪役令嬢がチキンになってしまったのも、それでいて打倒ヒロインを掲げておるのも、攻略対象達がヒロインに盲目となり愚かになるほど頭が悪いことも。
クラリスはどうやって彼らに干渉したら良いか悩み、しばらくして決断した。
(神のままで彼らに関わることは神にとっては禁じ手。それなら、人の世生まれて人肉体をもってしまえばカモフラージュになるわよね?)
屁理屈もいいところだがクラリスにとっては名案だった。
思い立ったが吉日。クラリスの行動は早かった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
なんか説明文だらけで申し訳ないです。
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