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episode1-5

「フィオラ、もう姉上のところに戻るのか?」


「はい、何かお伝えしますか?」


「いや、俺も共に行く。直接話そうではないか」


エクルから、上着を受け取り自ら部屋のドアを開ける。廊下に待機していたメイド達は主人のいきなりの行動にとまどいながらもいつものことかとどこかで納得している表情を見せた。


シアンとエクルとフィオラ………3人もの人物が揃っているというのに、廊下に響くのは足音………それだけだった。目の前に広がるのは白一色の壁に、これまた白一色のドア。何の施しもされてないただただ真っ白なドアを前に、シアンは少し気構えていた。


「姉上、失礼します」


窓辺で本を読むヴィアの姿がこの部屋の雰囲気を一転させる。ヴィアはシアンの方に眼を向けた。


「どうしたの?」


「ティスカへ参内する際の計画があるのでしょう?それを話しに参りました」


「いや、今回は特にないの。エクルとフィオラがいればどうとでもなるでしょう。しかし、1つ問題なのが、あちらの王子の行動……なにをしでかすか見ものね」


ヴィアは小さな子供のように眼を輝かせて笑った。そのまま一息ついて、今度は真剣な面持ちで話し始めた。


「ティスカの王子は大丈夫でしょう。問題はその妹の方です。隣国にも触れ回るほどのわがまま娘はさすがに頭を悩ませそうね。シアン」


「はい……善処します」


「そうしてくれると助かるわ。彼女がどんな行動をしたとしても大半は受け入れてちょうだい。今、彼の国と戦争になるのは陛下にとって不都合でしょう」


「しかし、ヴィア様……シアン様はきっとお怒りの様子をそのまま顔に出して、ティスカの姫の機嫌を損ねてしまうと、私は思うのですが……」


突然、おかしなことを話し始めたエクルの方をシアンはすごい勢いで振り返り、睨んだ。


「いえ……何でもありません」


うなだれるエクルを見てシアンがいつの間にか持っていた緊張感がーー消えた。なんだかんだ言って、いつも助けられるのは自分だ。そう実感した瞬間だった。





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