episode3-7
「だって、初めてのお友達です。私、すっごく嬉しくて…。だから兄なんて嫌です」
「友達ならなおさら敬語やめろよ」
シアンはこらえきれず、笑った。
「あ……はい。うん、そうだね」
「そうだよ」
額が触れそうな距離で2人は笑いあった。
「あ!私、お店戻らないと」
突然思い出したかのようにディアナがパッと顔を上げた。部屋から出て行こうとするディアナの手をシアンは慌てて掴んだ。
「…なに?」
「……あ、いや。髪…ぼさぼさだけどいいの?」
「…どうせ帽子かぶるんだけど、直す」
シアンに手を掴まれたままディアナはその場にぺたんと座り長い髪を前の方に持ってきて、三つ編みをし始めた。
「ふふっ、そんなに見られてるとやりづらい」
「ああ、ごめん。俺、結んでもいい?」
「結べるの⁉︎」
「うん、姉によく結ばされてたからな」
「じゃあ…遠慮なく。お願いします」
シアンに頭を下げると、ディアナは今まで編んでいた髪を解いてシアンに背を向けて座り直した。
ふわりと柑橘系の香りがシアンの鼻腔をかすめた。
「…よくここまで伸ばしたよな」
「そういうしきたりだからね。結婚するまでは髪切ったらいけないの」
「切ったらどうなんの?」
「うーーん。一生結婚できなくなる。とか神様のお怒りに触れて能力がなくなるとか、早死にするとか、色々言われてるけど多分全部嘘だと思う。現に、そういう実例にあったことないし。あくまでしきたり。まあ、一族の間で白い目で見られたりはするみたいだけど」
「能力ってあの、生き物の気持ちがわかるとかいうあれ?聞いたって誰から?他の同じ一族のやつにあったことあんの?」
「質問…多いなー。いいけど。1つ目の質問の答えね。そう、私たちは生き物の気持ちがわかる。正確には心に流れ込むように聞こえてきて、慣れてくると会話もできるようになる。2つ目の質問。こういう話は母親がまだ生きていた頃に聞いたの。3つ目の質問。同族には母親にしかあったことない。私が小さい頃に死んでしまったけど…確かな記憶ではないけど、髪は長かったし、目は黄色だったし完全に遺伝ね」




