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episode1-2

大広間へと続く赤絨毯、否、青絨毯を踏みしめる。なぜ青絨毯か一言で説明しろと言われればこの国の住民は声を揃えてこう答える。それは初代陛下が青色がお好きだったからさ。なんとも単純な理由だろう。


「王子、では参りましょう」


エクルが金の宝石が埋められたドアの取っ手をゆっくり手前に引くと、その先に漂う緊張感に飲まれそうになった。しかし、ここで怯むわけにはいかない。シアンは一歩を踏み出した。


「シアン、久しいな」


「はい、陛下」


「1ヶ月ぶりだったかの?」


「いえ、3年ぶりにございます」


「ほう、そんなに、たっておったか」


鋭い目を向けられながらとぼけられてもこちらが困る。状況を見越した姉のヴィアが陛下に進言した。彼女もどうやら陛下に呼ばれていたらしい。


「陛下は3年間アルザーク城にいて、隣国【サギマ】を占領するための準備を行っていたではありませんか」


「そういえばそうだった、あまりにシアンが成長してないので時間はそんなに経ってないものだと思っていたよ」


「はい」


陛下の厳しいお言葉に当てられても目をそらさずに背筋を伸ばして返事をするシアンを見てエクルは密かに感動していた。


「それでの、本題に入るが、お前、見合いしてこい」


「見合い……とは?」


瞬間、広間がざわめいた。家臣達は第一王子の見合いについての話が公の場で話されたことに驚きを隠せないでいるのだ。


「もう1つの隣国、ティスカ王国にいき第一王女と会ってくるだけでいい。しかし、相手方の機嫌を損ねないようにな」


ティスカ王国ーーその言葉を聞いた瞬間にエクルが口を開いた


「陛下、ティスカ王国は敵国にございます。対立が激化している今、王子を向かわせるのはっ」


「エクル、口を出すな」


身分をわきまえろ。という言葉を飲み込んで伝える。エクルから言われてもシアンからは絶対にこの言葉は言わない。この状況で陛下の話に意見する権限をエクルは持ち合わせていないのでここでシアンが従者を咎めずにいれば、間違いなく陛下のそばの重鎮達が黙っていないだろう。


「陛下、その話お受けいたします」


「うむ、ならよい。ヴィア、お前にも後で見合いをしてもらう」


「私も形だけという条件でしたら喜んで」


こういう時いつでもヴィアは強い。無くすものが何1つないような感じは危ういような気もするが、その態度が多くの人に安心を与えるから不思議だ。


「はっはっは。我が娘ながら気の強い子だ。よし、用件は伝えた。2人とも下がってよいぞ」


王の高らかな笑い声が反響していてそれはこの部屋の大きさを物語っている。


「はい」


返事を2人で揃ってしてようやく緊張感から解放された。扉の外まで気を抜かないように全神経を歩くことに注ぐ。姉の側近フィオラが扉を閉めた後でシアンは思いっきり深呼吸をした。






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