彼女は明日を、僕は色を失った
初投稿となりました。待宵 ヨルと申します!
本作品は色のない世界という
現実からは少しかけ離れた話となっております。
読者の皆様にはそんな世界を感じて貰えばと思います。
―― また明日ね。
少し暖かくなりつつある夜風とともに彼女はそう言い残し去っていった。あの日彼女は死んだ。
永遠に訪れることのない明日を待ち続けて…
満開の桜が咲き誇る四月の上旬
高校進学を間近にひかえていた俺は未だに彼女を失ったという現実を受けとめられずにいた。世間というものは残酷で和気藹々に新たな生活に胸を躍らせ、俺をこの世界に一人置いてけぼりにしていった。
こんな日々がいつまで続くのだろう、自分の心に問いかけても返事はない。それだけ彼女を失った悲しみは俺を現実から突き放していった。
そんな事を考えていた時だった
俺の頭は突如激しい頭痛に襲われた。
意識が朦朧とし、世界が闇に包まれた
目を覚ますと俺は病院のベットの上にいた
病院特有の薬品のような匂いが鼻につく、
「あれ、俺なんでこんな所にいるんだ…」
しかし、この思考は一瞬のうちにかき消された。
俺の目は、視界は世界から突如色を失っていた…
この世界の全てが白と黒に映る。