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プロローグ
あまりにも見事な引き際だった。
彼はどこに行ってしまったのか。誰も彼の故郷を知らなかったし、会社を去ってからどこに越したのかも聞かなかった。
仲のよいサンライズやゾディアックですら、何も聞かされていなかったのだから。
もしかしたら、とサンライズは街角でふり返る。
あのソフトクリーム売り、何となく似てたな、髪型は全然違ったけど。
いや、メロンパンの屋台のあのイケメン、目つきがそっくりだった。
そんなことやってるのかな、遠くに行っちまったのかな。それとも……
しかし、時々、サンライズの耳にあの歌が蘇ってくる。
そして、あの表情も。
何も考えていないような、それでいてすべてを悟ったあの目を。




