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プロローグ





 目を開けると、視界に写ったのは白だった。

 意味も分からずただ前を見る。いや、前しか見れない。体は動かないし、首、目だって動かない。まるで見えない何かに固定されているようで気味が悪い。

 どうやら口すら開けないらしい。最早、俺に出来ることと言えば自分の事を思い返す事ぐらいだ。

 俺の名前は藍原透(あいはらとおる)で、高校三年。もう直ぐ大学生だったはず。大学合格が判明し、友人たちと遊び、家に帰って寝た。間違っても、猫と助けたとか子供を庇ってとかでは断じてない。確かに俺は眠ったのだ。

 それがどうしてこうなった!?


 俺が口には出せず心の中で嘆いていると突然目の前の光景に変化が起きた。

 目の前の白に、下から板の様な何か上がってくる。それは俺から一、二メートル程の所に現れ、俺の頭一つ分上の場所で停止する。


(なんだ、アレ……)


 意味も分からず、下から出てきた板に集中すると、何やら文字が浮かび上がってくる。が、読めない。どこの文字だそれは、というレベルで読めない。

 それから少しすると、今度は板に変化が起きる。何故か奥行が増え箱のような形になると、箱の正面、つまるところ俺から見た箱の正面に三つの四角い穴が開く。そして左側にくぼみ、右側にレバー。最後に四角い穴の向こうに回転する何かが。


(……スロットマシン? てか、くぼみにコインか何か入れる前に動いてるし)


 模様は見えないが、何か文字が書かれているのがかろうじて分かる。無論、先程の文字同様読めないだろうが。

 兎に角意味のわからない現象に、俺の思考は更に混乱する。

 目を覚ますと全く体も動かない上、白い空間。おまけに出てきたスロットマシン。


(訳、わかんねぇー)


 俺が呆然としていると、まぁ呆然とするもなにも動けないのだから描写の必要はないか。……それでも一応描写しておこう、うん。で、まぁ呆然としているとだ、どこからともなくドラムロールが聞こえてきた。

 それに合わせるように、一番左の絵柄が決まる、更に中央、右側と止まっていく。

 俺は一体何が? とそのスロット注目する。




 ―――結果―――


 左側・読めない文字+青い紋様


 中央・読めない文字+赤い紋様


 右側・読めない文字+青い紋様(形は違う)



 するとその紋様がスロットから飛び出す、俺の方へと向かってくる。俺はよけれる訳もなくそれに直撃。紋様は全て、俺の中へと溶けていく()


(な、なんだよこれ?)


 戸惑う俺をよそに、何故かもう一度まわるスロット。とはいえ、回っているのは真ん中だけだ。またしてもドラムロールが鳴り、スロットが止る。今度はまた、二つの青い紋様とは形の違う青い紋様だった。

 それが再び、いれ目掛けて飛んでくる。そしてそれが俺の体に溶けた瞬間、読めなかった文字が理解出来るようになった。


(まさか、今のは翻訳効果が?)


 取り敢えず、回ってしまった赤い紋様の文字は分からないが、回らずそのままになっている左と右のスロットに書かれた文字を見る。

 先ずは左側からいこうと思う。左側に書かれているのは……扇子職人?


(…………謎が深まった)


 意味が分からない、本当に。何で扇子職人? 俺大学行くから就職まだ先ですことよ? ああ、本当に意味が分からない。もう目を覚ましてから何回目のため息だろうか。あ、心のため息な? 

 このまま確かめないのも気持ち悪いので、失意のなか右側の文字に目を走らせる。

 えー右側、右側は―――………惨劇必殺?


(……………?)


 惨劇必殺? 三撃当てると勝ちの三撃必殺とかじゃなくて?

 もう、俺の頭はオーバーヒートを起こしそうです。もう、さっさと目覚めたい。

 

(なんなんだよホント。夢なのかこれは?)


 するとまた、タイミングよく変化が起こる。しかし、それを視覚で捉えることはできない。なぜならば―――――


(テンプレぇぇぇぇ―――――!?)


 ―――――床が消えた。

 俺は碌に抵抗することも出来ずに、ただただ、穴から落ちていった。














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