工事
「ひょぉぉぉ!!!!!気持ちいぃぃ!!!」
旅行疲れと先程の城事件がダブルで重なってグロッキー状態になった俺は、
一度クールダウンする為にもシャワーを浴びていた。
そう、すっぽんぽんの全裸である。
「この解放感……たまんねぇ……!」自分でもわかる程馬鹿な事を
呟きつつ、ぬるま湯を浴び続ける。
はぁ……にしても城か……。結局、何の為に建てたのかわからなかったな。
こんな住宅街に建てる意味なんて無さそうだし(まぁあったから建てたんだろうが)
さっきから何をしてようが城の事が頭から離れられない。
てか気にせずに生活をしろと言うのが無理だろこれ。
お隣のおじいさんにお土産も買ってきたってのに金もパーだしな。
「全く……こんな所に城建てるなんざ馬鹿だよ馬鹿。良い迷惑だよこんちくしょう!」
狭い風呂場に俺の叫び声が反響する。やっぱイライラした時は叫ぶのが一番だな。
体も十分に洗い終わり、脱衣所に出てタオルで体を拭いてると、
急に、外から工事用のドリルの音が鳴り響いてきた。
「つっ、うるせぇなぁ……!」
音の原因はわかる。絶対に城絡みだ。脱衣所の窓を開けて外を確認してみると、
ただ今犬小屋建設中の立て札が建ててあり、建設工事をしている最中だった。
しかもその規模が尋常じゃない。犬一匹入れる小さな小屋なんかじゃなくて、
犬が何十匹入っても十分に暮らせそうなログハウスだった。
今は脱出防止の頑丈な柵作りをしているみたいだ。
隣の城に比べるとかなり小さいが、それでも十分に大きさだ。
ついでに言うとこの家より大きい。人間より大きい家に住む犬って……。
なんか無性に腹が立ってきたので、現場監督らしき人に向かって
「うるさいんだよ!!」と叫び、乱暴に窓を閉めてやった。
完璧に迷惑なのは俺の方だが、向こうは向こうで相当の迷惑を
はたらいているのだ。ざまあみろだ。
しかしやっぱりイライラは収まらず、元お隣さんにあげる予定だった
土産のちんすこうをヤケ食いした後、俺は寝た。
結局工事の音は鳴り止まなかった。