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禁じられた夜

作者: 空詩
掲載日:2026/01/07

午前二時、私はタロットカードを目の前に広げた。

占い師には「自分自身は占わないこと」が暗黙のルールだ。でも今夜はどうしても占いたかった。


三ヶ月前から毎週のように来ている人がいる。

いつも世間話をして、コーヒーを飲んで最後に「また来週」と言って帰る。

彼は本当に占いに来ているのか私は知りたい。


一枚目、二枚目、三枚目。

私はカードを捲る。

「愚者」「恋人」「塔」。


私の瞳孔は開いた。

愚者は新しい始まり。恋人は同じ意味。塔は崩壊。


「え…!?」


部屋中に声が響いた。


占い師として数十年、私はたくさんの人々の恋の行方を見届けてきた。

だけど自分のことになるとカードの意味が分からない。


私は彼とこれから始まるの?それとももう会えなくなっちゃうの?


スマホが鳴った。彼からの連絡だった。

「明日の予約キャンセルしてもいいですか?」


胸が急に苦しくなった。

「キャンセル理由はなんですか?」

私は聞いてしまった。


「お客さんとしてお店に行くんじゃなくて、デートに行きたくて」

私はカードに視線を移した。

愚者。恋人。塔。


苦しかった胸が落ち着き始めた。塔の崩壊はもう会えなくなるんじゃない。

「お客様と占い師」という関係性の崩壊だ。

安心して涙が零れた。

「いいですよ」私は返信した。

「どこに行くんだろう。何着ていこう。」

私はカードを片付けながら考えていた。


今夜の星は、いつもより近くに見えた。

禁じていることがこんなにも輝きを与えてくれるとは思ってもいなかった。

今の私は占い師じゃない。ただの恋してる人間だった。

そんな日があってもいいんじゃない?

読んでいただきありがとうございます。

他にも短編を投稿しています。

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