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Combat・ with・The・unknown  作者: 唯ノ蒼月
第9章 枯れ果てた聖樹

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第73話 聖樹の麓街

クランクさん達が来た翌日の朝。

早速俺達は物資を持って聖樹へと向かう。

聖樹は浜辺の基地から数時間の距離、昼には着くだろう。

基地にはクランクさんと共にやって来た人員が配置され、ビギスト山脈の要塞前の人達には連絡を入れて荷馬車を連れて麓へと降りてもらった。


ちなみにクランクさんは帰ったけど何故かシャルルは残った。

ローザさんやエルミアちゃんが残るのはまだ分かる、自分達の種族の古い故郷だから。

けれどシャルルは言ってしまえば無関係。

確かにカトリーナが居るが国を開けてきても良いのだろうか。

そう思っていたがどうやら国の運営が落ち着いている事とクランクさん等が戻って代わりに様子を見ることから短期間なら問題は無いそうです。


「久々の前線ね〜」


「なんか活き活きしてるねシャルル」


両手を空へと伸ばして身体全体を伸ばすシャルル、その様子は何時もより元気がある様に見えた。


「ずっと室内に籠もって来る日も来る日も書類とにらめっこよ?もううんざりよ」


「確かにそれは嫌だね……」


俺もゲネシスで試作武器とかの書類とにらめっこしたことあるからその気持ちも何となく分かる。

あれが何日も続くのだからシャルルもそれはうんざりするだろう。


聖樹の麓にあるとされる街を目指す道中、アンコニュとの遭遇は無かったが代わりに狼やらゴブリンやらの魔物との遭遇があった。

しかしその殆どがステラ達やフィーユ達に蹴散らされ、接近したとしてもエルフのお姉さん達が守ってくれる。

なんならすぐ傍にセシリアとセラさんが控えている。


「グルァ」ボッ


更には俺の頭の上に乗る我らがキューちゃんが問答無用で焼き払うから触れる事すら出来ない。

魔物に、特にゴブリン相手に慈悲は無いようです。


そんな調子で何度か休憩を挟みつつ聖樹の麓にある街へと到着。


城壁に囲まれた向こう側に聳え立つ枯れた聖樹の姿が見える。

枯れていてもその姿は壮観であり、これがセシリアの部屋に飾られていた絵のように枯れていない姿ならどれだけ綺麗だったのだろうか。


「あの門から入れそうだね」


街への出入り口となる門は開放されていた為、簡単に入れそうだ。

ただ門の手前に木柵や矢盾が複数設置されてるのが気になる。

良く見てみるといずれも矢が刺さっていたり切り跡があったりとかなりボロボロになっている。


周囲を警戒しつつ邪魔な木柵や矢盾を退けて街の中へと入る。


街は建物の全てが白い石材で作られており、街全体が白い。

やはりと言うか街に人影は無く、廃墟とかしていた。

とは言え建物の多くが未だに残っている、倒壊したものもあるが多くが外壁の一部が崩れている程度だ。


「人は居ないけれど人ならざる者なら居るようね……」


そう言ってステラは左手を上げて俺達に制止を伝え、右手で剣を抜いた。


建物の影から数体現れるアンコニュ。

その姿は頭部の無い外殻に包まれた人型だ。

ここに来て新種が現れたかぁ……。


「徐々に人に近付いてってるね……」


「どういう原理で変化してるのかしら……それとも元々最初っからこういった形で生み出されたのかしら?」


「恐らく最初っからこういう形で生み出されてるかな」


奇襲作戦の時のマザーのやつを見るに始めからそういう形で生み出してたし。


「来るよ!」


サリーネの言葉と同時に外殻のアンコニュが此方に接近。

ステラとサリーネの振るう剣にアンコニュはその腕を盾にした。


「やっぱり斬れないわね!」


刃は外殻に阻まれアンコニュの腕を斬ることが出来なかった。

だけど勝てないわけではない。

アンコニュは全てが外殻に包まれている訳では無いから外殻の無い所は斬れる。


「ジェームズ」


「おうよ」


と言うことでジェームズにお願いしてみた。

呼ばれただけのジェームズも俺が何を望んでいるのか直ぐに分かった様でライフルを構えそのまま発砲。

弾丸は見事外殻の隙間を抜け アンコニュに傷を与えた。


「その調子で残りも頼む」


「任せろ」


一体一体にジェームズが狙撃して傷を負わせ動きを鈍らせるんだ。

外殻アンコニュの動きが遅くなればステラ達でも簡単には倒せるからね。


ジェームズの狙撃のお陰で動きが鈍った外殻アンコニュはステラとサリーネ、アルドルによって倒された。


ほっと一息つき、これからどうするかを話し合う。


「取り敢えずは街の奪還をしましょうか」


「そうね、まずはこの街での安全を確保した後で聖樹を登りましょう」


カトリーナの提案にシャルルが同意した。

俺も賛成、この街の安全を確保した方が上に集中出来る。

それにこの街にアンコニュが残っていた場合、下から奴等が登ってきて上と下とで挟撃される可能性もあるからね。


と言うことで街の奪還を開始。

まずは外からの侵入を防ぐ為に門前に再び木柵と矢盾を設置しリュミエール隊のお姉さん達数名と魔力回復の為の結晶苗木を配置。

次に手前の建物から順に侵入し安全を確保する。

複数に分かれた方が早いがその分危険も増す為今回は分かれず時間を掛けて奪還を行う。


サリーネ、エミリーを先頭にして俺とキューちゃんとセシリア、クーデリアとジェームズがまずは建物の内部へと侵入。

ステラやフィーユ達は外にて待機し緊急時の退路を確保。


「荒れてはいるけどそれなりに残ってはいるね」


中に入った建物はどうやら酒場の様でカウンターと幾つかのテーブルがある。

その内幾つかは破損していたが残っている物もある。

また壊れたテーブルやカウンターの一部が散乱しており、その中に光る物がありよく見てみるとガラス片だった。


「瓶とかの破片ですね、危ないので絶対に触らないで下さいね」


「はーい」


セシリアに言われた通り下手に触らずに室内を進む。


「1階に敵は居ませんね」


「それじゃ2階に行こうか」


サリーネに付いていき2階への階段を登る。

段差を超える度にギシギシと板が軋む音が響く。


「あまり強く踏み込むと板が壊れて抜けちゃうね」


「サリーネ、お願いだからあんまりそういう事言わないで怖いから」


本当に足元が崩れそうで怖いんだから。

そうして2階へとたどり着く。

2階にも幾つかのテーブルと椅子が置かれている。


「っ!居るっ!」


サリーネがそう言うと同時に奥の暗がりから何かが蠢き、此方に向かって飛び掛かる。

正体は外殻のアンコニュ、そいつは俺へと両手を伸ばした。

俺は即座にライフルを横に構える、アンコニュの両手がライフルに触れそのまま掴んだ。


「ぐっ……うっ?!」


「エルッ!?」


飛び掛かられた衝撃に耐えられず後退る俺の腰に2階からの落下を防ぐ手すりが当たった、かと思った瞬間手すりはバキッと音を立てて砕け、俺はそのままアンコニュと共に後ろへと倒れサリーネの名を呼ぶ声をききながら1階へと落下した。


落下の衝撃に備えようと身体が強張る、だが次の瞬間俺を包むのは柔らかな感触。


「私のエルに触れないで下さい」


そして冷たく言い放たれた言葉と共に鋭い蹴撃によってアンコニュが屋外へと吹き飛ばされた。


ふわりと漂う落ち着く匂いと先程の声から俺を受け止めてくれた人が誰かは分かった。


「ありがとう、セシリア」


「当然の事をしたまでですよ♪」


俺を抱き上げたまま微笑むセシリア。

セシリアは俺とサリーネの後方、2階への階段の途中に居た事から俺が落下したと同時にその場を飛び駆け付けてくれた様だ。

お陰で身体を床に強打せずに済んだ。


「エル大丈夫!?」


「こっちはセシリアのお陰で無事だよー!」


「良かったっ!こっちも2階の制圧完了だよ!」


2階のサリーネと連絡を取り合う、どうやら先ほどのアンコニュ1体しか居なかった様だ。


セシリアに蹴り飛ばされたアンコニュはそのまま転倒、外に待機していたソフィーとヴィクトリアの2人にメイスでボコボコにされて沈黙したとのこと。


「外殻には斬撃よりも打撃の方が有効みたいだね」


「そうね、隙間を狙えば剣でも対抗は出来るけれど打撃武器ならその辺気にしなくても良いわね」


外のステラと合流、小休憩を挟み奪還を進めていく。


「エル、弾薬あるか?」


「あるけど残り少ないな」


街の中を進む途中、ジェームズにそう答える。

俺とジェームズは好んで銃を使っているから弾薬の管理も必要なので互いに互いで確認し合うんだ。

俺は弾薬の数が少ない、どうやらジェームズも同じようだ。


「1回補給しに戻るか」


「そうするか、セシリ「私も同行しますね」あ、はい」


有無を言わさぬ勢いについ頷いたけど、最初から置いていこうとかは考えてないよ?

勿論セシリアの意思を尊重するから残ると言うなら連れて行ったりはしないけど。


と言うことで俺とキューちゃんとセシリアとジェームズは弾薬の補給の為に一度門前まで戻る事にした。


弾薬を取りに戻った後、俺達を待っていたステラ達と合流し再び奪還を開始。

出てくるアンコニュは外殻の奴ばかり、此方も既に対策済みである為そこまで苦戦すること無く奪還も順調に進んでいった。


「これ地図かな?」


探索中ある建物の室内に大きく飾られた絵が描かれた羊皮紙があった。


羊皮紙中央に大きく描かれたのが聖樹だろう、その周りに湖があり湖の下、恐らく俺達の今居る辺りに街の絵が描かれている。

また聖樹へと伸びる長い道が描かれており、恐らくここを通って聖樹を登って行くのだろう。


「ここまではっきりと残っているのは有り難いですね」


「そうだね、ここを少し調べて行こうか」


ローザさん達も調べてくれたとは言えかなり昔の物で詳しく書かれた物は無かったからね。

ここで調べて他に何か分かればありがたいものだ。


ステラ達に周囲の警戒をお願いし、俺とセシリア、ローザさんとエルミアちゃんにシャルルとカトリーナで調べた結果。

俺達の今居るこの場所は第2市街と呼ばれる所であり、聖樹へ行くには橋を渡って第1市街へと向かい第1市街から聖樹へと向かう必要がある。

この絵の街から聖樹に伸びる道がその第1市街から行く道だろう。

俺達は外で警戒しているステラ達の下へと向かい知った情報を話す。


「第2市街を奪還し終えたら第1市街に向かえば良いって事ね?」


「そういう事だね」


「なら、ここ第2市街を奪還後適当な建物内で見張りを代わりながら休み、明日の朝に第1市街に向かうのはどうかしら?」


ステラには少し考えた後、そう提案してきた。

確かに時間的に第2市街を奪還し終えたら夜になりそうだしその方が良さそうだな。


「時間も時間だし、俺は賛成」


「そうですね、夜という視界の悪い中では危険ですし今日は第2市街の奪還までにしましょう」


指揮官であるカトリーナの賛成も取れたので計画通りに進めよう。

俺達は直ぐに第2市街を奪還し比較的崩れなさそうな建物を選び入り口の外に防壁と屋根を設けた後見張りを代わりながら一夜を過ごした。

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