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Combat・ with・The・unknown  作者: 唯ノ蒼月
第9章 枯れ果てた聖樹

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第72話 補給基地確保

「やっぱり……そうですよね」


遺跡を抜けた先で見た枯れた大樹。

それを見てセシリアは分かっていたかのように呟いた。


「アンコニュに支配された土地は全て例外無く荒廃していました、だから聖樹も枯れてるんじゃないかって何となく予想は付いてたんです」


苦笑いを浮かべながら呟くセシリア。

けれどその声に元気はない。


それもそうだろう、要の地の奪還のついでとは言え夢にまで見た聖樹を見るためにエルフの国から遠く離れたこの場所まで来たと言うのに。

いざ目の前に現れた聖樹は部屋に飾ってあった絵に描かれた美しい姿とかけ離れた枯れ果てた姿なのだから。


セシリアだけではない、護衛として一緒に来たエルフ達もカナリアさんすらも茫然自失となっている。


何か、なにか無いだろうか。

セシリアは勿論、カナリアさんやエルフのお姉さん達にも笑っていて欲しい。

だから必死に考えた。


「あ……」


そこでふとある事を思い出し、セシリアに声を掛ける。


「セシリア、エルフの国の枯れ果てた神秘の泉を覚えてる?」


「ええ、覚えてますよ……まさか……?」


「多分その考えであってると思う、枯れ果てた神秘の泉は問題なくその息を吹き返した。ならあの聖樹も息を吹き返すと思う。それにあの聖樹が要の地の可能性だってあるんだから」


あれだけデカいんだ、聖樹がこの地の要の地なんじゃないだろうか。

根拠などは全くない希望的観測ではあるが可能性が無いわけではない。

確定させる為にも情報が欲しい所だ。

何分ここは俺達の居る国から遠く離れた地でありビギスト山脈を越えたこちらの地方の情報が無い。


「エル、クランク総司令に連絡をして物資の補給を頼んだのですが……」


丁度カトリーナに頼もうと思った所で向こうから話しかけてきた。

どうやら俺の話を聞いて即クランクさんに連絡を入れたようだ。

しかしカトリーナの様子から物資の補給はそう簡単にはいかない様だ。


「出来ない事は無いのですが何分遠いので運搬方法に困っています。私達の通ってきた遺跡は迷子や迎撃等の危険がありますし、迂回すると莫大な時間が掛かってしまいます……」


「なるほどね……」


確かに俺達は遺跡は途中から問題無くなったが他の人達も同様とは限らない。

もし戦士達に襲われなかったとしても入り組んだ遺跡で迷子になる可能性が極めて高いし。

かと言ってカトリーナが言ったようにビギスト山脈を大きく迂回するとどれだけ掛かるかも分からないしそんなに待てない。

何か方法はないかと俺は高台から周囲を見渡す。


「あそこ、あの海岸沿いに拠点を築いて海から補給物資を貰おう」


「なるほど……それなら確かに時間が掛からず補給出来ますね」


掛かったとしても最寄りの港から出港すれば数日、リスクも少ない筈だ。

カトリーナはクランクさんに連絡して物資の補給を手配した。


聖樹を取り戻し、復活させる為に行動を開始した。

だが一点、問題がある。

あの聖樹が仮に要の地だったとして、上手く復活させられるか。

何しろデカいからね、聖樹。

出来たとしてどのぐらい日数が掛かるかな。


取り敢えず俺達は補給を受け取る為の拠点を作成する為に海岸を目指して高台を降りる。


母さんや皆の様子を伺いながら小休憩を何度か挟みつつ海岸線に到着。


「それでは拠点制作を始めましょう」


「「「「「「「「「「了解」」」」」」」」」」


カトリーナの合図にそれぞれが役目を決めて動き出す。


見張り役、次の見張りに備え休息、整地や材料収集等の拠点制作役など。


リュミエール隊やエルフのお姉さん達は少数ずつに分かれて行動。


見張り役はアルドルとユースティア。


休息はステラとエミリー、オリヴィアさん。


整地、材料収集等の拠点制作部隊はカトリーナの指示の下、行う。


ちなみに俺とセシリア、妹達と母さんは昼食の準備をしている。

時刻は既に昼を過ぎているが食べないという選択肢は無いので。

食糧調達にクーデリア達が海へ向かっているのでその間に火を起こしたりする。


「キューちゃん」


「キュー」ボッ


集めた木にキューちゃんが火を吹いて点火。

その上に鍋を置いてスープを作っていく。

ここ数日は戦闘糧食(レーション)ばかり食べていたからそろそろ皆も普通のご飯が食べたいだろうからね。


スープが出来上がった頃にジェームズ達が多くの魚を釣って帰ってきた。


「あ、エル、駄目ですよ、それは毒があるので食べられません」


「へぇ〜こんな綺麗なのに食べられな……まってセシリア、その虹色に光ってる魚も食べられないよね……?」


手に持った魚が毒魚と教えられ、海に返すために別に分けつつセシリアを見るとその手には虹色に輝くいかにも毒がありますよって見た目の魚を持っていた。


「この魚はニジイロイノチチルという魚で食べると天にも登る程の味わいだと言われています」


「大丈夫なのそれ!?文字通り天に召されない!?」


虹色命散るって物騒にも程があるでしょ。

と言うか絶対毒でしょ。


そう思ってたのにセシリアが捌いて一口食べた、生で。

そしてニッコニコの笑顔で俺にも一切れ差し出す。

俺にも食べろと、拒否権は無いようだ。


「っ……!あむっ……っ!?」


大変美味でございます。


さっきの魚が毒でこの虹色の見た目ヤバい魚が食べれるとか絶対おかしいよ……!


そんなこんなで皆で見張りを代わりながら昼食を食べ終えた。


これから俺達も拠点の制作を行っていく。

整地は魔法のお陰でもう終わってるし何しようか……そうだ、見張り台を作ろう。

高い建物があれば周囲の警戒をしやすいし、何より物資を運んで来る部隊も見つけやすいだろう。

無論空からの襲撃に備え魔法などで強固に作る。


「見張り台ですか?良いですよ!」


と指揮官のカトリーナからも許可を頂けたので作成していく。


見張り台を構築した後は浜辺へと降りる為の階段を作る。

ここは海より高い高台にあるからね、早く安全に降りれるようにしとこう。

幸い森は直ぐ目の前だから木材の運搬に時間が掛からず作れた。


今回の拠点は木柵で周囲を囲ったもの、また倉庫なども木材で作った。

如何せん遺跡の洞窟を通る為に天幕等の多くの物資を要塞前の拠点に置いてきてしまったからね。


そうして拠点を作り終えクランクさんに連絡をして待つ事数日後、海に何隻もの船が見えた。


その直後クランクさんから連絡が来た後、船から小舟が複数、此方に向かって来た。

あの船のままではデカすぎて停泊出来ない為小舟に物資を移して輸送するとのこと。


浜辺から階段を登って拠点へ物資が運ばれる中俺は一緒に来ていたクランクさんと会った。


「坊主、元気そうで良かった」


「クランクさんこそ、元気そうでなりより」


数ヶ月ぶりの再開。

変わらず元気な姿が見れて安心した。


「予想より速かったね」


「艦船の何隻かは常に最寄りの港に停泊させて何時でも動かせるようにしておいたからな。実際こうして役に立った、何が起こるか分からんもんだ」


クランクさんはそう言って俺の頭を乱雑に撫でながら笑った。

今や連合軍の総司令となったクランクさんは以前となんら変わらぬ様子で接してくれる。

俺はそれが何処か心地よかった。


「お母様!?それにエルミアまで!?」


セシリアの驚く声が聞こえ、声の聞こえた方へと顔を向ければセシリアの前に2人のエルフが居た。

セシリアの母ローザさんと妹のエルミアちゃんも一緒に来ていた様だ。


取り敢えず外にずっと居るのもなんだし、拠点内へと赴く。


「お姉様!?」


指揮所からカトリーナの驚く声、どうやらシャルルも来ていたようだ。


クランクさんやシャルルなど忙しい立場なのに遠路遥々会いに来てくれたのは嬉しい。


ちなみにクランクさんやシャルルは単純に顔を見に来ただけでローザさんはそれとは別の理由があるようだ。


そして目の前に出される幾つもの古い書物。

それには聖樹に付いての記載が幾つも残っていた。

ローザさんがわざわざエルフの国にある古い書物を引っ張り出して来て調べてくれたようだ。



曰く、聖樹は要の地であり、その麓には小さな湖があり、街が建ち栄えたと。

また聖樹自体にも上へと登る道を作っていたとか。

その登った先にも街などを作ったと書かれていたらしいが実際はどうかは分からない。


「ありがとうございます、ローザさん」


これでセシリア達の自信も確固たるものになる。

なにせ要の地と記されているのだ、後は俺が頑張りさえすれば問題無い。


「良いのよ、可愛い娘や息子の為だもの♡」


エル「……息子……?」


「勿論エルの事よ♡」


「お母様!?!」


顔を赤くしてローザさんに突撃したセシリア。

本当に元気が戻って良かった。

さて。


「やる事が決まった」


明日、聖樹の麓市街地へと向かう。

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