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Combat・ with・The・unknown  作者: 唯ノ蒼月
第8章 大陸西部攻略

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第70話 山脈の要塞

山脈に築かれた要塞。

それは俺達の行く手を阻む様に目の前に聳え立っていた。


「結構古いよね?」


「そうですね、中には入って罠とかが作動すると面倒ですし一応迂回できるか調べてみましょうか」


カトリーナの考えに賛成し俺達は荷馬車の見張りと探索に別れた。


俺はキューちゃん、セシリアに妹達と母さん、そしてクーデリア達と一緒に要塞周辺の探索だ。


「主材料は石材の様ですね」


要塞に触れて調べていたセシリアが呟く。

見た目通りのただの石の様だ。

長い年月を経たのだろう外壁はかなり痛み、また苔などが付いており古びているのが見て分かる。


「所々穴が見えるがありゃなんだ?」


「恐らくだけど弓とか射る為の穴だろうね」


「なるほどな」


要塞の外壁の上の方に等間隔で穴が空いている事に気付いたジェームズに俺の考えを言ったら納得したようで頷いていた。


そのまま皆で外壁に沿ってゆっくりと進む。

罠とかが仕掛けてないとは言い切れないからね。

そうして進んで行くと外壁は岩壁に当たり行き止まりとなった。


「流石にこれを登るのはキツイね」


「フィーユさん達に抱っこして貰って飛ぶのはどうなの?」


「アルティナの考えも悪くは無いけど流石に危険かな」


俺の言葉に首を傾げるアルティナに空かさずセシリアが捕捉を入れてくれた。


「魔法使いや魔術師が飛び越えるというのは真っ先に予測しますからね、飛び越える者に反応する魔法などが仕掛けてないとも言えませんので飛び越えるのはまずしません。昨日は土砂崩れの起きた場所はただの道だったから飛び越えても問題なかっただけで此処は侵攻を防ぐ為の要塞ですからね」


「なるほど〜」


目をキラキラさせながら手を叩くアルティナ、尊敬の眼差しを向けて手を叩くレスティナ。

母さんやクーデリア達も凄いと手を叩いていた。


「流石セシリア」


俺も周囲に習って手を叩けば流石に恥ずかしくなったのかセシリアが頬を赤く染めた。


「もうエルったら!煽ててもキスしか出来ませんよ」


「それはちょっと恥ずかしいです」


思わぬ反撃を受けた、頬が熱くなるのが分かる。

取り敢えず視線を逸らそうと思ったらセシリアに両手で頬を掴まれて逸らせなくなった。


「は、離して……」


「駄目です、からかった罰です♪」


微笑むセシリア、頬がどんどん熱くなる。

それから1分ほど見つめ合いセシリアが満足したのか解放された。


セシリアと手を繋いで荷馬車の下へと戻る。


「おかえりなさい、どうだったかしら?」


「駄目ですね、岩壁まで要塞の外壁で塞がれてました」


荷馬車で待機していたセレーネさんにそう報告しながら手招きされたのでそのまま膝上に座る。

腹部に手を回されしっかりと固定され、髪に顔を埋められた。

背中に何か柔らかい物を感じる……。


その後セラさんに前から抱き着かれた事でセラさんとセレーネさんに包まれながらフィーユ達の帰りを待つ事数分。

帰ってきたフィーユ達の方も同様に塞がれていた事から正面から入る以外無いとのこと。


無論魔法で飛び越えるのは無し。

浮遊魔法を感知されて変に対抗魔法とか得体のしれない物が作動されても困るので。


流石に荷馬車を持っては行けないので必要な物だけ持ってステラとサリーネを先頭に皆で正面からゆっくりと侵入、まずは外壁沿いに進む。


「問題なし」


「了解」


サリーネの合図、ゆっくりと前進し次の区画へと入っていく。

外も酷かったけど要塞内部も結構ボロボロだね。

草が茂り、防壁は所々が崩壊していることから長い年月放置されていたのかなと思う。


「ここは行き止まりね」


「戻ろうっか」


ステラとサリーネの指示の下、引き返す。

一箇所一箇所をゆっくりと慎重に潰していく。


「崩壊してて進めないね」


次の区画は防壁が崩壊し道を塞いでいて進む事が出来ない。


「先には行けないわね、他の道を探してみましょうか」


踵を返すステラの後を追い俺達も進む。

奥から崩れた向こう側へと回り込むも行き止まりだった。

その後も探索を続けるも道は無く、残る区画も一つのみ。


「次の区画で最後か〜」


「そうね、何もないとも言えないから気を引き締めて行きましょう」


踵を返すステラの後を追い俺達も進む。

最後の区画は要塞の最奥で岩壁に面した場所である。


「……良し」


ステラの合図を聞きサリーネ、アルドル、ユースティアが素早く区画内に入り武器を構える。


「「「クリア」」」


「問題は無さそうね、良いわよ」


問題無さそうとのことで俺達も中へと入る。

今までのどの区画よりも多少広い広場。

他の区画と殆ど変わらない此処で唯一違うのは岩壁に刻まれた像。


「こうも鮮明に彫るって凄いですね」


「何処かの騎士様かな〜?」


セシリア、サリーネの3人で岩壁に彫られた像を見つめていた。


「ヴゥー」


「キューちゃん?」


「グルァ!!!」


「キューちゃんどうしたんですか?」


突然キューちゃんが石像に向かって吠え始めた。

突然の事にセシリアやサリーネも首を傾げ、また鳴き声が聞こえてクーデリア達やリュミエール隊のお姉さん達も異変に気付いて此方に近付いてきた。


キューちゃんは一貫して石像に向かって吠えている。

キューちゃんは賢い、この行動が無意味では無いはず……まさか……ね?


「キューちゃんどうしたのさ?」


「落ち着いてください」


サリーネとセシリアは俺を、キューちゃんを宥めようと岩の像から視線を離した。

その瞬間、俺は確かに見た。


石像がピクリと動いたのを。


「「きゃっ!?」」


傍に居た2人を突き飛ばすと同時に石像が岩壁を粉砕しながら手を伸ばす。

その手には先程まで無かった石の槍が握られておりその矛先は俺へと向いている。


「キューちゃん!」


「グルァ!!!」


『言わなくても分かっている』と言うかのように鳴いた後直ぐに火球を放つ。

至近距離で爆発した火球の衝撃を利用してそのまま後方に吹き飛び、伸びた石槍は俺の左肩を軽く切り裂く程度で済んだ。


「エルッ!」


直ぐにセレーネさんが駆け寄って回復の奇跡を施してくれる。

ステラとアルドルが直ぐに前に出て構え、突き飛ばしたサリーネはその後ろへ付き、セシリアも直ぐに起き上がって俺の傍へと来た。


「助けて頂きありがとうございますっ!ですがまた無茶しましたね!?」


「あれしか助かる方法無かったから許して……」


「駄目です、罰としてずっと傍に居て下さい」


セレーネさんの治療が終わった途端セシリアに強く抱きしめられる。


「罰じゃなくともずっと傍に居るよ」


「ちょっと目を離すと何処かに消えてしまいそうで怖いんです」


「大丈夫、此処に、セシリアの傍に居るから」


セシリアに応えるべく、俺は両手を背中に回して抱きしめ返す、それに呼応するようにまたセシリアも強く抱きしめてくる。


「グルァ」


「……なんと言ったのですか?」


「これで結婚してないんだから不思議なものだ、あとイチャイチャしてないで早く戦えや」


「せっかくの感動が台無しじゃないですか」


キューちゃんの言葉を聞いたセシリアが苦笑いを浮かべた。

ふと周りを見ればセレーネさんやセラさん、リュミエール隊のお姉さん達も苦笑いを浮かべていた。


「相変わらずあの一言で何故そんな多くの言葉が発せられるのか私には分かりません」


「俺にも分からん」


石像は未だ岩壁から出てはいなく、ステラ達と睨み合いをしている。

……いやよく見るとピクピク動いているから抜け出そうとしてるのか?


そう思った途端石像の動きを封じていた岩壁が揺れたかと思えば騒音と共に石像が完全に抜け出してきた。


ボロボロの石像は滑らかな動作で石槍を軽く振り構えた。


「あれもゴーレム?」


「あんなゴーレム見たこと無いわよ、多分だけどガーディアン・ゴーレムより古いんじゃないかしら?」


ステラの近くまで行き聞いてみた、どうやらあれは見たこと無い物だった。

ちなみにセレーネさんやオリヴィアさんも知らないとのこと。


つまり俺達が今から相手する奴はガーディアン・ゴーレムよりその起源は古く、セレーネさんやオリヴィアさんすら知らない古代の遺物。


此方が動かないと見ると石像はゆっくりと此方に歩み寄る。

そして一瞬の内に接近しその槍を突く。

アルドルがそれを上へと弾き、その隙にステラ踏み込みその胴体へ斬り込む。

一筋の線が胴体に走るも続く二撃目は石像が後ろに下がった事で空を切った。


「あれ、今の技術で再現出来ないでしょ」


俺達と同じくらいの大きさの癖してその動作は普通の人間と大差ない程滑らかに動く。

デカいガーディアン・ゴーレムはあんな滑らかに動かないしそもそもここまで小さくして稼働するかも分からん。


「グルァ!」ゴォ


キューちゃんの吐いた火球をいとも容易く切り裂く石像。

切り裂かれた事で火球は爆発し爆煙を発生させその爆煙に紛れてサリーネとステラが両側から攻める。


交差する薙ぎ払いは槍を縦に構える事で防ぎつつその槍を地面へと突き刺し支柱にして跳躍。

そのまま槍を振り上げ叩き下ろそうとする石像、狙いは後方のお姉さん達か。


「ジェームズ!キュー!」


「応!」


「キュー!」


共にライフルを構え、キューは大きく息を吸う。

キューが広範囲に火炎を吐き散らし、その後に俺とジェームズが弾丸を発射する。


ただの弾丸ではない、魔法が付与された特殊弾だ。

付与された魔法は吸収、その弾丸はキューちゃんの火炎を吸収し即席の火炎弾と成り石像の胸部を穿つ。


「グルァ!」


駄目押しにキューちゃんの火球が当たり体勢を崩して落ちる石像。

地面に墜落する瞬間そのまま手を付き後転し再び槍を構え、一直線に俺へと突っ込む。


「チッ」


立て直しが早いっ!


「お兄ちゃんに……」


「エル兄様に……」


「「近付くな!!!」」


ソフィーとヴィクトリアが俺の両側からすり抜け接近する石像の両足を手に持つメイスで殴打した事で石像は転倒。

流石に幼馴染同士、息ぴったり。


石像は倒れる中、槍を伸ばした。

けどそれは目の前に現れた防壁によって防がれた。


「クーデリアいつの間に奇跡覚えたの?」


「ふふ、私こう見えて元々は神官を目指していましたからね!」


胸を張るクーデリア、その大きな胸が凄く揺れる。


「爆弾!行きますよ!!!」


「「!」」


テレサの掛け声、その声にメイスで倒れた石像の背中をボコボコに殴っていたソフィーとヴィクトリアは即座にその場を離れる。


投げ込まれる樽……樽!?


「出血大サービスです♪」


恐らく身体強化で投げたであろうテレサが可愛らしくそんな風に言った。

投げ込まれた樽が石像に当たる直前にセレーネさん、セラさん、ユースティア、クーデリアの四名が四方に防壁を張る。


「キュー」


駄目押しにキューちゃんが火球を弧を描く様に発射。

樽が石像に当たり割れ、大量の爆弾が散り上からキューちゃんの火球が落ち、起爆。


大爆発。


爆煙の晴れたそこに石像の姿は無い、跡形もなく消し飛んだ様だ。


「終わったね」


「終わりましたね」


その後全員一息付いて、岩壁の方が音を立て再び構える。

そこには土埃が立っていたが他には何も無い。


俺はステラとサリーネの両名と共に岩壁の方へと向かう。


「これは……」


そこには先程まで無かった岩壁の中へと続く入り口が出来ていた。


「さっきの石像はここを守る番人って事か」


「厄介な番人でしたね」


皆で苦笑いし互いに労いながら一度置いてきた荷馬車に戻る。

クランクさんに連絡を取り、数日待って人員を送って貰った後準備をしっかりとして岩壁の中へと入った。


洞窟を少し歩くと古びた両扉が現れた。


「洞窟に両扉?」


「罠は無いね」


フィーユに魔法で罠が無いか調べてもらい、安全を確認して俺とジェームズで両扉を開ける。


「これは……遺跡……?」


扉を開けた先は洞窟では無く、人工的に積まれた石の壁と敷き詰められた石畳が姿を現した。

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