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Combat・ with・The・unknown  作者: 唯ノ蒼月
第7章タイトル 東部戦線

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第64話 祖国の為に

ウィリアムSide


私には可愛い妹達と綺麗な姉が居た。

父と母は仲が良く、また親子間の仲も良好だった。

家はフィーニスでゲネシスの国境付近の辺境。

元気一杯の妹達に付き合わされ一緒に家の周囲を走り回り、その様子を父と母と姉が笑顔で見守っていた。


決して裕福ではなかった、それでも自慢の家族だった。

私は家族の為に自ら軍に志願した、軍なら給金も多い、大変だろうが家族の為ならなんてことはない。


軍に入り訓練を終えた私が配属された先では試作機のテストパイロットのデータから戦闘機、人型のシミュレーションをやらされた。


明けても暮れても戦闘機や人型のシミュレーションを繰り返す。


休暇の日は辺境へと戻り、家族と過ごした。

また家族の他に良く一緒に過ごす人も居た。

幼馴染であり、年上のエリナだ。


『恨んでは駄目だよ』が口癖で、長く綺麗な金色の髪に碧い瞳の女性。

エリナは村一番の美人で有名でもあった。

私はエリナと2人で祭りに赴き、そして将来を誓った。


父も母も姉も妹達も祝福してくれた、エリナは家族公認の私の婚約者になったんだ。


そんな日々を過ごしていく内にシミュレーションで私に勝てる者達が居なくなっていった。


そんなある日私は新たに設立された戦闘機隊へと配属となりそこの隊長となった。

部隊名はgod's hound、【神の猟犬】隊。


総勢6人の戦闘機隊。


新設された基地の格納庫に鎮座する一式に似た戦闘機。


【二式空中戦闘機】


試作機と一式の戦闘データを基に作られた戦闘機、その装甲材も最新の物で作られ防御性能も上がり機銃に関しても新型戦艦のディヴィニティ級の主砲の技術によって威力が上がっている。




これならアンコニュの相手も楽に出来るだろう。

アンコニュを倒して平和の世界を取り戻し、エリナとゆっくり過ごそう。

新設された部隊の隊長だから給金もそれなりに良いだろう、家族への仕送りを増やして、そうだ、エリナと買い物に出掛けよう。

服や本を買ってそれから……結婚指輪を買うんだ。



そう思っていた。



突如ゲネシスがフィーニスの辺境へと攻撃。

フィーニスはこの事を受けてゲネシスへと宣戦布告をし、祖国は突如人同士と戦争状態へと突入し新型戦艦と6機の人型を持ってゲネシスへと進軍を開始した。


そんな中私達に待機命令がでていたが私は命令を無視して辺境へと急いだ。


辺境に辿り着いた頃には既に日は沈み、辺りは既に暗かった。

だが私の住んでいた村は、家は明るかった。

家々の明かりが付いていたからではない。


焼けているのだ。


私は燃え盛る村の中を駆ける。


壊れ焼けた家、倒れた人々。

そしてその中に居た。


畑仕事で筋肉質、優しいが時に厳しかった父。

父に重なるように倒れる優しかった母。


その近くで倒れているのは元気一杯で可愛いかった妹達。

そんな妹を庇うような重なり事切れているのは綺麗だった姉。


そしてなにより、私の婚約者であるエリナが一緒に倒れていた。

私は急いでエリナに駆け寄り、抱き起こす。


「ウィリアム……恨んで……は、だめ……だよ……」


そう言ってエリナは私の腕の中で息を引き取った。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」


両手で強く、彼女を抱きしめる。

降り出した雨によって彼女の残った体温が奪われていく。

冷たくなった彼女は、もう私を抱きしめ返してはくれない。


私は世界を呪った。



















フィーニス本国から東に海を渡った先にある離島。

その基地の滑走路にて私は二式を進める。

本来は最後の新型艦と共に我々はゲネシスに対して反撃に出る手筈だったがその情報が敵に漏れたらしく此処に攻撃に向かっているらしい。

我々はこれより出撃準備中の新型艦を守る為出撃する。


『恨んじゃ駄目だよ』


……すまない、もう君との約束を守れそうにない。


「思えば私はあの日から既に死んでいたのかも知れないな……」


私はコックピット内で強く操縦桿を握りしめる。


「ゴッズハウンドリーダー、出撃する」







エルSide


俺達は現在フィーニス帝国東の海上を低空で飛行している。

目的は東の離島に停泊中の敵の最後のディヴィニティ級戦艦の破壊とエース部隊の壊滅である。


恐らくゲネシスとフィーニスの最終決戦ではあるが海を越えなければいけないことから参加者は少ない。


俺達バナール隊、フィーユ達リュミエール隊、レスティナ達精鋭の人型部隊だ。

一応ステラ達も参加はしているが地上戦は俺達がディヴィニティ級と空の部隊を壊滅させた後である。

それまでは後方で待機だ。


「ミサイルはディヴィニティ級へ優先して撃ち込め、ゴッズハウンド隊に撃ち込んでもあの煙と強い光に阻まれるだろうからな」


banalTeam(バナール隊)《了解》


「フィーユ達は敵魔術師隊の相手を、レスティナ達は人型で遠距離砲撃。特にレスティナ達は浮遊しながらの攻撃は不慣れだから無理はしないように」


Lumière(リュミエール)Team()《了解》


Restina(レスティナ)《分かりました!》


Altina(アルティナ)《分かった!》


そうこう言っていたら目的地の離島が見えてきた。

既に空に敵兵の姿が見える。

俺は機首を上げて高度を上げた。


「終わらせるよ、こんな戦い」


《《《《《《《《《了解!》》》》》》》》》


Crank《全員生きて帰ってこい。交戦を許可する》


「バナール1、交戦」


Kudelia(クーデリア)《バナール2交戦》


james(ジェームズ)《バナール3交戦!》


Sofie(ソフィー)《バナール4交戦!》


Victoria(ヴィクトリア)《バナール5交戦!》


Teresa(テレサ)《バナール6交戦!》


fille(フィーユ)《リュミエール隊、交戦!》


Restina(レスティナ)《人型部隊交戦!》


《来たぞ!ゲネシス軍だ!》


《ディヴィニティ級を死守しろ!なんとしても守り抜くのだ!》


すれ違う二式。


「狂犬のエンブレムが無いな」


「予備機を持ち出して他のパイロットを乗せているようですね。文字通りの総力戦と言う訳です」


Kudelia(クーデリア)《機体性能が上でもパイロットが未熟ですね。一つ》


Victoria(ヴィクトリア)《そうだね。一つ》


Teresa(テレサ)《恐らくシュミレーションしかしていないのでしょう。一つ》


《最期にお前らと飛べて良かっ━━━》


《楽しいラストフライトだっ━━━》


《悪いなっ!先に逝く━━━》


次々と落ちていく二式。

俺達は襲い来る敵を蹴散らしディヴィニティ級へと近付く。


「二手に別れる、俺とクーデリアとジェームズはこのまま離島上空に侵入し敵滑走路を破壊する。これ以上上がって来られては面倒だからな」


Kudelia(クーデリア)《了解》


james(ジェームズ)《了解》


「ソフィー、ヴィクトリア、テレサの3名は上空の二式を落としつつ隙を見てディヴィニティ級への攻撃を、まずはエンジン部を狙え」


Sofie(ソフィー)《了解》


Victoria(ヴィクトリア)《了解》


Teresa(テレサ)《了解》


二手に別れた俺とクーデリアとジェームズは離島上空へと侵入し滑走路を見つけ急降下、発進準備中の二式の前方にミサイルを撃ち込み滑走路を破壊し出撃出来なくさせる。


《滑走路をやられたぞ!》


《これでは出撃出来ない!》


レスティナ達による遠距離砲撃も始まった事でそう簡単に滑走路の修復は出来ないだろう。


今の内にディヴィニティ級の相手をしよう。


即座に旋回し停泊中のディヴィニティ級へと向かう。


Kudelia(クーデリア)《既にエンジン部がやられていますね、ソフィー達も成長した様です》


クーデリアが言った様にディヴィニティ級は既にソフィー達によってそのエンジンが破壊されていた、これで出撃は出来ないだろう。


「レーダーに反応!機数6!高速で此方に接近してきます!」


「来たな!」


god's houndleader 《別空域の哨戒中に襲撃されるとは、我々もつくづく運がないな。全機地獄を見せてやれ》


god's houndTeam 《了解!》


Kudelia(クーデリア)《今日も倒させてもらいます!》


james(ジェームズ)《エル直々に訓練を付けられた俺達が負けるかよ!》


Sofie(ソフィー)《僕達に勝てるかなぁ!》


Victoria(ヴィクトリア)《兄様の邪魔はさせないっ!》


Teresa(テレサ)《さくっと倒してエル兄さんの援護に行かせていただきます!》


それぞれがそれぞれの敵を相手取る、無論俺の相手は……





god's houndleader 《始めようか、バナール1》


「ゴッズハウンドリーダー……」


速度をピッタリ合わせ、背面飛行で機体をギリギリまで寄せる。互いに頭を上に上げた事でキャノピー越しにマスクを付けた顔が見える。


Kudelia(クーデリア)《相変わらず巫山戯た飛行技術ですね》


banalTeam(バナール隊)《同感》


god's hound 2 《隊長たまに巫山戯た行動するよな》


god's houndTeam 《そうだな》


俺達はそのままの状態で互いに位置を変えるようにバレルロールしながら急降下を始める。


「ちょっエル?!」


james(ジェームズ)《今ばかりはセシリア様に同情するぜ……》


Kudelia(クーデリア)《そうですね……》


セシリアから悲鳴の様な声が聞こえてくる中、俺はお構い無しに高度を急激に下げていく、無論この時もゴッズハウンドリーダーと顔を見合いながらだ。


god's hound 2 《隊長危険ですよ!!!》


god's hound 3 《隊長!?》


Kudelia(クーデリア)《何してるんですかエル?!》


Sera(セラ)《コラッエル!?そんな急激に高度を下げたら墜落す……話を聞きなさい?!》


あわや墜落、という所で互いに機首を上げて復帰、ゴッズハウンドリーダーとは反対方向を向かい、海面擦れ擦れで飛行する。


そしてこれが俺とアイツの開戦の合図だ。


旋回し敵機を捕捉し機関砲をばら撒きながらすれ違う。

再び旋回、互いに相手の後ろを取ろうと交差が続く。


「チッ」


限界まで減速したがこのままでは此方が速力不足で墜落する。

背後を取られるけど仕方ない、俺はフルスロットルで試作機を飛ばす。


god's houndleader 《貰った!》


即座に機関砲が放たれるが慌てずに回避行動を取る。

キャノピーの向こう側を弾が流れていくのが見える。


「付いてきてますよ!」


「掴まれ!」


速度を落とさず機首を上げ機体を急激に上げて高度を取り水平飛行に移行、速度を落としつつ急旋回して敵機を振り切る。


god's houndleader 《逃げられたか》


振り切った後に即座に敵の背後を取る。


god's hound 2 《ハウンド6被弾!脱出しろ!》


Teresa(テレサ)《了解》《敵機撃墜!援護に移行します!》


「こっちは良い!クーデリア達を援護した後ディヴィニティの相手をしろ!」


Teresa(テレサ)《了解!》


何も倒さなくてもいい、ディヴィニティさえ倒せれば相手だって降伏するだろう。


god's hound 5 《被弾した!操縦不能っ!脱出する!》


god's hound 2 《ハウンド5がやられた、奴等以前よりも力を付けているぞっ!》


次々と落とされていくゴッズハウンド隊。

良いぞ、順調だ。


god's hound 2 《ハウンド4が撃墜……クソッ!》


Kudelia(クーデリア)《ソフィー、ヴィクトリア、テレサ!3人でディヴィニティの相手をしなさい!》


「クーデリア!ジェームズ!単機でやれるのか!」


Kudelia(クーデリア)《当たり前です!》


james(ジェームズ)《当たり前だ!》


「良し!ソフィー達!ディヴィニティを潰してこい!」


Sofie(ソフィー)《分かった!》


Victoria(ヴィクトリア)《やってくる!》


Teresa(テレサ)《さくっと倒してきますね!》


それから程無くしてゴッズハウンド隊は隊長機を残して全機撃墜しクーデリア達はソフィー達の応援に向かった。


頼みの綱のゴッズハウンドがほぼ壊滅した事からか敵の多くが降伏した。

今なお戦ってるのは神血派の魔術師くらいだろう。


「ゴッズハウンドの隊長機!聞こえているんだろ!これ以上の戦闘は無意味だ!何故戦うのを止めない!?」


god's houndleader 《分かっている、恨んでも仕方ない事だって。だがやらねば、この戦争で死んでいった彼等が、彼等が浮かばれないじゃないかっ。これは死んでいった者達への手向けだ!!!》


「クソッ……やるしか無いのかっ……!セシリア、ロック!」


「捕捉しました!」


「ミサイル発射!」


発射したミサイルはどうせ当たらない、即座に機関砲に切り替え捕捉し隙を待つ。

敵機体の周囲に煙と強い光が放たれミサイルは当たる前に爆発する。


「捕捉したぞっ!」


ミサイルから逃れる為に気が逸れた一瞬を逃さず機関砲を推進装置へと叩き込む。

命中した弾丸により敵機の推進装置は炎上、爆発した。


William(ウィリアム)《あぁ……エリナ……迎えに来てくれたんだな━━━》


「ゴッズハウンド隊の隊長機の撃墜を確認。これによりゴッズハウンド隊の全滅を確認しました」


クーデリア達によってディヴィニティ級も降伏している、これで戦争は終わりだ。












《━━ただではやられん!》


Sera(セラ)《魔力反応!ディヴィニティ級戦艦の主砲です!》


セラさんの声に俺は直ぐにディヴィニティ級へと視線を向ける、すると降伏したことで沈黙していたはずのディヴィニティ級が突如動き出し、主砲2基4門を西へと向けた。


《目標━━フィーニスの国中心部、グレイフォートレス及びゲネシス聖都》


Kudelia(クーデリア)《嘘でしょ……主砲の射程を大幅に超えていますよっ!?》


《我々をコケにした報いっ!貴様らの祖国の命を持って受けろ!》


《月女神のエンブレム!ディヴィニティを沈めてくれ!》


《敵だった君に頼むのは筋違いなのは分かっている……!だが祖国を!子供達を守る為なのだ!頼む!沈めてくれ!》


《神血教会に付いたのが間違いだったのだ……!ディヴィニティへの道を切り拓くぞ!》


《おお!!!》


降伏した多くの二式が未だに抵抗する神血派へと向かっていく。


《貴様ら……!何故邪魔をする!》


《これは救済なのだ!その為の必要な犠牲なのだ!》


Sera(セラ)《エル、魔力砲の充填を》


「セラさん……!?けどあの戦艦にはまだ降伏した人達も……!」


Sera(セラ)《その人達が望んでいるのです、彼等は祖国の為に戦った、そんな祖国を神血教会が壊そうとしているのです。あの主砲が放たれれば今までの比ではない被害が出ます、エル、撃ちなさい》


「クソッ……!」


震える手で魔力砲の引き金を押す、するとキャノピーの前面に緑色の文字で【魔力充填率━0%】と表示された。


《月女神の道を拓け━━》


《邪魔だ!裏切り者どもが!何故神血を信じぬのだ!》


散っていく、一人、また一人と散っていく。


けど止まってはいられない。

止まったらまた多くの人が散っていくから。


100%まで溜まった魔力砲をディヴィニティ級へと向け、放つ。


《ありがとう━━━》


ディヴィニティ級とそこから発せられた通信は赤く大きな魔力の塊に当たった後、大爆発に包まれた。


「ディヴィニティ級戦艦の完全沈黙を確認……。任務完了、帰投する……」


遣る瀬ない気持ちに包まれながら機首を返し俺はゲネシスへと帰還した。

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