第61話 大規模作戦 2
クーデリアSide
エルと別れた私達4人は港湾に停泊中の艦隊を殲滅する為に飛行中。
既に別ルートから地上部隊と魔法使いの部隊が進軍し付近に身を隠しています。
到着までもう少し。
Crank《全軍、作戦開始》
作戦開始の合図、タイミングもバッチリですね。
「それでは手筈通り敵艦の殲滅、可能であれば鹵獲を行いますよ」
Sofie《了解〜!》
Victoria《了解》
Teresa《了解です!》
停泊中の艦船に向けてミサイルを放ち通り過ぎた後旋回すれば命中したミサイルによって火災を起こす艦船が見えます。
艦船付近の地上には数体の人型が居ますね、襲撃に気付いて迎撃を始めました。
「このまま暴れ回りますよ!」
敵の注意を私達に集中させれば味方の地上部隊と魔法使いの部隊の被害が少なくなりますからね。
旋回しながら敵の攻撃を避けつつ敵の艦船を見る。
離脱しようと出航を強行した艦がちらほら、また何隻かは手間取っているのか未だに出航出来ていません。
「停泊中のものは上手くいけば鹵獲出来そうなので出航した艦船を沈めましょうか」
Victoria《了解》
Sofie《僕は人型の相手するよ〜敵艦船の数も少ないし、魔法使いの部隊の援護も兼ねてね》
Teresa《でしたら私はソフィーの援護に回りますね》
「分かりました、気を付けて下さいね」
Sofie《は~い!》
Teresa《分かりました!》
私達は二手に別れて敵の殲滅を行います。
殲滅は順調に進み海へ出た艦船は全て撃破、ソフィー達も防衛部隊の人型を破壊したことで魔法使い達や地上部隊は大した抵抗も損害もなく港湾を制圧しまた数隻停泊中の艦船を奪う事に成功しました。
無論、乗組員は捕虜という形で捕まえました。
Crank《ゴッズハウンド隊っ!既に空に上がっていたか!!》
作戦が成功して気が緩んだ所にその知らせが入ってきました。
「嘘でしょ!?」
通信を聞いた所まだ戦闘には至ってはいなさそうです、そのままエルが撤退してくれれば良いのですが……。
god's hound2 《地獄を見せてやる!》
Eru《バナール1、交戦》
「まったく……エルったら……」
通信機から聞こえたエルの普段通りの声音とその言葉に呆れます。
ですが、それこそがエルの良さですし……複雑な気分です。
エルは私達の作戦成功を信じ敵エースを相手に時間稼ぎをしてくれました。
「貴女達!これよりエルの援護に向かいますよ!」
Sofie《了解〜!》
Victoria《了解》
Teresa《了解です!》
ここは既に制圧済み、地上の部隊からも他の魔法使いの部隊からも大丈夫と言われた。
だから私達は皆でエルの援護に向かう。
私達全員で、【バナール隊】なのだから。
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ステラSide
Crank《全軍、作戦開始》
クランクさんの合図と共に私達は魔法使い達に連れられ空から聖都へと雪崩込んだ。
「敵魔術師隊の相手は魔法使い達に任せて私達は城門を開けるわよ!」
「「「了解」」」
まずは聖都を囲む城壁、その入り口である城門を確保して外で隠れて待機する味方を招き入れる!
いきなり聖都を襲撃されるとは思っていなかったのか、それともこの城門だけ守りが薄いのか分からないけれどお陰で難なく城門を確保し難く閉ざされた門を開けて外の仲間を引き入れる事が出来たわ。
「このまま敵地上部隊を叩いて聖都を奪還するわ!」
聖都近くにある敵の主要基地からの援軍は来ない。
エル達の奇襲が成功し、その効力が大きいのでしょうね。
またゲネシスの各地で襲撃が起こっているから相手としても聖都だけに援軍を送るわけにもいかないし。
とはいえ相手もタダではやられない、少なからず魔法使い達にも被害や消耗が出ている。
幸いな事に死者が居ない事だけが救いであって厳しい状況である事に変わりはないわね。
「にしても何故こんなに士気が高いのかしら?」
此方も被害は出ているとは言え明らかに相手の方が多大な被害が出ているのは目に見えて明らかだし、通信からも次々と勝利や作戦成功の報告が上がっている事から自分達が不利なのは分かってる筈なのだけれど。
「いつも戦場に出ず安全地帯でふんぞり返ってたわりに根性あるじゃん」
「本当に不思議なくらい士気が高いですよね」
サリーネとユースティアが不思議に思って言葉を紡いだその時、奴等の士気が高い理由が通信機から流れた。
Crank《ゴッズハウンド隊っ!既に空に上がっていたか!!》
「なっ!?それじゃエルがっ!?」
クランクさんの言葉にサリーネが悲鳴じみた声を挙げる。
サリーネだけじゃない、ユースティアは顔を青褪めさせているしアルドルも焦りを隠せていない。
聖都奪還に参加している者全員がそんな表情をしているわ。
そしてそれは私も同じだ。
相手はゴッズハウンドが援軍に来る事を知っていた、だからこそこれ程までにやられても士気が高いのね……ゴッズハウンドが助けに来てくれると。
不味いわね……恐らくエルは予定通り撤退するでしょうし……このままじゃゴッズハウンドによって私達が不利になるわ……。
god's hound2 《地獄を見せてやる!》
Eru《バナール1、交戦》
「エル……」
けれど通信機から流れてきたのは撤退では無く交戦の言葉。
そして流れる彼の声を聞き、不思議と私の焦りや恐怖は押さえられた。
恐らくだけれどエルの普段通りの声が落ち着かせるのでしょう。
今のエルの声音から焦りや恐怖は一切感じなかった。
「貴方達!エルが時間を稼いでいる間に聖都を奪還するわよ!」
「「「「「「「「了解!!!!」」」」」」」」
きっとこれこそがエルが撤退せずに交戦した理由だもの。
それに聖都を奪還すれば流石に敵も撤退するでしょう。
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フィーユSide
私達は作戦開始の合図とともに北東部の制圧戦を開始した。
北東部各地で始まる戦闘、そして私達リュミエール隊はフィーニスとの国境付近の襲撃を行う。
場所は山岳、その山道を進む部隊を見つけた。
「居たよ!輸送隊だ!」
|ゲネシスからフィーニス《・・・・・・・・・・・》へと物資を運ぶ敵の荷馬車部隊。
私達はその部隊へと急降下し荷馬車を襲撃、護衛部隊を一網打尽にし物資を確保する。
「食糧や鉱石、弾薬と色々とあるわね」
「前線への補給品っぽく見えるけど行き先がフィーニスだし……どういう事だろうね?」
リュミエール隊員とエミリーの会話を聞きつつ私は周囲に展開している敵の国境の防衛部隊を火魔法の弓で蹴散らしていく。
「考えるのは後!今は物資の確保と並行して敵の防衛部隊を蹴散らすよ!」
「「「「「「「了解!」」」」」」」
山岳という事もあり相手の移動速度は遅く、空を飛んで移動する私達相手では直ぐに追いつかれる。
その為相手もそれなりに護衛部隊を付けているんだけどどういう訳か相手は同じ魔法使いの少女達でいとも容易く制圧できる。
「は~い、ごめんなさいね〜」
「きゃぁぁぁぁぁ?!」
現在進行形で新たに見つけた荷馬車の護衛部隊である少女達がリュミエール隊員によって捕獲されていってる。
縛り上げ拘束した魔法使いはそのまま荷馬車の荷台に放り込んで他の魔法使いの部隊が荷馬車と共に回収しに来るまで放置だね。
「にしても暑いね」
私は暑さから襟元をばたつかせ服の中に空気を送り込む。
今の季節は夏、暑くてたまらないや。
「護衛部隊の制圧終わったわよ〜」
「了解、よ〜し次行こうか!」
そうして私達は次へ行こうと思い飛び上がろうとした時、通信機から流れてきた言葉に動きを止めた。
Crank《ゴッズハウンド隊っ!既に空に上がっていたか!!》
フィーユ「嘘っエルっ!?」
「エル君っ!」
リュミエール隊の面々から発せられる焦りの声。
またエルに助けられた子達が顔を青褪めさせていたりもしていた。
「フィーユどうしようっ!?」
「フィーユちゃんどうするの!?」
エミリーやリュミエール隊員から投げ掛けられる言葉。
それはこのまま作戦を続行するのか、それとも撤退するのか、はたまたエルの援護に向かうのか。
当初の予定では相手の脅威であるゴッズハウンド隊はエル達の奇襲で空に上がることは出来ない筈だったけど、どういう訳か既に空に上がって居たとの事。
エルの援護に向かった所であの二式の相手は出来ないしなんなら足手まといになる。
物資の確保も国境付近の防衛部隊の殲滅もそれなりに出来ている、撤退しても問題はない。
「皆!撤退する━━━」
god's hound2 《地獄を見せてやる!》
Eru《バナール1、交戦》
通信機から流れてきたエルの選択。
「ふふっ」
余りにも普段通りなその声に私はつい笑ってしまった。
周りを見ればエミリーやリュミエール隊の皆も苦笑いしていた。
「まったく、帰ったら皆で説教だね!」
「ぐちゃぐちゃに撫で回しましょ」
「私は一緒にお風呂に入ろっかな」
「「「「「「それ良いわね!」」」」」」
エミリーの提案にリュミエール隊の皆から賛成の声が上がった。
ふふっ、帰ってからのお楽しみが出来ちゃった♡
「皆!エルが時間稼ぎしてる間に出来る限り防衛部隊を片付けるよ!」
「「「「「「「「了解!!!!」」」」」」」」
エルの覚悟に、少しでも応えるために。
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エルSide
主要基地上空で敵の狂犬2機と戦闘に入った俺達は敵に追われる形で飛行していた。
「しっかり付いて来いよジェームズ!」
james《分かってるさ!》
性能は敵の方が上、無理に背後を取ろうとすると却って危険なので取り敢えず逃げて隙を伺っていた。
後ろから飛んでくる機関砲をバレルロールで回避しながら高度を上げていく。
「タイミングを見てコブラ機動で相手の後ろを取る。タイミングは俺が伝える!」
james《了解!》
ギリギリまで敵を引き付ける。
「ふぅっ!良し3秒後だ!3……2……1……今だ!」
james《ふっ!》
急減速しながら操縦桿を引き機首を上げ、敵機が通り過ぎたのを見て機首を下げてその後ろにつく。
「今度は俺達の番だ!」
照準を定め、引き金を引くも躱された。
「落ち着けっ!やれる!」
自分を鼓舞しながら再び照準を合わせる、相手は射線から逃れようと左右に揺れる。
慌てずしっかりと照準を定めて再び射撃。
弾丸は数発敵機を捉えたが数発程度では撃墜には至らない。
god's hound2 《被弾したっ!後ろに付かれたままではどうしようもないっ、一度散開する!》
god's hound3 《了解した!》
敵2機がそれぞれ左右に別れた。
右に旋回したのが3番機、左が2番機、なら追う方は決まっている。
「ジェームズは右を!俺は左に行った2番機をやる!」
james《了解!》
俺とジェームズはそれぞれ敵を追って散開する。
旋回しながら急降下した2番機を追って俺も急降下する。
敵機を捕捉し引き金を引くと同時に機首を上げて急降下を止めて水平飛行に移行、その後射線から逃れる為に敵は左右に大きく揺れながら飛び続けた。
god's hound2 《っっっ!》
「もう少し……」
照準から逃れる敵を追い続ける、照準から捕捉されたり逃れたりを繰り返すが捕捉している時間が徐々に増えていく。
「敵機を完全に捕捉!今です!」
「ッッッ!!!!!!」
セシリアの合図と共に引き金を引く、弾丸は敵機の推進装置に被弾。
敵機は推進装置が被弾したことで破損し炎上し始めた。
god's hound2 《やはりバナール隊隊長は別格か……脱出する!》
god's hound3 《ハウンド2がやられたっ!離脱する!》
推進装置が炎上する戦闘機から脱出したパイロットは主要基地から魔術師に拾われてフィーニスの方へと撤退していった。
james《敵機が撤退したがどうする?》
「追わなくて良いよ」
深追いして敵にやられたりしたら不味いからね。
その後港湾を制圧したクーデリア達と合流を果たしステラ達とフィーユ達の作戦成功の知らせを聞き俺達は南西部基地へと帰還した。
こうして聖都奪還をメインに捉えた大規模作戦は無事に成功し、終わりを告げた。




