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Combat・ with・The・unknown  作者: 唯ノ蒼月
第7章タイトル 東部戦線

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第60話 大規模作戦 1

ウィリアムSide


エルフの国に逃れていたゲネシスの主力部隊によって国境付近の防衛線は突破、更には南西部の基地まで奪還された。


魔術師隊や人型と多くの損失を受けた中、私達は迎撃を命令されるどころかフィーニス本土の基地まで移動を言い渡された。


ゲネシスの主力に対抗する為、一度フィーニス本国へと戻り戦力を集中させる為だろうか。


移動先はグレイフォートレス基地。

城壁に囲まれた要塞都市であり、フィーニス帝国の帝都であり、要の地であるグレイフォートレスに作られた基地。


その基地に集められた地上部隊も魔術師隊も祖国の誇るエース部隊だ。

中には顔見知りもちらほら居る。


「隊長、有名な方達ばかりですね」


「そうだな」


隣に居るアランは周囲を見回しながら言った。

物珍しいのも分かる、普段はこの様な所に来る様な者たちでは無いからな。

だが実力は確かであり心強い事に変わりない。

しかし逆に言ってしまえばそれ程までにこの国が追い詰められているとも言えるか。


さて、グレイフォートレスに移動した我々に与えられた任務は最後の新型艦の出撃準備が整うまでの護衛、そして準備が整い次第新型艦と共に全軍で反撃を行うとの事。

新型艦は現在フィーニス本国の東の港湾に停泊中であるとのことだ。



作戦内容を聞いた私は周りを見渡す。

エルフの国への上陸作戦、ゲネシスの南西部防衛戦と連続で大敗を喫したというのに地上部隊も魔術師隊もその他の部隊も、そして我々ゴッズハウンド隊も士気は下がるどころか上がっていた。


恐らく誰もが知る祖国のエース部隊が一堂に会した事からまだ戦えるという自信に繋がり、またエース達との共同戦線を張る事で士気が上がったのだろう


今は大丈夫、だがこの士気がいつまで保てるか。


そんな中、ゲネシスが母国を取り戻す為に大規模作戦を行う情報が入った。


此方の反撃準備の件がゲネシスに気付かれないようにする為のカモフラージュとして幾つかの部隊が集まり抵抗する、また我々ゴッズハウンドからも2番機と3番機がグレイフォートレスから飛び立ち進軍を開始したゲネシスの迎撃に向かった。

ゲネシスが我々の作戦に気付かなければ良し、迎撃が成功してゲネシスの戦力を削げれば尚良し。


「「では隊長、行ってきます」」


「ああ、アラン、デイビッド、連中に地獄を見せてやれ」


「「|Sir,yes sir《サー,イエッサー》!」」


敬礼した私に2人は敬礼を返した後、2式に乗り込み空へと上がった。


2番機であるアランの隣を飛ぶ僚機はデイビッド・ブラウンと言う名の男が務める。


アランとデイビッドが向かう先は我々が居たゲネシス中央基地だ。







エルSide


ゲネシス南西部基地の会議室で行われる作戦会議。

いつものように前方にクランクさんが立って概要を説明してくれる。


「ゲネシス南西部の奪還は成功、これによりゲネシス全土にて神血教会に抵抗している友軍への全面的な支援が可能となった。これより我々はゲネシスの友軍と合流しつつ聖都へと進軍し神血教会を徹底的に叩き潰す」


前方の壁に映し出されるゲネシスの地図、そして青い矢印が南西部から聖都や沿岸部、フィーニスとの国境付近へと伸びる。


「今作戦は聖都付近にある敵の主要基地への奇襲攻撃を合図に聖都の奪還、港湾都市に停泊中の艦船を破壊等、複数の作戦を同時進行する。また今作戦の主目標は聖都の奪還である。」


聖都を奪還するにあたって脅威となるのは敵の主要基地、更に俺達が聖都へ入った時に敵の海軍戦力が出航してエルフの国へと向かわれる事。

エルフの国へと向かって上陸されると面倒くさいからね。

その為にクランクさんが言ったように複数の作戦を同時に行い神血教会の戦力を削ぐ。


「主要基地への奇襲攻撃はバナール1に任せたい」


「了解」


「良し……。また神血教会も我々が大規模な反抗をする事は分かっているだろう事から厳しい戦いになるだろう。この作戦が最後にならないよう、全員気を引き締めて作戦を遂行せよ。」


会議を終え格納庫へ。


「クーデリア達には港湾都市に停泊中の艦船を襲撃してもらいたい」


「まさか一人で向かうつもりですか?」


「いやジェームズと2人……いやセシリアとキューちゃんも含めて3人と一匹で向かうよ」


俺とジェームズで狂犬を足止めしその間にクーデリア達やフィーユ達に各地で暴れてもらう。


ジェームズには悪いが危険な任務に付き合ってもらおう。


「そうですか……分かりました」


何故か渋々とクーデリアは了承した。


「クーデリアはエルと一緒が良かったみたいですね、彼女は2番機を任されている訳ですし」


「だからこそ、クーデリアに艦船への攻撃を任せるんだよ、クーデリアならソフィー達を引き連れられるでしょ?」


「まるで俺が指揮出来ないみたいな言いかただな?」


「お前は指揮しながら闘うより単独で闘う方が良いだろ?」


「おう、そうだな」


ジェームズは指揮が出来ない訳ではない、けど指揮よりも戦闘だけに集中させた方が良いんだ。


クーデリアはその点指揮しながら闘えるから安心して任せられる。


適材適所と言うやつだ。


その話を聞いたクーデリアは嬉しそうに微笑み、ソフィー達と話しながら自分の一式の方へと歩いていった。


話は終わった、俺とセシリアも試作2型のコックピットに乗り込む。

キューちゃんもいつも通り首元から顔を出してる。

エンジンを付け、各種システムのチェック。

最近忙しいのかセラさんがシステムをチェックしてくれることは無いし、なんなら話せてすらいない。


Crank《本部からバナール1へ、聞こえるか》


「感度良好、聞こえるよ」


「私も聞こえます」


Crank《良し、恐らくバナール1の向かう主要基地が一番厳しい戦いとなるだろう、危険と判断したら即座に撤退するんだ、良いな》


「それだと聖都の奪還が」


Crank《そんなものよりお前の命の方が大事だ、それにセシリアだって居━━━━》


「大丈夫ですよ、エルなら落ちません。仮にやられたとしても私はエルと共に逝けるなら本望ですよ」


Crank《━━いや、頼むから生きて帰ってこい、でなければ俺がコレットに一生口を利いてもらえなくなる》


「あはは、それは是が非でも帰らないとね」


クランクさんの妹のコレットちゃんは治療を施した事から懐かれた、今では良くセシリアと共に会いに行っては一緒にお茶を嗜む仲だ。


「そう言えばヴィンセント魔法大国って今どういう状況なの?」


自分の国のゲネシスの事ばかり気にしていたが友好国であるヴィンセントも同じく襲撃されていると聞いたけど。


Crank《ヴィンセントなら問題ない。主戦場はここゲネシス、それによって敵エース部隊も此処に集中しているお陰でヴィンセント魔法大国はイコルに対して優位に立てているらしい》


「それは良かった」


フィーユ達の祖国が無事と聞けて安心。

ではそろそろ行こうか。

試作2型を滑走路へと進める、斜め後ろをジェームズがしっかりと付いてくる。


Crank《バナール1、バナール3離陸スタンバイ……離陸を許可する》


離陸許可と共に全速力で空へと飛び立つ。

一度空でクーデリア達と合流し途中までは一緒に行く。


「皆、無事に帰ってきてよ」


Kudelia(クーデリア)《それは此方のセリフです、2人共必ず生きて帰ってきて下さい》


「善処するよ」


Kudelia(クーデリア)《まったく……ではまた後ほど》


此処で俺とジェームズ、クーデリアとソフィー達で別れて進む。


主要基地への攻撃には鹵獲した敵の人型を用いた砲撃部隊も参加する。

だがパイロットが不慣れである為、基本的に俺とジェームズだけでの対応となるだろう。

シミュレーションや実施訓練を行っていても実戦はこれが初めてだから仕方ない。


また奇襲攻撃だから敵のレーダーから逃れる為に低空を飛行する。


「レーダーに反応あり、人型による防衛部隊ですね」


主要基地を防衛する人型が此方の索敵に引っ掛かった様だ。


james(ジェームズ)《手筈通り敵の地上防衛部隊は無視して格納庫や滑走路の破壊を優先で良いんだよな?》


「ああ、地上の人型は砲撃部隊に頑張って貰う、俺達は滑走路と格納庫を破壊して迎撃を防ぐ」


俺は通信機をクランクさん(本部)へと繋ぐ。


「こちらバナール1、作戦開始5秒前……」


操縦桿を引いて急上昇、凄まじいGが全身に掛かる。


「ふぅっ!はぁっ!……4…3」


十分な高度を取ったら今度は滑走路と格納庫を攻撃する為に急降下を始める。

セシリアの操作で滑走路と格納庫に印を付け、俺とジェームズはその印に向け爆弾を投下する手筈だ。

ちなみに俺が格納庫、ジェームズが滑走路だ。


「2…1…爆弾投下っ!」


Crank《全軍、作戦開始》


俺とジェームズの投下した爆弾が爆発する音と共に作戦開始がクランクさんから全軍に告げられた。


「格納庫、滑走路双方の命中を確認しました!」


「良しっ!ジェームズはもう一方の格納庫を破壊しろ!その間俺は人型をやる!」


james(ジェームズ)《了解!》


襲撃に気付いた人型がマシンガンやら内蔵された機関砲やらで迎撃行動に移る中俺は頭部目掛けて機関砲を放ちカメラを破壊していく。

だがそれだけで人型の動きが止まるわけでは無いし、見えないと言っても上空には敵機しか居ないから奴等は気にせず攻撃を続ける。


「相手の関節狙ってみるかな」


関節部はどうしても装甲が付けられなかったり薄かったりするから試しに狙ってみる価値はありそうだ、対空砲火を掻い潜り狙いを付けて機関砲を撃つ。

狙い通りに弾丸は敵の関節を穿ち関節部を破壊、破損した関節部が火花を散らし爆発した。


「試しだったけどやってみるものだね!」


james(ジェームズ)《格納庫の破壊成功したぞ!》


「おう、ジェームズ!人型の関節狙えば破壊できるぞ!」


james(ジェームズ)《また難しいことやってるな!俺もやってみよう!!》


ジェームズが此方に来て人型を相手する間に俺は残りの爆弾を再び滑走路へと落とす。

爆弾により穴だらけになった滑走路、これなら直すのに時間が掛かるだろう。


「滑走路も格納庫も潰した!これで━━」


「レーダーに新たに反応!高速で接近するのが2機です!」


これで目的は完了した、他の援護に回ろう。

そう言おうと思った時セシリアが言葉を重ねてきた。


何かを言われた訳ではない、本当にただ何となくフィーニスの国境の方を見た。


その向こうに2つの黒い点が見えた。


「居たぞ、方位22度」


俺とジェームズは互いにその2つと向かって飛ぶ。


そして俺達と相手は互いに擦れ擦れですれ違う。


「狂犬のエンブレム」


|god's hound2《ゴッズハウンドツー》《確認した、これより掃討を始める》


Crank《ゴッズハウンド隊っ!既に空に上がっていたか!!》


クランクさんの言葉の後、通信機からざわめきが聞こえてきた。


俺はそれには気を止めず、旋回。

視線の先では狂犬2機も旋回していた。


|god's hound2《ゴッズハウンドツー》《地獄を見せてやる!》


「バナール1、交戦」


james(ジェームズ)《バナール3、交戦》


俺とジェームズは神の猟犬2機を相手に戦う事を決めた。

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