第59話 南西部基地防衛戦
俺達の始まりの地でもある、ゲネシス南西部の基地。
基地を奪還した俺達は直ぐに格納庫へと機体を収納、その後直ぐに自分達が寝泊まりしていた施設へと入り自分の部屋へと向かった。
「おぉ……何もない」
「誰も使ってなかったみたいですね」
部屋の中は何も無く、俺が出て行った時のまま。
ちなみに向かい側のセシリアの使っていた部屋はと言うと物置にされてた。
「取り敢えずセシリアの部屋片付けて寝れるようにしよっか」
「エルはあの物置部屋で寝るんですか?」
「ん?いや俺は此処で寝るけど……もしかして一緒に寝るつもりだった?」
「そうですけど……嫌でしたか……?」
凄い不安そうな声音で聞いてきた、俺は急いで首を振る。
「嫌じゃないから安心して、けどセシリアは元居た部屋じゃなくても良いの?」
元々セシリアが使ってた部屋だから寝るならこの部屋が良いかなと思ってそう聞いて見ると。
「何処の誰が使ったかも分からない部屋で寝る気にはなりません。まぁエルと一緒なら何処でも良いと言えば良いですが」
と真顔で答えた。
その後取り敢えず俺の部屋の掃除をし、掃除が終わったら魔法使いの人達が持ってきてくれた寝具やら家具やらを置いていく。
部屋に設置されていくソファ、机、本棚、そして1つのベッド。
ちらっとセシリアの顔を見てみれば微笑みながらそのベッドを設置している。
この後もう一つベッドが来るのかな〜と思ってたけど部屋の大きさ的にも無理だし、実際にこれ以上家具が運び込まれて来なかった事からベッドはこの1つだけ。
また先程セシリアが一緒に寝ると言ったことから恐らく、多分、いや絶対このベッドで2人で寝る気だ。
いやまぁ今までも一緒に寝てたし今更何を言ってるんだとは思うんだけど、こうして冷静に見て考えると気恥ずかしさを覚えるよね。
だってセシリア綺麗で可愛いし。
そんな風に考えながらセシリア一人に任せっきりなのもいけないのでベッドの設置を手伝う。
「これで寝床の確保が出来ましたね♪」
「そうだね」
一緒に過ごせるのか、はたまた一緒に寝れることが嬉しいのか声が弾んでいるセシリアに頷く。
取り敢えず一休み、設置したベッドに腰を掛ければ隣にセシリアが腰掛け、俺の膝上でキューちゃんが丸まった。
そしてセシリアはそのまま俺の方にしなだれかかってきた。
しなだれかかるのは別に良い、ただ今着ているセシリアの服がよろしく無い。
今俺達はパイロットスーツから普段着に着替えていて、セシリアは太ももが惜しみなく晒されたミニスカートにネックラインが深く大きくカットされて胸元が露出された服を着ている。
お陰でセシリアの胸の谷間が見える。
しかも肩に掛かる金色の髪からはいい匂いがするし。
こんな風に甘えてくるのは二人っきりだからなんだろうなって思ってたけど。
「お邪魔するわよ〜」
「ええ、どうぞ」
部屋にステラとサリーネが入って来ても変わらずくっついたままだった。
「エル、体調は大丈夫かしら?」
「大丈夫だよ」
「ホントにぃ〜?」
本当に大丈夫なんだけどどうやらサリーネは疑っているらしく屈んで俺の顔を覗き込んできた。
「グルァ」
「え、これ駄目なの?!」
サリーネが身体をぐっと寄せてきた所、俺の膝上で丸まっていたキューちゃんが首を上げ威嚇。
サリーネはその事に驚き身体を戻した。
「とうとうエルに触れるのすら駄目になったのかしら?」
「それでは私がエルに触れられている理由が分からなくなりますが……」
「単純に前から身を寄せた事でキューちゃんに触れそうになったからだと思うよ」
俺がそう言うとサリーネは試しにとそっと俺の頬に両手を伸ばした。
サリーネの両手は阻まれる事なく俺の頬に触れる、キューちゃんは丸まったままである。
「なるほど……相変わらずエル以外に触れさせてはくれないのね」
ホッとするステラ、しかしキューちゃんに触れられない事はやはり悲しいようである。
その時、突如警報音が鳴り響いた。
「!格納庫へ!」
俺とセシリアはベッドから立ち上がり、キューちゃんは膝上から頭の上へと飛び乗る。
俺達は部屋を出て急いで格納庫へと向かう。
セシリアが格納庫内の更衣室で着替えてる間に俺は状況を把握しようとクーデリア達の姿を探す。
「エルっ!不味いですよっ!」
そんな俺に指揮官であるカトリーナが声を掛けてきた。
「落ち着いてカトリーナ、何があったの?」
「すぅ……はぁ……現在敵がこの基地を狙って接近中です、恐らくですが滑走路などを狙った魔術師隊です。既にリュミエール隊が迎撃の為空へと上がりました。敵の到着まで十数分程かと」
「了解、俺達も直ぐ上がる。カトリーナはステラ達と一緒に居て」
「分かりました」
カトリーナと別れた俺は即座に更衣室へと入る。
「きゃぁぁぁぁ?!あ、エルでしたか」
中に入ったらまだセシリアが着替えている途中でその下着が目に入ってきたが状況が状況だ、俺は直ぐにセシリアの横のロッカーへと向かいフライトスーツに着替える。
この基地は当初は俺だけがテストパイロットだったから更衣室も1つだったの忘れてた。
クーデリア達一式の方は増設だから更衣室も2つあるんだけどね。
ただ以前セシリアに更衣室を増設しようとは伝えたんだけど予算が無いから却下されたんだよね。
「敵がこの基地を狙って接近中、恐らくだけど滑走路などを狙った魔術師隊じゃないかって話だよ」
「フィーユ達は?」
「既に迎撃に上がってる、俺達も直ぐに空へと上がるよ。敵の到着まで大凡十数分」
「分かりました」
互いにフライトスーツに着替えながら情報を伝える。
こういう時に予め持っている情報を伝えておけば色々と考えれるからね。
「それはそうとやっぱり更衣室を増設「却下」……」
「何ですか、私と一緒に着替えるのが嫌なんですか?」
「嫌じゃ無いよ!?嫌じゃないけど普通別々だよね?!セシリアだって恥ずかしいでしょ!?」
「恥ずかしいですよ!?ですけどエルに見せたいし一緒に居たいんですけど!?」
互いにロッカーの扉越しに顔だけ出して言い合う、セシリアは特徴的な長い耳まで真っ赤にしていることからかなり恥ずかしかった様です。
「キュー」
「あ、はい」
「な、なんて言ってたんですか?」
「イチャイチャしてないで早く着替えて乗れや」
「あの短い一言にそんな長い言葉の意味があるんですか?!しかもなんか言葉使い悪いですし!?」
そんな風に話し合いながら着替え終わり2人で更衣室から出て試作2型へと駆ける。
走ってる途中でキューちゃんを胸元に収納。
用意されたタラップに乗って試作2型のコックピットに乗る。直ぐにセシリアが後部に乗った。
「キャノピー閉めて!」
「はい!」
整備員さんがタラップを外してくれたのを確認しセシリアに指示を出す。
閉まるキャノピー、俺は試作2型を滑走路へと進ませる。
一式が2機、滑走路で待機中だ。
Crank《バナール5、バナール6、離陸を許可する》
クランクさんの許可が降りた途端ヴィクトリアとテレサは共に空へと上がった。
「バナール1より本部へ、滑走路への侵入の許可を求める」
Crank《許可する、バナール1、滑走路へと進め》
許可を貰ったので滑走路へと侵入、待機する。
Crank《バナール1離陸スタンバイ……離陸を許可する》
「行くよ」
「了解」
試作2型を発進させる、身体がシートに押し付けられ、機体はガタガタと揺れながら走る。
グッと両手で操縦桿を手前に引き空へと上がっていく。
そのまま先を飛ぶクーデリア達の前に着き編隊を組む。
「バナール隊、聞こえる?」
Kudelia《バナール2感度良好、聞こえます》
james《バナール3感度良好、聞こえるぞ》
Sofie《バナール4聞こえるよ〜!》
Victoria《バナール5、聞こえる》
Teresa《バナール6感度良好、聞こえます!》
「良し、これから敵の迎撃に向かう、無理はするな」
banalTeam《了解》
高速で空を飛びフィーユ達の部隊と合流、速度を落として数分後接敵した。
「人型か、魔術師隊よりはやりやすいな」
現れた敵は魔術師隊では無く人型の部隊。
そのどれもが基地を襲撃する為かロケット砲を装備していた。
またどの人型も予備のロケット砲を背部に装備している。
Crank《バナール隊、リュミエール隊交戦を許可する》
「了解、皆、誘導ミサイルは2発は残しておいてよ!バナール1交戦!」
Sofie《分かってるよ〜!バナール4交戦〜!》
「ターゲットロック!ミサイル発射!」
敵の人型を捉えミサイルを撃って上昇し他に狙いを付ける。
誘導ミサイルから機関砲に切り替え人型の頭部カメラを狙う。
不慮の事態を考慮して誘導ミサイルは温存しておく。
クーデリア達もミサイルで敵を撃破しているがまだ数は多い。
Emily《あの装甲硬いっ!》
「エミリー!ロケット砲の弾倉を狙ってみて!」
Emily《了解!》
苦戦しているエミリーにそう伝える、エミリーは即座に手のひらサイズの火球を数発ロケット砲の弾倉にぶつける。
すると弾倉内の弾に誘爆し爆発を起こし、人型の右腕を破壊、更に背部のロケット砲も誘爆し人型を機能停止させた。
fille《なるほど、皆!敵の携行火器を狙って〜!》
|LumièreTeam《リュミエール隊》《了〜解〜!》
フィーユの指示でリュミエール隊のお姉さん達がロケット砲に集中して攻撃したことで次々と爆発が起こる。
それにより多くの人型を戦闘不能まで追い込めた。
《クソッ何故こうも一方的にっ!》
《空の援護も無く武装が基地攻撃の為のロケット砲では抵抗できる筈無いだろうっ!》
《肩部の機関砲で撃ち落として━━━》
《また1機落とされたぞ!遠距離からの砲撃だ!!》
Restina《兄さん、援護しますね》
Altina《砲撃なら任せろ〜!》
「ありがとう!」
頼もしい妹達がイニーツィオで遠距離から砲撃して倒したことで敵は更に混乱した。
「敵の人型の動きが鈍くなった、動揺してるみたいだね」
「魔術師隊等の援護も無いですからね、士気が下がってる可能性が高いですね」
fille《このまま畳み掛けよう!》
「了解」
フィーユやエミリー、リュミエール隊のお姉さん達の奮闘もあり基地へと襲撃を仕掛けた人型の部隊は南西部基地に到達すること無く壊滅した。




