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Combat・ with・The・unknown  作者: 唯ノ蒼月
第6章 エルの悪夢

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第53話 悪夢の世界

セシリアSide


セレーネ様の奇跡によってエルの夢の中へと入り込んだ私、ステラ、エミリー、セラさん。

今居る場所は屋敷内……では無く外の森の中。


容赦なく降る雨のせいで衣服は濡れてしまいますが夢の中だからか身体が冷えて震えるような事は無いですね。


「外に数体アンコニュが居るね」


雨に濡れつつ木影から屋敷の様子を伺う中、エミリーが呟きました。


エルの夢に現れた異形、アンコニュ。

エルの夢に根付く程に彼に恐怖心を植え付けたようですね……。


〈聞こえるかしら?〉


「セレーネ様?!」


〈問題なく聞こえるようね〉


突如脳内に聞こえてきたセレーネ様の声、ステラ達の方に顔を向ければ彼女達もそれぞれ顔を見合わせている事から全員に聞こえているようですね。


〈奇跡を用いて貴女達に連絡をしてるの、外部から連絡取れた方が何かと良いもの〉


それはそうですね。

俯瞰視点からも様子が見れるセレーネ様と連絡が取り合えるなら心強いですからね。


〈余裕はそこまで無いわ、急ぎ屋敷内へと侵入しなさい〉


「分かりました」


返事をしたステラが剣を抜く、私とエミリーも剣を抜き皆で顔を見合わせ頷く。


私達4人は屋敷へと向け駆け出し窓を割って屋敷内へと侵入を果たす。


ガラスの割れた音に誘われ廊下の前後から手足の長いアンコニュが姿を現した。


「エルの辿った道はこっちね、行くわよ!」


ステラを先頭にアンコニュを狩りながら廊下を駆け抜ける。


〈これは……待ちなさい〉


「どうされましたセレーネ様」


私達は一度足を止める。

セラさんがセレーネ様に尋ねるが直ぐに返事は返ってきませんでした。


〈……屋敷内が変化しているわ〉


「そうでしょうか……?見た感じは変わりませんが」


ステラが言うように廊下に変化は見受けられませんが……。


〈セシリア、直ぐに右の壁を見てみなさい〉


「へ?」


言われた通り右の壁を見る。

そこには確かに飾られてなかった私セシリアの名が刻まれた肖像画がありました。

しかしその顔は識別出来ないほどズタズタに裂かれていますが。


「凄い恨まれてるねセシリア」


「え……まさか私、エルに嫌われ……?」


だって此処はエルの夢の中。

詰まりこれはエルの心が反映されている可能性が高いです。

即ち私はエルに嫌われて━━━


「ちょっと待ちなさい、その横にあるの私とエミリーの肖像画っ?!」


ステラの言葉に隣を見れば確かに2人の肖像画がありましたがやはりその顔はズタズタに切り裂かれていました。


「ま、まさか私達も……?」


〈安心しなさい、これはエルの仕業ではないわよ〉


酷く動揺したセラさん以外の私達3人にセレーネ様が優しく声を掛けて下さいました。


〈何らかの方法でエルに接触し、エルの奥底に眠る恐怖心をこの悪夢の苗床にし制御しているようね〉


つまりこのボロボロにされた肖像画はエルではなくこの夢を制御している者によるもの。

そして恐らくそれはあの赤毛の獣……。


〈この屋敷にアンコニュという分かりやすい敵を放ち、その屋敷で唯一の安全地帯を設ける。そうする事でエルは必然的に其処に向かう、安らぎを得る為に。例えそれが偽りだとしても今のエルにとっては縋りたいものだから。そうする事でエルを手に入れようとしてるのでしょう〉


「随分回りくどい事しますね」


普通ならそのまま手に入れそうですけれど。


〈より確実にエルを手に入れる為に備えていた、と言った所かしら〉


より確実に……確かにそう言う事なら分からなくも無いですね。

話をそこそこに私達は再び進みます。


「こんな部屋無かったよね?」


廊下の突き当たりの角を曲がった先にある扉の前でエミリーが呟きました。

確かに此処にこんな扉はありませんでしたけど、やはり変化しているのですね。


扉を開けて中へ入る、扉の向こうは先程と違い変わり果てていました。


廊下も壁もボロボロになり天井は崩れ空が丸見えとなり雨が入り込んできています。


「こうなると道筋も変わりそうね」


「間違いなく変わるでしょう」


ステラの言葉に頷くセラさん。

実際に目の前は天井が崩落した事で瓦礫で塞がれて進めないですからね。


瓦礫の山を登り2階へと登る。


ちなみに浮遊魔法は夢の主が邪魔をしているらしく使えないみたいです。

攻撃系の魔法は使えるみたいなんですけどね。


3階に登るのは無理そうなのでこのまま廊下を通って3階への道を探しましょう。


2階の廊下を駆ける。


「キャァァァァァァ!!!!!!」


「っ!こんな感じで叫ぶのね……」


突如窓の外から聞こえた叫び声に全員が身体をビクリと震わせそちらを見れば窓の外に浮く(・・)生首が未だに叫んでいた。


「エルから事前に聞いて無ければ腰が抜けてたかも知れませんね……」


生首だけでも怖い物なのにそれが叫ぶんですもの。


「そうだね……あー叫び声に引き寄せられてアンコニュが来たよ」


エミリーが言ったように前後を挟む形でアンコニュが現れました。


「ステラを先頭に強行突破しましょう、後ろは私がやります」


「ええ、では行きましょうか」


ステラに付いて行き、目の前のアンコニュを蹴散らしながら進む。

掛ける度に窓の外で生首が叫んでいますが無視して駆けます。

どうせ侵入したことは相手に知られていますし相手するだけ時間の無駄でしょうから。


前方のアンコニュの群れを突破し、廊下の角を曲がって少し進んだ時。



バン!!!!!!!!!



「「「「きゃぁぁぁぁ?!」」」」


突如部屋の扉を勢い良く開けて出てくるぬいぐるみ達に驚き、声が出てしまいました。


「ぬいぐるみは部屋から出ないんじゃ無かったっけ?!」


襲い来るぬいぐるみ達をその拳で殴り飛ばしながらエミリーが叫びます。


〈恐らくぬいぐるみの役割はエルを特定の部屋に誘導する為の物、私達は邪魔者だから排除する為にわざわざ部屋から出てきたみたいね〉


セレーネ様の言う通り私達は敵からしたらエルを取り戻そうとする邪魔者ですからね。


「殴っても斬っても復活してくるね!」


エミリーが言ったようにぬいぐるみは剣で切り裂いても即座に修復され襲い掛かってきます。

まともに相手するだけ時間の無駄の様です。


「奇跡で吹き飛ばします、吹き飛ばしたら駆け抜けましょう」


「「「了解!」」」


セラさんが奇跡を使う、すると突風が発生し周囲のぬいぐるみ達を一瞬で吹き飛ばしました。

その隙に私達は駆け出し先を急ぎます。


「あったわよ!3階への階段!!!」


追ってくるアンコニュや、ぬいぐるみ達をエミリーの魔法やセラさんの奇跡で足止めしながら走っていると先頭を走っていたステラが大声で知らせてくれました。


私達は階段を駆け上がり3階へ、エミリーが魔法で階段の破壊を試みましたが失敗に終わりました。

アンコニュとぬいぐるみが追ってくるので休む間もなく3階の廊下を駆けエルの下へと急ぎます。


〈ステラ、次の部屋の扉を開けて入りなさい〉


「ここね!」


セレーネ様の指示の下ステラが部屋の扉を切り裂き中へと入ります、私達も後を追って中に入ればそこは外、目当ての部屋に行く為の渡り廊下でした。


そしてその丁度真中辺りに雨に濡れながら佇む人影。


金髪ロングに赤いドレスを着た少女……いえ、エルが言うには人形でしたね。


「コ、ココハ、トオサ、ナイ」


ノイズ混じりの女性の声、誰かの声に似ているような……。


「そう、なら押し通るまで!!!」


ステラが駆けると人形は剣を片手に構えます。


「はぁ!」


横薙ぎを跳躍して躱す。

その動きは人形の様なぎこちなさは無く、まるで人間そのものの様に動いていました。


「人形と思って甘く見てると痛い目見るねっ!」


人形の背後を取ったエミリー、横薙ぎに振るう剣は身を屈められ空を切る。


エミリーに向けて振り下ろされる剣を私が受け止め、背後からステラが斬り掛かる。


「っ!浅いっ!!」


斬られた瞬間身体を捻り致命傷を避けたようですね。


足元は渡り廊下で狭く、また雨で滑りやすい。


「落ちないよう気を付けて下さいよ!」


「「分かってる!!!」」


此処からは落ちたらまた下から上がってこないと行けませんからね……。


俊敏に動き回る人形、私達の動きに合わせてセラさんが光の槍を放つも当たる気配がありませんね。


「時間が惜しいです、動きを封じます」


セラさんがそう言った数秒後、人形の四肢に金色の光の鎖が巻き付いて動きを封じました。


「終わりよっ!!!」


その隙を突いたステラの剣が人形の心臓に突き刺さる。

人形は光の粒子となって消えました。


「邪魔者は倒した。さぁ先を急ぎましょ」


剣を振り納刀したステラの言葉に頷き私達は駆け出します。


ステラの後を追い、渡り廊下の突き当たりからそのまま横に飛び降り壁伝いに進みます。

開いていた窓は塞がれていましたがセラさんが奇跡を使って窓を破壊、破片に気を付けながら窓から中に入ります。


室内に入り真っ直ぐ進み突き当たりにある階段を駆け上る。


そしてようやく、エルの待つ部屋の前へと辿り着きました。

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