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Combat・ with・The・unknown  作者: 唯ノ蒼月
第6章 エルの悪夢

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第52話 エルの悪夢

セシリア達を助けに向かった翌日。

エルフの国の北東部に居た敵はゲネシスへと撤退。

主力部隊が壊滅したことで敵も当分の間は防衛に徹するだろうとのこと。


俺はと言うと昨日から眠れずベッドの上でただ横になって無為な時間を過ごしている。


ちなみに帰った当初は妹のアルティナに抱き倒された。

勢いがすごく強かった、なんだろう久し振りに飼い主に会った大型犬みたいな感じ。

レスティナも抱き着いてきたけどアルティナの胸が大きいから無心になるの大変だった。

レスティナもそこそこ大きいから尚更ね。


話を戻そう、今は昼過ぎ。

ベッドから起き上がるのを良しとしないセシリアにより部屋から出られない。

朝食と昼食の時ですらご飯が運ばれてくるから本当にベッドから起き上がらせてくれない。


今もなお横で見守るセシリア達。


「やっぱり……寝れないですか?」


「うん……寝れないというか寝たくないんだよね」


顔を覗き込んできたセシリア、誤魔化そうかなと思ったけどやっぱり正直に言うことにした。

俺が寝たくないと言うとセシリアは勿論、セレーネさんやオリヴィアさん、ステラやフィーユ達も顔を覗き込んできた。


「ふむ……寝たくないと言いますと怖い夢でも見るのでしょうか」


いつの間にか居た銀髪ロングに一対の純白の翼を持つ女性が呟いた。


「……どちら様です?」


「あ、申し遅れました。私はセラと申します。【ココ】、と言えば伝わりますよね?」


「……はぁ!?ココぉ!?」


「エルならそういう反応するよね」


笑顔でサリーネが告げる、周りの皆もクスクスと笑っていた。

そりゃそうでしょ、システムだと思ってたら実は人でした〜って普通驚くでしょ、え?皆ココの中身が人だって気付いてた?教えてよぉ!?


「はぁ……話を戻すけど。怖いんだ……眠るのが」


思い出すのは雨の音が響く暗い世界。

部屋の中は勿論窓から見た外すらも暗い世界。


「怖い……ですか?」


「うん、セラさんが言ってた通り夢を見るのが怖いんだ。なんとなくだけど分かるから……眠ってしまったらまた、あの世界に戻ってしまうって……そして」


心配そうに聞いてきたセシリアに頷き、答える。


「心の何処かであの世界が、心地良く感じてしまっていることを」


きっと、あの世界に居続け心地良く感じてしまえば最後、二度と現実(此方)に戻ってこれなくなる。

そんな気がしてならないんだ。


「ん〜対処法が無い訳では無いわ」


「本当?」


何やら考えていたセレーネさんが呟いた。


「私が奇跡を用いてエルの夢を視る、その内容が不味そうならその夢に干渉する」


「奇跡って本当凄いね」


「神の奇跡だもの」


当たり前のように呟くセレーネさん、でもそれは今の俺にとって凄くありがたい。


「けれどそれは本当ならエルが乗り越えるべき物、だから本当に不味い時だけ手を貸すわよ」


「はい、お陰様で安心して寝れそうです。けど心細いので手を握って下さい」


そう言うと間髪入れずにセシリアが手を握ってくれた。

セシリアに手を握ってもらいながら俺は眠りにつく。

眠気に抗えず、次第に意識が遠のく。








そして聞こえてくる嫌いな雨の音(・・・・・・)


夢の世界、その暗い家の中。

夢にしてはしっかりとした造りの不思議な世界。

長い廊下の床に座っていた俺は身体を起こし窓辺へと寄る。

窓から見た外に広がる暗い森。

そしてただ変わらず雨が降り続く暗い世界。


此処に居ても仕方ないので廊下を進む。

この屋敷は広い。


肖像画とか絵画、花が生けられた花瓶などがありそうなものだがこの屋敷にはそういった物が一切無い。

長い事この夢の世界に居たからか、この屋敷の事はそこそこ把握している。

今居る場所は1階、屋敷は3階建てで私はその3階のある部屋を目指す。

物音を立てないようゆっくりと進む。


何故物音を立ててはいけないのか、それは此処に、この屋敷に【奴等】が潜んでいるからだ。


━━ガタッ


言った傍からその【奴等】が姿を現した。

俺は即座に廊下にある柱の影に隠れ息を殺す。


ゆっくりと足音を立てながら俺の直ぐ傍を通り過ぎる手足が異様に長い人型の異形。


そう、アンコニュである。


奴が通り過ぎたのを確認し影から顔を覗かせ他に居ないかを確認して再び歩き出す。


ちなみにこの屋敷で安全な場所は今向かってる所一箇所のみ。

以前そこら辺の部屋に隠れたら置かれていたクマのぬいぐるみとかに襲われたから。

クマのぬいぐるみとかは部屋からは出れない、また部屋に入りすらしなければ騒ぐ事も無い。

この世界に来た当初は何も分からず足音立てて見つかって訳も分からず走りまくってアンコニュに追われまくって泣いたのは内緒。



「明かりも何も無くて暗いはずなのに行き先が全く見えない訳じゃないのも不思議だよね、流石夢の世界」


最初は怖かったけれど対策とかが分かると不思議と怖くなくなるよね。

けれど剣とかアンコニュに対抗できる手段が一切無いから見つかったら不味いんだけどね。

ごめんそう考えるとやっぱ怖いや。


階段を登り2階へ。

3階への階段はまた別の所にある、そのまま3階へ行けるようにしてくれれば良いのに不親切な世界である。


此処からは窓側で姿勢を低くして進まなければいけない。

理由は簡単、窓から廊下内を覗き姿を見つけ次第叫び知らせる奴が居るからだ。

なんで2、3階に居るんだ、普通1階でしょ。


窓の外に浮く(・・)生首。

血の気もないその顔は見た時はつい一緒に叫んでしまった。


てかこんなアンコニュ見たことないんだけど本当になんなのコイツ。


とそんな感じて此処は2階以上上はホラーハウスに変わり果てる。


そうそう、今向かってる安全地帯の部屋に辿り着いた理由だけど、金色の長い髪に赤いドレスを着た可愛いお人形さんが案内してくれたんだよね。


しかも大きさも見た目も普通の人と変わらなくてお人形さんが自分で言わなかったら分からなかったと思う。

肌の柔らかさすら人と変わらないって何?


そんなお人形さんは一度安全地帯の部屋まで案内して以降見ては居ないけれど。


アンコニュをやり過ごしながら廊下を進む。

此処で部屋を通ってらなきゃ行けないけれど確かお人形さんが言う通りなら通り道の部屋は問題ないんだったけ。


周囲にアンコニュが居ないことを確認し部屋の扉を開ける。

キィィィと音を立て開く扉、中に入り直ぐに閉める。


「……大丈夫そうだね」


見た所ぬいぐるみの類は無い。

と言うか何も無い。

本棚や机はあるけれど本棚に本は無いし机の上にも物は無い。

なんなら座る為の椅子すらも無い。


部屋を抜け再び廊下に出て進む。

3階への階段に辿り着き、上へと行く。


3階に辿り着いたら同じ様に窓側へ行って姿勢を低くして進む。

目指すのは中心部、けれど面倒くさいことに部屋から中心部に向かう事が出来ないからこのまま廊下を回って向かわなければならない。


部屋は単純に出入り口が1つだけで入るだけ無駄だからである。


廊下を回り部屋に入る、部屋を抜けると渡り廊下となっているからそこを走り抜ける。


走り抜けるのは屋根がなくて単純に雨に濡れるから。

濡れても身体は冷えないから風邪は引かない様だけれどね。


渡り廊下の向こうに扉は無いので突き当たりでそのまま横に飛び降り壁伝いに進めば開いている窓があるから其処から中に入る。

お人形さんに抱えられて窓を越えたのは不思議と今でも覚えている。


窓から入ったら横に扉があるけどこれは無視して真っ直ぐ進み突き当たりにある階段を登ればお目当ての部屋の前に到着。


木製の両開きの扉を開けて中に入る。


この部屋だけは他の部屋と比べても倍以上に広く、蝋燭の明かりが仄かに部屋を照らしている。


「ダイジョウブ」


ノイズ混じりの女性の声。


「お出迎えありがとう」


振り向いた先、目の前に現れた上半身だけの巨大な赤毛の異形の獣、上半身だけで私と同じ目線の高さといえばどれだけ大きいか分かるだろう。

この夢の中で唯一私の味方をしてくれていた者でありこの部屋の主。

また夢の中でのアンコニュやぬいぐるみ等の対処法、対策などを教えてくれた者でもある。


お人形さんも片言だった事から私が思うに赤毛の獣が生み出し操っていたのではないだろうかと思う。


赤毛の獣は私を優しく抱き寄せた。


「モウ、ダイジョウブ」


片言の言葉を話す赤毛の獣。


「ナヤミガアルノ?」

(悩みがあるの)


抱き寄せた赤毛の獣は気付いた様にそう呟く。


「う……ん……セシリア達の、傍に居て…良いのかな」


例えばセシリア、彼女は王族である。

方や私は何者でもなく、失敗作。

セシリアは私を好いてくれているけれど、私はセシリアに相応しいのだろうか。


「ダイジョウブ」


「ココニ、ズット、イレバイイ」

(此処にずっと居れば良い)


「ココナラ、ナニモ、オモイナヤムコトモナイ」

(此処なら何も思い悩む事もない)


「ココデ、ワタシト、ズットイッショニイマショウ、ワタシナラ、タチバモナニモ、キニシナクテイイ」

(此処で私とずっと一緒に居ましょう、私なら立場も何も気にしなくて良い)


「そう……だね……貴方と一緒に……」


隣に、ワタシハ、いな、くてモ……。







セレーネSide


「エルが……エルが誑し込まれてますっ!?」


「落ち着きなさい」


エルが眠りに落ちた後、私は奇跡を用いてエルの夢を壁に投影して見ていた。

そして赤毛の獣の手に堕ちかけているエルを見たセシリアが慌てふためく。

問題はあの獣、何故あの獣から神気を感じるのかしら?

あれは……一体何?

いえ、今はそれよりも……。


「これよりエルの夢に介入するわ、エルが私達に依存してしまう可能性が高いけれど背に腹は代えられないわ」


エルを助けなければ。


「まずはセシリア、ステラ、エミリー、セラの4人を送り込むは、状況を見て必要そうなら新たに送り込む」


「分かりました」


私は奇跡を行使してセシリア達をエルの夢へと介入させる、するとセシリア達はエルと同じ様に眠りに落ちた。

肉体を送り込む事はエルにとってもセシリア達にとっても負担がある、だから精神体のみを送り込む。


「頼むわよ」


エルが戻って来れるかは貴女達に掛かっているわ。

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