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Combat・ with・The・unknown  作者: 唯ノ蒼月
第4章 偽りの任務

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第39話 久々の休み

ついにエルツ奪還作戦が再開された。

それに伴いステラ率いるプリュフォール隊や他主力地上部隊は前線へと前以て向かった。


クーデリア、ソフィー、ヴィクトリアの3名とエミリー率いるリュミエール隊の数名がここ中央基地から前線へと向かった。


ちなみに俺とセシリアを含めた他の者は今日は留守番です。

今はセシリアの部屋で2人でソファーに隣同士で座っている。

キューちゃんは対面のソファを陣取っている。


「今回は地上部隊の進軍先の偵察が主だったよね?」


「はい、まず先に魔法使い達やバナール隊による偵察を行い、その偵察結果を纏め地上部隊の進軍ルートを構成します」


セシリアに今回の内容を確認する、間違いないようなので一安心です。

エルフの国の時と同じ様に進軍する予定を止めて空軍部隊による偵察を先に行う方向に変更した理由。

それはアンコニュの新種、鋼鉄鳥の存在が大きい。

初遭遇時と違い今は対処法が無いわけでは無い。

だがそれをまだ試していない為、その方法が確立されていないんだ。

ちなみに対処法と言うのは魔法による窒息である。主に水魔法で顔を覆ってやれば勝手に窒息するだろうと言う感じ。


フィーニスの離島奪還時に判明した鋼鉄鳥の弱点ではあるがその対処を全員が出来るわけでは無いのも忘れてはいけない。


「最終目的はアルトゥン鉱山より西、エルツの要の地・都市ツェントルムの奪還」


そこに行くまでの偵察を数日間に分けて行う訳だ。

偵察をし問題が無い、またはその問題を対処して安全を確保出来てようやく地上部隊が進軍を開始する。


「そう言えば……エルフの国の復旧は進んでる?」


「ええ、順調ですよ。幾つかの集落も完成しましたし」


そう笑顔で答えた。

順調ならそれでよし。


「それは上々」


「お出掛けですか?」


「うん、ちょっと格納庫行ってこようと思って」


ソファーから立ち上がった俺を見てそう聞いてきたので格納庫に行く事を伝えた。

休みではあるけど試作機の調子は確認しておきたいからね。

俺が立ち上がった事に反応したキューちゃんはソファーから机、そして俺の頭へと飛び乗る。


キューちゃんを頭の上に乗せたまま部屋の外へ出て廊下を歩いていると駆け足で寄ってきたセシリアが隣に来て腕に抱き着く。


「セシリアも一緒に行くの?」


「そうですが嫌でしたか?」


「そう言う訳じゃ無いよ、ただ試作機の調子見るだけで面白くもなんとも無いよ?」


「構いません、私が!エルと!!一緒に居たいだけですのでっ!!!」


1人で行くつもりだったけどどうやらセシリアも一緒に来てくれるようだ。

なんか圧が強いけど。


俺達はそのまま王城を出て中央基地へと向かう。

赤くなった葉の木々が並ぶ道中、出会うのはエルフの人が多い、王城付近は特にエルフの見張りが多い。

イコルとフィーニスの動きが怪しいので仕方ないといえば仕方ないかも。

ちなみにカナリアさんはエルフの戦士を率いて前線に赴いている。

流石に他国の動きが怪しいとは言え対アンコニュ戦線に全く参加しないのは他国に要らぬ名分を与えてしまう。

例えば王城周辺の防衛や見張りを冒険者達にやらせるとか。


何の問題も無ければ良いが、イコルやフィーニスの動きが怪しい時にそれは余りよろしくない。


すれ違う度に笑顔で手を振ってくれるエルフのお姉さんお兄さん達に手を振り返しながらセシリアと一緒に格納庫へとやって来た。

ずっと腕に抱き着いて歩いていたけど疲れない?え?大丈夫?なら良いか。


格納庫内にある試作機の所まで行き直ぐに点検に入る。

点検はゲネシス南西基地の整備員、その中でも特に昔から共にやってきたおっさん達がやってくれてるから問題はないだろうが念には念を入れてだ。


セシリアと一緒に破損した箇所が無いか見て問題ない事を確認。

次にコックピットに上がりエンジンを付ける。


〘システム起動します〙


ココの声が響き、各種システムが起動する。

1つずつ切り替えチェックをする、問題なし。

セシリアの方も問題なし。


チェックを終えてエンジンを切る。

先にセシリアが降りる、俺はその間自分の席で待機。


「はい、良いですよエル!」


そして満面の笑みを浮かべ此方に両手を広げて待つセシリア。

そう、セシリアは俺が降りる際に絶対抱きかかえるんだ。

ちなみに以前勝手に先に降りたら滅茶苦茶叱られた、いつからか俺は降りる際にセシリアに抱き留められないといけなくなったようだ。


俺はコックピットから飛び降りてセシリアに抱き留めてもらう。

抱き留めたセシリアは俺を降ろすことはせずそのまま横に抱き直す。

所謂お姫様抱っこと言う形に。


「キュー」


そしてそんな俺の腹の上に試作2型の翼の上で待機していたキューちゃんが飛び乗る。

毎回思うけどキューちゃん飛び乗る時全然負担無いの凄くない?


「エル兄さん!!!」


「テレサ、それにジェームズも」


作業着を着た2人が格納庫に姿を現した。

どうやら2人も自分の一式の点検に来たみたいだ。


「エル兄さんも誘おうと思ってセシリア様の部屋に行ったのですが誰も居なくて、もしやと思い格納庫に来てみれば。もう……私達も誘ってくれれば良かったのに」


「いやぁ折角の休みだし、休ませないとって思ってね」


「その言葉そっくりそのままエル兄さんにお返しします、此処の所働き詰めで休み全く無いですよね」


テレサにジト目で見つめられる、気まずくなって視線を逸らすとわざわざその先に回り込んで来る。しかもなんか地味に距離を縮めて。


「コラ、エル兄さん、目を逸らさないで下さい」


終いには両頬を両手で挟まれ逃げれなくされた。

ジーっと俺を見つめるテレサ。

数秒見つめて両手を離し、テレサ自身も少し離れた。


「睡眠不足は無さそうですね、ただ少し疲れているっぽいですが大丈夫ですか?」


「いや特に疲れてるって感覚は無いけど……?」


「自覚無し。セシリア様、直ちに部屋へ連行して寝かせて下さい」


「分かりました」


そう言ったテレサの言葉に頷くセシリア。


「待って!?だから疲れて無い━━」


「諦めるんだエル、仮に倒れでもしたら大勢に叱られた後、囲まれ、監視されるぞ」


「お、大勢って……大袈裟な」


「プリュフォール隊の隊長副隊長、リュミエール隊、クーデリア達、魔女さんやシャルル様達、他にも」


「分かった、寝る、寝るからそれ以上何も言うな」


指を折りながら数えるジェームズを止める。

あり得ない、とは言い切れない。

少なくともステラやサリーネは監視する気がするから。リュミエール隊のお姉さん達も下手すると監視する。

俺は観念してセシリアに連れてかれる。


「エル君どうしたの?!」


「ただの疲れです、これから自室で休ませます」


「そうでしたか、エル君お大事にね」


来た道を戻るということは見張りのエルフのお姉さん達ともすれ違うということ。

そして俺は来た時と違い現在セシリアにお姫様抱っこで運ばれている。

それを見て見張りのお姉さんお兄さん達が心配して寄ってきて聞いてくる訳だ。


別に疲れてるとは思わないけど、言うこと聞かないとセシリアやテレサが何するか分からないので大人しくしてます。


そうして王城に帰還した俺達は寄り道せずに真っ直ぐにセシリアの部屋へと行く。


そのまま寝かせられるのかなと思えば何やら着替えを取り出すセシリア。

寝る前に着替えるんだろうね。


ちなみに俺は何もせずにソファーに座らされてます、動くと怒られます。


「よし、準備出来ました!」


そして着替えをバッグに入れたセシリアは俺を再び抱きかかえ、キューちゃんが俺の上に乗り込むのを待つ。

キューちゃんが乗った後そのまま部屋を出て……え?待って。


「ちょ、何処行くの!?」


「何処って浴室ですよ、寝る前に身体は綺麗にしませんと」


「あー、なるほど」


そりゃね、汚れた身体のままベッドに転がるのはね。俺も抵抗あるし。

だからね、入浴は納得出来るんです。



けれど……けれどね……!




「なんで一緒に入ってるんですかっ!?」


「エルは疲れてるんですから、一緒に居なきゃ何かあった時に対処出来ないじゃないですか」


さも当然の様にそう言って俺の背中を洗うセシリア。一応お互いにタオルで身を隠しているとは言え少し、いやかなり可笑しいと記憶を失った俺でも分かる。

確かに以前混浴したけども!

でも今回は身体も洗われてるんですよね……。

なんというか最近セシリアが凄い積極的なんですが私はそんなに頼りないですか?


湯船に浸かりセシリアに後ろから抱きしめられる、目の前を泳ぐキューちゃん。



風呂から上がり、髪をセシリアに拭かれる。

身体は流石に自分で拭きます。

キューちゃんの身体を拭き終わったら再びセシリアにお姫様抱っこされて移動。


「そう言えば気になった事があるんだけど」


「はい、なんでしょうか?」


「セシリアの部屋に大樹の絵が大事に飾られてたけど」


「ああ、あれはですね、私達エルフの古い故郷と聞いていますよ。此処から遥か西へ向かい聳え立つ山脈を越えた先にあるとか。何でも大昔に人族との争いに負けその地を去ることになったんだとか」


物凄く大事な物でした。

部屋に飾ってあるのってぬいぐるみとか可愛いものが多い中一つだけその絵があったからなんだろうと思った。

私を抱えている当の本人は「いつか行ってみたいですね〜」と軽い調子ではあるが。


そんな風に話しながら部屋に戻れば来客が居ました。


「お邪魔してるわ」


「セレーネさんだ」


「セレーネ様、どういったご要件でしょうか」


俺をベッドに寝かせ、振り返るセシリア。


「いえ、これと言った用は無いわ。ただ様子を見に来ただけ」


俺に視線を向けるセレーネさん。


「これから寝るの?」


「テレサが疲れが溜まってるから寝ろーって言ってね」


「そう、セシリア、ちょっと良いかしら?」


「はい、なんでしょうか」


俺の話を聞いたセレーネさんはセシリアを手招く。

俺への用事は無さそうですし、此処は言われた通り眠ろうと思い目を閉じる。

直ぐにベッドの軋む音と人が歩くことで生じる揺れを感じ目を開けると同時に両側をセレーネさんとセシリアに挟まれた。

正面に俺を胸元に抱き込むセレーネさん、その直後に背後にセシリアが抱き着いてきた。


「お二人様?」


「お疲れのエルを癒やす為よ、気にせず眠りなさい」


「そうです、気にせず身体を預けて眠って下さい」


「キュー」


正面のセレーネさん、背後のセシリア、そして頭上のキューちゃん。

多分何をどうやってもこの状況から抜け出せないので俺は気にせず眠る事にした。

此処の所ずっと誰かと一緒に寝てるから今更かな。

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