第34話 離島上陸戦
顔を包む柔らかな感触を感じて目を覚ます。
柔らかな感触の正体は分かっている。
セシリアの胸だ。
今なお眠るセシリアを起こさないようにゆっくりと顔を上げる。
母艦に到着し、そこで俺達に与えられた部屋は狭く、二段ベットが部屋の両側に設置されている為それだけでかなり圧迫感がある。
セシリアは変わらず、頑なに俺と一緒に眠る。
そんな俺の寝床は二段ベットの上、下にオリヴィアさんが眠っておりもう一つの二段ベットの下にサリーネ、上にステラが眠っている。
ちなみにキューちゃんは窓際の机の上を陣取りました。
部屋は薄暗い、窓から明かりが入ってこない所を見るにまだ日は昇っていなさそうだね。
起きても良いけどセシリアに抱き枕にされているからまず間違いなくセシリアが目を覚ます。
それで日が昇って無いことを確認して寝るように言ってくる。
だからそのまま頭を降ろして寝ます。
勿論セシリアの胸に触れない様に。
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再び目を覚ます、顔はセシリアの胸に埋もれてました。
どうやら俺が眠った後に目を覚ましたセシリアが抱き寄せたみたい。
「あら、起きましたか。おはようございますエル」
「あ、おはよ、起きてたんだ」
「はい♪」
俺が目を覚ました事に気付いたセシリアから挨拶を受けたのでこちらも挨拶を返す。
さて、セシリアも起きてる事だしそろそろ起きようかな。
「ん……もう起きますか?」
「うん」
そう伝えるとセシリアが両腕と絡めていた両足を解いてくれた。
階段を降りる。
「おはよう」
「おはよ〜、魔女さんも起きてたんだね」
降りたら下で寝てたオリヴィアが既に起きていて上半身を起こしていた。
流石に寝起きだから普段の黒いドレスではなく、胸部周辺しか隠さない白いシャツとショートパンツでかなり布面積が少なく、露出の多い格好です。
と言うか鎖骨もお腹も出てるんだけどそれシャツって呼べる物なの?下手すると下着だったりしない?というか風邪引かない?
「あら?興味あるの?」
「なっ?!だ、駄目ですよエル!そういう事は!」
「まだ何も言ってないよ……魔女さんその格好寒くないの?風邪引かないでね?」
「寒くないわ、心配してくれてありがとうね」
微笑みをくれたオリヴィアさんとの話を終えそのままキューちゃんが陣取った机へと向かう。
ステラとサリーネはまだ眠っているようだ。
「キュー!」
「おはよ、キューちゃん」
俺の気配を感じてか丸まったまま首を持ち上げ此方を見て、俺の姿を視認して嬉しそうに鳴き声を上げたキューちゃん。可愛い。
キューちゃんを抱き上げ少し撫でてから頭の上へと乗せる。
机に置いておいた小型の情報端末を起動する。
〘おはようございます、マスター〙
「おはようココ」
この情報端末はセレーネさんから渡された物。
「凄いですね、これ」
「ね、セレーネさんに渡されたんだけどこれのおかげでイニーツィオに乗らなくてもココと話が出来るんだ」
さて、これから有事に備えてあらかじめイニーツィオの装備を決めておこうと思ってこの端末を起動した。
「イニーツィオの武装一覧」
〘了解しました〙
そう言って数秒待つと画面にイニーツィオが装備出来、なおかつゲネシス南西基地に届けられている武装が表示される。
その中から幾つか武装を選ぶ。
「試作型ブレードに試作型マシンガンですか」
「うん、近接兵装は勿論滑腔砲より連射が出来るマシンガンにしたよ。離島に防御陣地がある場合は一式のミサイルで破壊出来るし、なりより試作型だから試験も出来る」
「ですがそれでは鋼鉄鳥の相手は?」
「一応ロケット砲を持って行くつもりだから大丈夫だよ、鋼鉄鳥は滑腔砲でも対して効果が薄いからね。今作戦では不向きかなと思って滑腔砲は外したんだ。」
「了解です」
「あとは……これだね」
「バックウェポンユニット?」
俺が選んだ物の名をセシリアが呟く。
そう、バックウェポンユニット。
名前の通りイニーツィオの背中に装備される大型の武装コンテナでその中身は小型の誘導ミサイル。発射形式は2つあり連射と一斉発射の2つだ。
どちらもココ、または自身で発射方法を切り替えれる。
「まぁ大量のミサイルが放たれたとして鋼鉄鳥を倒せるかと言われると少し心許無いけどね」
「何か良い手はないのでしょうか……」
「残念だけど今の所は無いね」
今ある試作品含めた全武装の中であの硬い外殻を簡単に破る物は無い。今後に期待ですね。
ちなみにこのバックウェポンユニットの大量の小型ミサイル、対地という考えで作られた試作品らしいです。
「それじゃココ、お願いね」
〘了解しました、ではデータをゲネシス南西基地へと送ります〙
ココによってデータが南西基地に送られたのを確認。後は向こうに居る整備員さん達がやってくれるだろう。
情報端末をしまう。
「おあよ〜エル〜」
すると後ろからサリーネが欠伸しながらこちらに来た、可愛いね。
ベッドの上で寝ていたステラも目を覚ましたようだ身体を起こしていた。あっ手を振ってきた。
俺もそれに応えて手を振る。嬉しそうに笑った可愛い。
その後俺達は服を着替える、勿論俺は皆が着替え終わるまでキューちゃんと一緒に廊下で待ってたよ。居ても良いと言われたけど流石にね……?
その後俺達は食堂へと向かう、その道中でクーデリアやジェームズ達と合流して一緒に食堂に入る。
「よく寝れた?」
「はい、よく寝れましたよ」
「俺は駄目だ、強く揺れる度に目が覚めちまった」
クーデリアはよく眠れた、ジェームズは反対にあまり眠れなかったようだ。
「どうする?まだ時間あるし仮眠とるか?」
「あー、そうだな、飯食ったら仮眠をとらせてもらう」
「あいよー」
他にもソフィー、テレサ、エミリー、リュミエール隊のお姉さんなどちらほらと眠れない人もいたのでその人達は皆仮眠を取ってもらうことにした。
したのだが……
「えへへ……」
ソフィーにお願いされ添い寝をする事になってしまった。
まぁ嫌ではないので聞いてあげる事にして一緒の布団で横になる。
なお部屋は俺の方の部屋でベッドも俺のベッドである、理由は。
「お兄ちゃんの匂い落ち着く……」
と言うソフィーのお願いで。
またソフィーの添い寝をする為、キューちゃんはまた机の上で丸まってる。
ちなみにテレサはクーデリアに添い寝してもらうらしい。
ソフィーはあっという間に眠りに就いた。
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仮眠を取り終え再び起床したソフィー。
もうじき時間とのことで俺達は皆で格納庫へと赴く。
「最初は俺とジェームズで上がる、次にクーデリアとテレサ、最後にソフィーとヴィクトリアで上がって」
「「「「了解」」」」
母艦から発進できるのは一度に2機まで。
発射後カタパルトの準備が整い次第次が発射される。
「よし、行こうかセシリア、ジェームズ」
「応」
「はい」
2人に声を掛けて自分の乗る機体に向かう。
コックピットにスムーズに乗れる様にハシゴが掛けられていた。
ハシゴを昇ってコックピットに入る、俺が入った後セシリアがハシゴを昇って後部座席に入り込む。試作機の原動機を動かす。
〘システム起動します〙
当たり前の様に居るココ。
索敵装置、機銃、ミサイル、補助システムなどの問題が無いことを確認。
緊急時の食料、水もよし。
全て問題が無いことを確認し整備員さんに伝えてハシゴを外してもらう。
誘導員の指示に従い試作2型を動かし指示のある場所にて停止。
すると床が上がり試作機を格納庫内から飛行甲板へと運ぶ。
外は生憎と雨のようだがそれでも発進に問題はないと判断されたようだね。
甲板の上に居る人の合図のもと離陸する為の位置へと移動、停止。
暫くすると隣にジェームズが来た。
よく見ると一式の前輪に作業員がカタパルトを装着していた。
《バナール1、離陸スタンバイ……離陸を許可する》
通信機より男性の声。恐らくこの船で指揮を執る人だろう。
「セシリア準備は良い?」
「はい!何時でも良いですよ!!」
セシリアから返事を聞きジェームズに視線を送る、するとジェームズが親指を上げた。
「行くよ」
高まる推進装置の音、十分な推進力に達したと同時にカタパルトが作動。試作2型は母艦より高速で射出された。
射出された後直ぐに旋回して母艦を横に見ながら上昇。母艦の側面から魔法使い達が空へと上がるのが見える。
またジェームズがカタパルトから射出されたのを確認した。
そうして上空の警戒をしつつ。クーデリア達を待つ。
ソフィー、ヴィクトリアが上がったのを確認、その後直ぐに俺達の後ろに付いて編成を組む。
皆危うげなく発進できたよ。
Beo《クランクは西部方面の司令官だ、よって私がお前達の補佐をする》
「了解」
banalTeam《了解》
Beo《よし、バナール隊は方位90へと向かえ》
banalTeam《了解》
Beo《リュミエール隊はそのままバナール隊の援護に回れ、母艦の直掩は他の隊に任せろ》
「直掩……?」
「直接援護の略ですね、他の魔法使いの部隊がアンコニュから母艦を守ると言うことですね」
「なるほどね、了解した」
俺達はフィーユ達に合わせて低速で東へと向かう。
未だ敵の気配はない。
「反応あり、数が多いですよ!」
「離島の防衛部隊かな」
Beo《恐らくな。バナール隊、リュミエール隊、交戦を許可する》
「バナール1交戦」
小型情報端末はイメージとしてはタブレットを想像していただくと分かりやすいかも。




