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Combat・ with・The・unknown  作者: 唯ノ蒼月
第3章 拡大する戦線

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第31話 備え

サリーネとの模擬戦から数日。

イニーツィオの修理が完了し訓練を再開した。


やっている訓練は新しいもので内容は低速飛行中の試作2型にイニーツィオで乗り移る練習。


まずはシミュレーションでやって安定して乗れる様になった後、現実で実際にやってみる。


俺がイニーツィオの操縦、クーデリアが試作2型の操縦、セシリアが補佐でシミュレーションをした。最初にシミュレーションをやった時はタイミングを合わせるのが難しく中々乗り移れなかった。


互いにタイミングを合わせられる様になりいざ試作2型に着地しようとした時に俺が転倒してしまいそのまま後方に転がったり、前のめりになってクーデリア達と一緒に墜落したりしてしまった。


ちなみに俺が試作2型で、クーデリアやセシリアがイニーツィオに乗って挑戦したりもした。

失敗に終わったけど2人曰くイニーツィオは一式とかよりも楽に操作が出来たとの事。


「操作性を簡単にする事で兵士達に早めに慣れさせ戦場で戦えるようにしたのかな」


「そうかも知れませんね」


俺の言葉にセシリアも納得したようだ。

実際に現在生産中であろう人型戦闘機を導入し他の兵士が早く扱えるようになれば防御陣地の攻略もより早く、楽に行える。

それによって他の資源地帯等を奪還すれば上層部の懐が満たされるだろうしな。


引き続きセシリア達とシミュレーションで訓練を重ね遂にイニーツィオが試作2型に乗れる様になった。

次に求めるのは安定性。

安定して乗れる様になる事を目指す。


そして今日、安定して乗れる様になったので遂に実際に現実でイニーツィオと試作2型を動かして乗る訓練を行う。


イニーツィオによる試作2型の搭乗はそれなりに高い高度でのみ行う。

理由は万が一失敗した場合、低高度では試作2型が復帰出来ずに墜落してしまう恐れがある。

高度があれば失敗しても体勢を立て直せるからね。


俺はイニーツィオに乗って垂直上昇を始める。

滑走路からクーデリアとセシリアが乗る試作機が空に上がったのが見えた。


クーデリアと一緒に高高度まで上昇した。


Kudelia(クーデリア)《準備完了》


Cecilia(セシリア)《了解、エルいつでもどうぞ》


「了解、これより搭乗行動を開始します」


クーデリア達の準備が整った様なので試作機に搭乗する行動を開始した。


クーデリアが落下しない程度に減速し、その速度に俺も合わせる。

位置はクーデリアが前で俺が後ろ、故にクーデリア達より少し速い速度で飛ぶ。


Cecilia《進路修正。エル、左へ……はい、そのまま真っ直ぐ……》


セシリアに細かい位置を見て指示を出してもらい位置を調整する。

試作機は小回りが効かない、代わりに小回りの効くイニーツィオで細かい位置を調整する。

そのままゆっくりと試作機に近付く。

高度、速さ、位置をセシリアの指示のもと細かく調整する。


右小型モニターに足元の映像を映し出しメインモニターと小型モニターを駆使して試作機を捉える。


接地。


しかし直ぐに足が浮き離れてしまった。


Cecilia《もう一度》


余り強く着地すると試作機がバランスを崩してしまう、かといって弱いと今のように直ぐに浮いて離れてしまう。


適度な力。

けれどこれが難しい。


と言ってもシミュレーションでやって来たおかげで次の時には何とか乗れた。


「よし成功〜!」


Kudelia《無事に乗れましたね》


Cecilia《一度地上に戻り休息を取りましょうか》


「そうしよう」


セシリアの提案に賛成し、再び空へと身を投げる。

勿論クーデリア達に負担を掛けないようそっと飛んだよ。


〘お疲れ様でした、エル〙


「ありがとうココ、中々難しいね」


今回はココの補佐なしで操縦した。これからずっとココの補佐が受けられるとも限らないからね。

ちなみにココの補佐があると滅茶苦茶に楽である。


イニーツィオは空を滑空、その周りを試作機が飛ぶ。


そんな風に3人……ココ入れると4人?で空を満喫して基地へと帰還し整備のおっさん達にイニーツィオと試作機の整備を頼み俺とクーデリアとセシリアは格納庫内に置いたソファに座る。


対面にもソファがあるのだが当たり前の様にセシリアとクーデリアは俺の隣に座った。

代わりに対面のソファをキューちゃんが陣取り丸まってる。


「お疲れ様でした、エル」


「うん、セシリアとクーデリアもお疲れ様」


セシリアに抱き寄せられたのでそのまま身体を預ける。そして頭を撫でられ労ってもらえた。


それから幾度と空中での搭乗訓練を行う。

何度も何度も繰り返したお陰でスムーズに搭乗出来るようになった。




今日はイニーツィオや一式の装備が送られてきたのでその整理。

滑腔砲の弾薬、ロケット砲の弾薬。

ミサイルに機関砲の弾薬。

イニーツィオの新装備として試作型ブレード。


滑腔砲より口径を小さくし大幅に弾薬数を増やした試作型のライフルやマシンガン。


その他にもカタパルト射出機と言う試作品も搬入された。


なんでも奪われた多くの島の奪還に向けて海軍を強化してるんだとか。

ゲネシス、フィーニス、イコルは所有する離島の多くをアンコニュに奪われ、またその防衛戦により各国の海軍は3 割までその戦力を失ったらしい。


ちなみにこのカタパルト、一式を狭い場所から航空機を発進させるための装置で航空機を高速で加速させ、射出するらしいよ。


他にはレーションや一式の部品等が送られてきていた。

レーションはともかく部品は助かる。

これで修理も整備も当分は問題なく出来るだろう。





「疲れたぁ」


「キュー」


キューちゃんと一緒に湯船に浸かる。

疲れた身体に湯が染み渡り癒されていくのが分かる。


「にしても西の奪還の次は海洋進出かぁ」


海洋進出というか正確にはアンコニュに奪われた離島の奪還作戦。

まだ西側の奪還があるが……どうも上層部は西側より奪われた離島の奪還を優先的に考えているっぽい。

クランクさんやベオが言うにはアンコニュが大陸の北部と南部から海へと進出し大きく迂回してゲネシス、フィーニス、イコル等の離島を支配したらしい。

しかも、それがよりによって要の地らしく沖に出れば出るほど魔素が少なくなるという。

各国は海軍戦力の大半を離島防衛時に失い、また要の地も失った。

その為海の支配権は現状アンコニュの物だ。

またアンコニュが海を支配してしまったが為に他の大陸との連絡は途絶えた。

途絶えてからおおよそ3年近く経っているとか。


そんなアンコニュから離島を奪還する為に海軍の強化。

特に一式やフィーユ達空軍部隊の為の母艦を開発中とかなんとか。


けど母艦だと離陸する為の距離が短くてフィーユ達はともかく一式では離陸が不可能。

そこであのカタパルトが使われるそうだ。

その為に送られてきたカタパルトの試作品を早急に試し結果を伝えなきゃいけないようだ。





んで俺が試作機でカタパルトの試験をやるって訳だよ。


滑走路の隅に設置されたカタパルト射出機。

そのカタパルトに固定された試作2型。

試験の為セシリアとキューちゃんは乗せません、当たり前でしょ。


「バナール1準備完了、いつでもいいよ」


Crank《了解、カタパルト異常なし。》


Cecilia《カウントダウン開始。3、2、1、0!!》


「っ?!」


セシリアの合図と共に急加速で試作2型がカタパルトから放たれる。

普段の離陸時よりも強いGに耐えつつそのまま空へと上がる。


「はっや……」


カタパルトによる加速は恐ろしく速かった。

しかも離陸滑走距離も普段の半分以下ときた。

カタパルトを使うのに準備が必要だが確かにこれなら離陸滑走距離が少ない母艦でも一式を問題なく飛ばすことができそうだね。


Cecilia《エル!無事ですか?!》


「こちらバナール1、問題なく飛べたよ」


問題が無いことを伝えると通信機越しにセシリアの深いため息が聞こえてきた。

どうやら心配させてしまったようだ、後で謝っておこう。


「カタパルトの方はどう?」


Cecilia《装置に問題はないですね、ただ今ので装置を作動させるのに必要な魔力が空になったので再始動するまでそれなりに時間が掛かりますね》


「了解〜。俺も一度着陸するよ〜」


Cecilia《了解です》


その後何回かカタパルトの試験を繰り返し問題が無いことを確認した後はクーデリア達にもカタパルトの経験をさせる。


母艦にカタパルトを用いるのはほぼ確定だろうし、そうなるとクーデリア達がその母艦から離陸するのも確実だから今の内に慣れさせておいた方が良いだろうからね。


「……そう言えば着陸どうするんだろう」


離陸も問題だったが同じく着陸も問題だろう。

だって母艦には滑走距離が無いんだから。

その為にカタパルトなんてものまで開発した訳なんだし。


「ああ、それは一緒に配属される魔法使いの方が魔法で減速させて止めるそうですよ」


あ、そこは魔法使い頼みなんだ。

でもセシリアが言った通り魔法で止めたほうが正確かもしれないね。



昼を済ませ、午後の訓練は今日は無しとした。

久々の休養なのでセシリアとキューちゃんの2人1体で散歩に出掛けることにした。

前を歩くキューちゃんに付いて行く形でセシリアと2人で歩く。


「いつもありがとうね、セシリア」


「急にどうしたんですか?」


「ほら、クーデリア達に訓練付けてもらってるじゃん?だからありがとうね」


セシリアは未だにクーデリア達に木剣で訓練を付けてくれているから本当に助かる。

少しでも剣の扱いが上手くなれば墜落時に生存率を上げることが出来る筈だから。


「ローザさんやエルミアちゃんは元気?」


「元気ですよ。エルミアがまたエルに会いたいと言ってましたけど」


「何処かで暇があれば会いに行こうか」


「ふふっそうしてください。お母様もエルミアも喜びますから」


嬉しそうに微笑むセシリア。

その顔が可愛くて、綺麗でつい見惚れてしまった。


こうしてみると本当にセシリアって美少女だよね。カナリアさん達もそうだけどセシリアは特に綺麗だと思う。

そう言えばエルフは美の象徴とも言われているとか。


「キュー!」


「ん?綺麗な花を持ってきたねキューちゃん」


「キュー!」


キューちゃんが口に加えた綺麗な白いの花を差し出してきた。


「くれるの?」


「キュー!」


「ありがとう、キューちゃん」


花を受け取りキューちゃんの頭を優しく撫でる。

目を細め気持ち良さそうにするキューちゃん、可愛いですね。


「……アゲラタムですね、花言葉は【信頼】でしたか……いえ白色だと「幸せを得る」という花言葉だそうですね」


「そうなんだ」


偶然かそれとも知っててか……。

キューちゃん人の言葉分かるし多分知っててやったよなぁ。

幸せを得る、私の幸せを願ってくれている。

それだけで私の心は暖かさに包まれた。


「ありがとうね、キュー」


「キュー」


そっと優しく両手でキューちゃんを抱き上げる。


「そろそろ戻ろっか」


「分かりました」


キューちゃんを頭に乗せて差し出されたセシリアの手を握って歩く。



その日の夜もまたセシリアと一緒に眠る。

ここ最近はずっと一緒に寝るようになった。


薄い寝間着に身を包んだセシリアに抱き寄せられその胸元に頭が埋まる。


「お休みなさい、エル」


「お休みなさい、セシリア」


頭上から聞こえるセシリアの息遣いと胸から伝わる心臓の音を聞きながら俺は眠りについた。







それから数日後、俺達に新たな指令が出された。

魔法大国の隣国、獣人の国への偵察任務だ。

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