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Combat・ with・The・unknown  作者: 唯ノ蒼月
第2章 解放への幕開け

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第22話 エルフの国の中心部

王城奪還の翌日。

俺は試作機をエルフ領北東部基地に置き、オリヴィアさんに抱きかかえられエルフの城へと来ていた。

これから神秘の泉の掃除を行う為だ。

ちなみにクーデリア達は王城付近上空の警戒任務を続行。


神秘の泉の掃除というが実際は要の地の機能を取り戻させるだけである。

何故そんな大事な事を行うのに俺が居るかと言うと神の奇跡を扱えるからだそうです。

とは言え俺はやり方とか知らないので一緒にユースティアが来てくれるらしい。

護衛にオリヴィアさんを始めセシリアやステラ達も居るそうなので安心して自分の仕事に集中しましょうね、はい。

さて、神秘の泉に向かう前にまずはその地を管理する王族に会わなきゃいけないらしく俺はセシリアに連れられ王城内を歩いている。

前回はアンコニュに奪われていた為問題無かったそうだが今は王城も神秘の泉も奪還しエルフの王族も解放された事で管理が王族に戻ったようだ。


「此処が女王が待つ部屋です」


セシリアに手を繋がれて連れて来られた場所は女王の私室(・・・・・)だった。


「エルを連れてきました」


『どうぞ、お入りください』


入室の許可を得てセシリアが扉を開け中へと入る、手は未だに繋がれたままで俺は心の準備をする間も無くセシリアに手を引っ張られて入室させられた。

部屋の奥、椅子に座る金髪ロングに碧目、美しいドレスを着た女性と金髪セミロングに碧目、同じく綺麗なドレスに身を包む少女が目に入る。

女性は笑顔で、少女は緊張したような面持ちだった。


「初めましてエル・ヴァルドリンさん。私はローザ・フォン・セレスティアと申します、此方が娘のエルミアと言います。それとセシリアが大変お世話になったそうで……」


わざわざ席を立ち深々と頭を下げるローザ様、それに対して俺はある事が頭に引っかかりそれが口から出た。


「あれ、セレスティアって……」


「あら?セシリアは伝えていなかったのですか?では改めて、娘が大変お世話になっております。セシリアの母です」


「は?えっセシリアって王っ……?!」


「まってまってまって!?平伏しないで下さい?!普段通りで良いんですむしろ普段通りが良いんです!」


姫ってTactical(タクティカル)ネームだと思ってたけど本物の姫様……!


セシリアがエルフの第一王女と知り、ひれ伏そうとする俺とそれを阻止しようと両腕を掴むセシリア。

流石に普段から無礼過ぎたっ!極刑待った無し!


「ど、どうか命だけは……」


「処刑しませんってば!普段通りが良いと言っているじゃないですか!」


そんなセシリアとのやり取りをローザ様は笑顔で見つめていた。


「え……普段通りで良いの?」


「私が良いと言ってるんですから良いんです」


「キュー」


「ほら、キューちゃんもそう言ってますよ」


キューちゃんが首元から顔を出し首を縦に振る、どうやらキューちゃんもセシリアに同意の様だ。


「……え?!古龍!?」


俺の首元から出たキューちゃんを二度見したローザ様が驚かれる。


「こんなに人に懐く古龍は初めて見ました……」


「エルにしか触らせてくれないんですよ」


「ガルルッ」


キューちゃんをマジマジと見つめるローザ様。セシリアが試しにとキューちゃんに手を伸ばせば案の定威嚇される。


「えぇ……」


困惑するローザ様。


その後俺とセシリアはステラ達と合流しローザさんの案内のもと神秘の泉の源へと向かう。

ちなみにローザさんと妹のエルミアちゃんの2人の希望で今の呼び方になったよ。呼び方の話し合いの時にローザさんが「お母さんって呼んでも良いですよ」とか冗談言ってセシリアが顔を赤くしてたのを覚えている。


「此処が神秘の泉、その源泉です」


ローザさんに辿り着いた場所は石で小さな囲いが作られた場所、その中は言わずもがな水は無く枯れ果てている。


「ではエルさん此方へ」


「は〜い」


「キュー」


ユースティアに呼ばれるがまま前へ出る。なおキューちゃんは呼ばれてはいないが俺の頭の上から降りることもないので一緒に行く。


「当たり前の様に古龍の子供が頭の上に乗ってるの凄いわね……」


後ろからローザさんの困惑したような声が聞こえた。


「その内慣れますよ」


「な、なれ?」


「はい、慣れます。魔女さんとも仲良くなってますし大抵の事では驚かなくなりますよ」


「魔女さんって確かあの厄災の魔女よね?」


「はい、エルが魔女さんと一緒に帰って来たんですよ」


「……ちなみに今までで一番驚いた事は?」


「エルフの救援に駆け付け、撤退時に勝手に囮を買って出た挙句セレーネ様に抱えられて帰ってきた時でしょうか」


「待ってセレーネ様って言った?」


「はい、あのセレーネ様です」


「……」


セシリアとローザさんが話し合ってたけどついにローザさんが黙ってしまった。

隣にいるユースティアも話は聞こえていたようで苦笑いしている。


「始めるよ?」


「はい、お願いします」


ユースティアに確認を取った後、石の囲いに近付いて両手を翳す。力を込めれば両手から蒼白い光が溢れ始める。


「か、神の奇跡っ?!」


「お母様、エルミア、頑張って慣れて下さい」


ローザさんが再び騒ぎ始めたが気にせず俺は集中力を高め奇跡の行使を続ける。

蒼白い光に包まれて数分、石の囲いに変化が訪れた。


「水が!」


「キュ!」


ユースティアの声にキューちゃんが反応した。

ユースティアが言った通り石の囲いの中から水が湧き出してきた。

少量だった湧き水は徐々にその量を増やし、そしてついには囲いの中を水で満たす事に成功した。


「少しお待ち下さい」


ユースティアに言われて奇跡の行使を終わらせ少し待機。要の地が機能を取り戻したかどうかは専門家のユースティアが見た方が確実だからね。


「大丈夫です、これで要の地の機能が戻りました。エルさん、お疲れ様でした。」


これで一安心、機能を取り戻した要の地は徐々に大地を蘇らせるだろうとのこと。


「エルフの国に要の地の恩恵が行き渡り次第前線基地の神の結晶苗木を回収しましょう、あれは他の前線基地にあった方が良いですから」


「そうだね」


結晶苗木の有無でアンコニュの支配地域の奪還の確立が変動するからね。無論あった方が良い。


「エルくん本当にありがとう」


「お力になれて良かったです」


ローザさんが頭を下げる。

動く度にローザさんの大きな胸部が揺れるからついつい目が胸に行ってしまう……。

その時左腕にセシリアが抱き着いてきた。


「エ〜ル〜。さぁ行きますよ」


柔らかいセシリアの胸の感触にドキドキするも普段より少し低い声に直ぐ正気に戻る。


要の地の機能を取り戻した後は防衛設備の建設と補強、そしてエルフの国西部の奪還に向けての会議である。


今から王城の会議室にてその会議が行われる。


「奪還作戦は引き続きシャルルさんとカトリーナに前線で指揮を執って貰うでいいんだよね?」


「はい、一応エルフ達は私か母が指示を出しますが冒険者達には今まで通りの方が良いかと」


俺の言葉にセシリアが頷く。

確かに指示者増やすと却って命令系統が混乱する可能性はあるか。


「現在防衛陣地は王城と神秘の泉周辺に設けています。また前線基地として冒険者達の仮宿舎を作る予定だそうです」


前線基地からここまでかなり距離がある為再び王城付近に前線基地と滑走路を建設することになった。

要の地が機能を取り戻した。事で王城付近でも魔力を回復できる様になったのがデカいね。


前線基地を建設し終えたらいよいよ西部の奪還が始まる。

と言っても俺は変わらず待機命令だけど。


「取り敢えず前線基地の建設を始めるように伝えてこようか」


「分かりました」


それだけ伝え、セシリアから了承の返事が貰えたので席を立ち会議室を出る。


「エル、待ってください」


「セシリア?会議は良いの?」


俺の後を追ってセシリアが会議室から出てきた。


「はい、会議はお母様が居ますし、お母様も大丈夫と言っていましたので」


「そっか、なら一緒に行く?」


「はい、勿論」


そう言ってセシリアは俺の右腕に抱き着いて歩く。

俺も特に抵抗無く頭にキューちゃんを乗せて歩く。

最近やたらセシリアの距離感が近い気がする。


外に出て王城の西側へと向かう、西側では多くの冒険者達が木柵を作ったり穴を掘ったりと防衛設備を製作中だ。

本当なら固定式機関銃とかも設置したいけどあれは数が無いからね……。

今回は魔力に困らないだろうから身体を隠して行動するための空堀と土と木で固めた強固な陣地を魔法を用いて作る為建設速度はエルフ領東部前線基地よりも速いだろう。まぁ作るのは冒険者達なんだけどね。


冒険者達に前線基地の製作も初めて良いと伝えて俺とセシリアはその場を離れる。

再び王城へと戻り俺は用意された部屋へと行く。

用意された部屋で俺はセシリアと一緒に装備の点検をすることにした。


「短剣や短銃に問題は……無さそうですね」


「使って無いからね、これで問題があったら流石に困るよ」


「弾薬も問題無いですね」


「非常食も回復薬も問題無いね」


と言ってもこれは試作機搭乗時に墜落した際の緊急用であって西部奪還作戦時は正式な補給品が送られてくるよ、俺の分は知らんけど。


「そう言えば王城の食料とかの備蓄はあるの?」


「お母様達が籠城してましたが問題は無いですよ、確かに食料とかを送ってもらえると安心はしますが」


「だそうだよ、ベオ」


Beo《了解した直ぐに手配しよう》


「なっ……いつの間に通信をしてたんですか?」


「ついさっきだよ」


ベオからの通信に驚くセシリア、食料の話をする際に呼び出したんだ。相変わらずワンコールで出てくれるから助かる。


「エル?次からは事前に言ってくださいね。流石に急に会話を聞かれると心臓に悪いです」


「は、はい気を付けます」


圧のある笑顔と低い声でそう告げられ俺は首を縦に振るしか出来なかった。


「そうだセシリア、久しぶりにマッサージしようか?」


「えっ!?良いんですか!?」


「うん良いよ、丁度ベッドもあるしほら、寝転んで」


「はい!」


王城奪還までの労いも込めてセシリアにマッサージを施そうかと提案すれば嬉しそうに笑みを浮かべて了承した。

ベッドに仰向けで横たわるセシリアの手を取り、掌をゆっくりと優しく押し込んだり擦りあげる。


「気持ちいい……」


セシリアから蕩けた声が出る。

セシリアもそうだけど、俺のマッサージはステラ達にも好評なんだよね。一部マッサージを警戒する人も居るけど、サリーネとかクーデリアとか。

セシリアの全身をゆっくりと優しくマッサージを施した。


「エル、祖国奪還を手伝ってくれてありがとうございます。けれど命令違反の罰が……」


「気にしないで、俺が好きでやったことだから」


セシリアの手助けが出来て良かったよ。

その後、夕飯を済ませ俺とセシリアは部屋に戻り眠りに就いた。

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