表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/87

75 ダンジョンコア

 一瞬の浮遊感の後、スバルとユーリは塔上層階へと転移した。


 転移した場所には数人の兵士が待機していて、幹部用の転移魔法陣を使って転移してきたスバル達を見るなり、剣を向けてくる。


「何だ貴様らぁ! その魔法陣は星師様が使う特別な魔法陣だぞ、資格の無い者が使用して良い物では無い! 事と次第によっては厳罰に処される事もあるんだぞ。いったい何処の者だ、全く」


 見たところ教団の一般兵士で、職務としてスバル達を取り締まろうとしているようで、ベガやアルファルドの側に付いた敵というわけでも無さそうだ。


 しかしここで事情を説明しても信じてもらえる保証も無く、説得する時間も無い。せめて大怪我をしないように手加減して制圧するしかないが、あまり反抗されてはそれも難しい。


 どうしたものかと考えているユーリの耳元でスバルが何かを囁く。


「まず武器を床に置……ぅおっ!」


 二人は兵士の指示に従って武器を床に置くと見せ掛けて突然走り出すと、一番近くにいた兵士を突き飛ばして場を混乱させて部屋を飛び出した。


「ま、待て貴様らぁ! 逃がすな、追え!」


 部屋から逃げ出した二人を追って、直ぐ様兵士達が追跡する。スバル達の逃走進路を塞ごうと警笛を鳴らして仲間を呼び集めた。


 通路を駆けるスバル達の行く先を封じるように兵士達が立ち塞がる。


「そろそろ頃合いかな……ユーリッ!」


 スバルはユーリの手を取ると窓を突き破って外へと飛び出した。


「メロディエンスの名の下に。風精よ、我らに翼を与えよ、『空中機動』!」


 スバルの風魔法で飛翔すると、今度はユーリが火魔法を放つ。


「ユーリの名の下に。火精よ、駆けろ 『火炎吐息(ファイアーブレス)』」


 ユーリの口から放たれた火炎が窓を越えて室内を焼く。猛烈な火の勢いで兵士達が集まっていた辺りが一気に燃え広がる。


 仮にも塔の上層を警護する兵士ならば焼け死ぬ事は無いだろうが、しばらくは消火と怪我の手当てに奔走する羽目になる。


 その間にスバル達は上空へと飛んでいく。


「もう少し……見えた!」


 塔の屋上。巨大な台座の上で魔法陣が赤い光りを蓄えている。


「すでに準備に入ってる……神器はっ!? ベガは何処に!」

「スバル、あそこ!」


 ユーリの指差す先に床に突き刺さった杖があった。魔法陣の中心に位置する所で、魔法陣の魔力が杖に向かって集まっている。


「破壊するよ! メロディエンスの名の……」


 刀を抜き、神器破壊の為に魔法陣の中心に向かって詠唱しながら走り出したスバルを妨害しようと、横からクレイジーバニーの膝蹴りが飛び出してきた。


「きゃはは、侵入者ぁ!」

「スバルゥ!」


 攻撃を受けて吹き飛んだスバルをクレイジーバニーが追撃する。


 振り回される大鎌を躱し続けるうちにスバルは魔法陣の端にまで追い詰められた。


「切られちゃいなよぉ……真っ赤な血を撒き散らしてさぁ!」

「相変わらず気持ち悪い奴だな、コイツ」

「あぁ~? どっかで切った事あったっけぇ?」

「……さて、どうだったかな!」


 スバルが流星刀を振り、クレイジーバニーへと反撃する。大鎌の間合いを踏み込んでスバルが打ち込んでいくが、その攻撃をクレイジーバニーは器用に躱して鞭のような蹴りを繰り出してスバルを牽制し、距離が離れるとすかさず大鎌を振るう。


 クレイジーバニーの実力はスバルを上回っている。戦いの主導権を握られ、押され続けていても、神器の破壊をユーリに託してスバルは食らい付いていく。


「スバル……任せて。今のうちに」


 ユーリが神器に向かって走り出そうとすると、進路を阻むように兵士が行く手を遮る。


 そして、その背後には笑みを浮かべた大星師ベガの姿があった。


「大……星師、ベガ」

「今、大事な儀式の最中なのですよ。邪魔をしないで下さいね、勇者ユーリ」


◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️


 一方、地下ダンジョンに残ったコーネリア、ルイ、ミオンの三人は魂の上書き実験に利用された被験者達を筒の中から救出しようと悪戦苦闘していた。


「この筒が中にいる人達を作り変えようとしてるんだよね……やっぱり壊したらダメなん?」

「下手な真似をすると~中にいる人に悪影響が出ます~。何とか正しい手順で解放したいところですが~」

「アルファルドのヤロー、気絶しちまいやがって……コイツめ!」


 激しい痛覚の刺激に堪えきれず、泡を吹いて気絶したアルファルドの顔を、ルイは悪態をついて蹴っ飛ばした。


「ルイさん、精霊にお願いして~筒の機能を停止する事は出来ませんか~」

「えぇ~無理だよぉ……筒を動かしている魔力はダンジョンから供給されてんでしょ? 精霊でもダンジョンの能力に干渉は出来ないよ」

「……では、魔力の流れは追えませんか~? 筒を破壊せずに機能を停止するには~魔力の供給路を遮断するしかありません~。アルファルドはここ以外にも同じ設備があると言っていましたから~相当な魔力が動いている筈です~」

「え~と……どうやって……あ、そうか。すいちゃん、ちぃちゃん、かっちゃん、ふうちゃん、魔力を追いかけて」


 ルイが複数の精霊を筒に近付けて、魔力の供給路を探った。


「……あっ! いけそう。皆が移動し始めた。こっちだよ」


 実験室を出るとルイが先導して通路を進んで行き、十字路で止まった。


「ここ! この地面の下が一番魔力が多い場所だよ」

「では~。サクラギ・ミオンの名の下に。地精よ、この地を封じよ 『封印(シール)』……どうですか?」

「う~ん……精霊達の反応が散った? ……あっ、ダメだ。また集まり出した、教官の魔法は不発みたい」

「ダメですか~……こうなれば残る手段は一つ、最下層のダンジョンコアを破壊して~ダンジョン全体の機能を停止させましょう~」


 魔物、罠、ダンジョンの構造と機能を維持しているダンジョンコア。これが破壊された場合、最悪ダンジョンが崩壊する可能性もあるが膨大な魔力を消すにはその方法しか無いようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ