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74 天地の戦いへ

 アルファルドの背後から鎧騎士が現れ、黒い剣や槍を構える。


「いいんですか、ここで暴れれば部屋が滅茶苦茶になりますよ?」

「ご心配無く、実験室はここだけではありませんので……では、死ねぇえ!!」


 鎧騎士達が手にした武器を振り上げ、突進してくる。


「ちぃちゃん、止めて!」


 足下の床を突き破って幾つもの土壁が現れ、鎧騎士達の進行を阻む。


「その程度の防壁で、防げる訳が無かろうがぁ!」


 鎧騎士の一人が大剣を振りかざし、一撃で土壁を切り裂いた。破壊された土壁が砂と土煙を巻き上げて崩れるとすかさず別の鎧騎士が手にした槍を投擲し、二枚目の土壁を貫通してスバル達がいる辺りに突き刺さった。


「やったかっ!? ……何ぃ」


 投擲の余波で舞っていた土煙が収まるとそこには床に刺さった黒い槍だけが残り、他に誰も居なかった。


「ど、何処へ……何処へ行ったぁ!? クソッ、ワザと脆い土壁を使ったのはこの為か」


 スバル達の姿を見失い、困惑するアルファルドは部屋のあちこちに視線を飛ばす。


 槍を投擲した鎧騎士が回収の為に集団から離れて歩き出した瞬間、物陰に潜んでいたスバルが飛び出した。


「もらったぁ!」


 素手の鎧騎士は腕を上げて防御するが、流星刀の鋭い刃が鋼鉄の手甲と中の肉体、さらに首をもろともに両断した。


「そこかっ! 囲んで殺せ!」


 アルファルドが指示を飛ばすと他の鎧騎士達が一斉にスバルの方を向く。


 すると今度は別方向からコーネリアが飛び出し、剣を構える鎧騎士に迫る。


 反応が遅れた鎧騎士はコーネリアに向けて剣を払い牽制するが易々と躱されて間合いを詰められた。


「おりゃあぁ!」


 下から突き上げるように加重したコーネリアの拳が鎧騎士の腕に叩き込まれた。


 鎧騎士の腕は潰れ、衝撃に堪えられず握っていた剣も手放した。


 床に落ちた剣を踏み砕き、コーネリアは必殺の拳を鎧騎士の顔面に叩き込み、鎧騎士の兜が中身ごと飛んだ。


「クソッ! 化け物どもがぁ……しがみついてでも動きを止めろ!」


 残った鎧騎士達が同士討ちするのもお構い無しにスバルとコーネリアを捕らえようと突っ込んでいく。


 鎧騎士達は決して弱くない。だが、その動きは柔軟性に乏しく目の前の敵に対して、決められた動きしかしない。集団戦での連携が取れていないのだ。


 個人戦ならば多少マシに動けるが、乱戦になると途端に隙だらけになる。スバルとコーネリアが引っ掻き回すような動きをしても対応出来ないようだ。


「えぇい、何をしている! さっさと……」

「口ばっかりじゃなくて、アンタも働けば?」


 アルファルドがスバル達に気を取られている隙に、背後に回り込んだルイがアルファルドの首筋に小さな氷の針を突き刺した。


「痛ぁ! この虫けらめ……」

「ほい、らいちゃん」


 ルイが指を鳴らすと首筋に刺した針を通じてアルファルドの脳に痛みの電気信号が伝わる。


「ぎぃやああぁあ!!」


 まるで腕を引き千切られたかのような激しい痛みに襲われて、堪らずアルファルドは床を転げ回る。


 鎧騎士達を指揮する者が正常な判断を下せなくなり、徐々に追い詰められた鎧騎士達が全滅するのにさほど時間は要しなかった。


◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️


 繰り返される痛みの電気信号の攻撃に、涙と鼻水と涎で顔を汚したアルファルドが拷問からの解放を懇願してくる。


「もぅ……やめで、ぐでぇ……」

「では神器とやらの完成はいつですか~? 何処にあります~?」

「……はぁ……はぁ……」


 ミオンが質問しても、アルファルドは痛みを堪えて無視する。しかし、ルイが指を鳴らす仕草をすると。


「ま、まま待って! ……じ、神器はほば完成している」

「それで?」

「……最後に儀式が、必要なのだ。神器にエネルギーを注ぎ込む儀式が」

「エネルギーを注ぎ込む~? では、神器は」

「そうだ。勇者召喚の魔法陣を利用して、聖人達のエネルギーを神器に注ぎ込むのだ! たった三人の聖人で『奇跡』が使えるならば、数十人の聖人のエネルギーで産み出される神器にはどれほどの力が宿る事かっ! ふははは! ベガ様は神に! この暗黒の時代を照らす極星となられ……いびぁああぁ!!」


 話している間に興奮してきたアルファルドをルイが黙らせる。油断して気を抜いていたアルファルドが白目を剥いて気絶した。


「勇者召喚の魔法陣って、塔の天辺にあるって言うヤツだよね」

「はい~アルファルドが言っていた事が真実ならば、いつ儀式が始まってもおかしくありません~すぐにでも向かいたい所ですが」

「ミオン先生?」


 ユーリに声を掛けられたミオンは少し考え込むと、口を開いた。


「二手に別れましょう~。一方は塔の最上部、召喚の魔法陣に向かい~神器の破壊及びベガの抹殺~。もう一方は地下に残り~筒の中から人々を救出する~」

「筒の仕掛けは解除可能なんでしょうか」

「おそらくは~。その為にはルイさんの協力が必要です~」

「あたい? じゃあ、あたいは地下に居残りか」

「先生も残るんですか?」

「はい~。今の私が上に行っても足手纏いにしかならないですから~」

「じゃあ、ウチも残るよ。ちっこいの二人じゃ敵が出てきた時に心配だもんね」


 こうして地下に残り、エネルギー源となる筒の仕掛けを解除する組にミオン、ルイ、コーネリア。塔の最上部に登り、ベガと直接対峙する組はスバルとユーリとなった。


「では~そこの幹部用の転移魔法陣で~上層まで行って下さい~。十分に気を付けて下さいね~ベガはともかく、周囲にはベガに心酔する者もいる筈ですし~私を討った、クレイジーバニーという怪人もいる筈です~」

「はい、わかってます」

「じゃあ、先生達も気を付けて。行こう、スバル」


 ユーリが転移魔法陣を操作すると、二人の姿が消えた。

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