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46 黒い波動

 ルイが案内したのは巨木の根元に空いた穴だった。ひと一人、滑り込む事なら出来そうな大きさの穴だ。


「あたいが先に行くよ」


 ルイが暗闇の中に飛び込み、行き先の安全を確認するとスバル達もルイに続いて穴の中へと身を滑らせた。


「思ったより広いね」

「この通路、自然に出来たものかな?」

「多分、違うね。鉱山でも無いのにこんなに掘ったりしないでしょ」

「という事は……」


 スバル達が通路側の先に視線を送ると、その先から物音を立ててマッドゴーレムが現れた。


「やっぱりダンジョンかっ!」


 コーネリアが駆け出し、マッドゴーレムの長い腕を足場にしてマッドゴーレムを飛び越えて後方に着地した。


 マッドゴーレムが背後のコーネリアに対応しようと動く前に、その足下をスバルとユーリが駆け抜け様に切りつけた。


 両足を破壊されたマッドゴーレムがゆっくりと仰向けに倒れる。


「ちぃちゃん、やっちゃって!」


 マッドゴーレムが倒れる先の地面に、三角錐の棘が突き出るとその上にマッドゴーレムが倒れ込んだ。自重によって棘が深く食い込み、マッドゴーレムの中にあった魔石が破壊された。


「次々来るね」


 一息つく暇も無く、新手の魔物が襲い来る。


「今度は人形か」


 三体のマッドドールがコーネリアに駆け寄ってくる。


「邪魔くさいんよっ!」


 固く握ったコーネリアの拳がマッドドールの胴体を破壊し、瞬く間に三体のマッドドールを土塊に変えた。


「先を急ごう。ゆっくりしていると魔物が押し寄せて来そうだ」


 地下へと続く通路を進んでいくスバル達の目の前で岩の塊が独りでに動き出した。岩を取り込んだロックスライムが擬態を解き、襲ってきた。


 人の頭ほどの大きさの岩が縦横無尽に壁を跳び跳ねてくる。


「おりゃぁっ!」


 ユーリを狙って飛んできたロックスライムをコーネリアが蹴飛ばした。ただの岩なら粉々に砕けた筈だが、ロックスライムは蹴りの衝撃を吸収して欠片を散らしながら新たな岩を取り込み、再度跳んでくる。


「すいちゃん、止めて!」


 ルイが張った水の網に絡め取られてロックスライムの動きが止まるとスバルの剣がロックスライムを両断した。


◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️


 スバル達が魔物の襲撃を踏み越えて、ひたすら地下へ進んでいくと先頭を行くコーネリアが突如、足を止めた。


「どした、コーネリア?」

「何か異常を見付けたの?」


 足音を立てないように慎重に進むと進行方向に開けた空間があった。


 そこには、一人の鎧騎士の姿があった。


 大剣を地面に突き立て、片膝をついてジッと踞っている。


 全身を金属製の鎧で包み隠し、兜の隙間からは鬼火のような青白い光が漏れている。


「あれは……」

「今までの魔物の系統とは違うね」

「じゃあアレが目的の……」


 よく見れば鎧の胸元に取り付けられた宝珠が禍々しい光りを放っている。スバル達が探している元凶のアンデッドとアイテムで間違い無さそうだ。


「あの宝珠が魔力を発しているようだね。何とか破壊しないと」

「あの大剣を封じてみるか……メロディエンスの名の下に。水精よ、氷結の波動となれ 『冷凍光線』」


 冷気を纏った光線が大剣目掛けて放たれた。そのまま命中するかと思われたが、それまで微動だにしなかった鎧騎士が大剣を庇うように身を乗り出し、鎧の左半分を氷漬けにした。


「えっ? 剣を庇った?」

「いくよ、ユーリ!」


 先制攻撃を終えて飛び出したスバル達を追ってルイとユーリも後に続いた。


 コーネリアが大剣を持つ右側に回り込み、鎧騎士の注意を惹き付ける。半身が凍りつき満足に動けない鎧騎士であったが、黒い波動を纏う大剣を振り回しコーネリアの接近を妨害した。


 大剣が放つ黒い波動を直接触れるのは危険と判断したコーネリアが牽制に注力している間に、スバルが少し離れた場所で準備を整える。


「メロディエンスの名の下に。風精よ、我に翼を与えよ 『空中機動』」


 風精の力を得て吹き飛びそうな身体を押さえ、ブーツに魔力を注いで踏み込む際の瞬発力を高めた。


 限界まで溜め込んだ力を解放し、スバルは一本の矢の如く鎧騎士の宝珠目掛けて飛び込んでいく。


「いけっ! スバル!」

「いけいけぇ!」


 鎧騎士の大剣はコーネリアが蹴り上げていてスバルに向いていない。


 剣の切っ先が宝珠に届き掛けたその時、大剣から獣の咆哮のような衝撃が放たれた。


「きゃあっ!」

「ぅうぐ!」


 近距離にいたコーネリアとスバルがその衝撃に堪え兼ねて地面に倒れた。


 繰り返し放たれる大剣からの衝撃に打たれ、スバルは満足に身動きが取れない。


「な、何なのコレは……」


 単なる音では無い。大剣の纏っていた黒い波動が咆哮という形で放たれ、スバルの身体を蝕んでいる。


「スバルゥ!」


 ユーリの叫びに顔を上げたスバルの前に、大剣を振りかざした鎧騎士がいた。地面を這うスバルの頭に大剣が振り下ろされる。


「させる、かぁ!」


 獣性解放状態のコーネリアがスバルの身体を担ぎ上げて大剣を躱した。


 だがコーネリアの身体もスバル同様に力が入らず大剣の一撃を転がるように躱すのが精一杯だった。


 獣性解放により強化されていた身体も白い髪も元の状態に戻ってしまった。


 地面に横たわるスバルとコーネリアに鎧騎士が大剣を向けた。


「ふうちゃん!」


 ルイの風魔法に打たれて鎧騎士が岩壁に叩きつけられた。


「スバル、コーネリア! だいじょ……!?」


 二人の下へ駆け寄ったユーリがその姿を見て驚きのあまり絶句した。


 スバルとコーネリアの身体が黒く染まっていたのだ。


「島の住民と同じ……呪病だ」

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